上 下
65 / 263
第4章 学園生活 友人の難病編

第65話 勉強会

しおりを挟む
 ダンジョンから寮に戻り、軽くシャワーを浴びてからミアンの部屋に向かった。

 扉をノックすると、ミアンのメイドツキが迎えてくれた。

「お待ちしていましたよ、どうぞ」
「おじゃまします~」

 ツキについていく形で中に入ると、ツキとは違うメイド服を着た女性がいた。

 “だれだろう?”と思いながらミアンの元に行くと、同じクラスのミッシェルが居た。

「お嬢様、ラミナ様が見えましたよ」
「ラミナ、待っていたよ~」

 ミッシェルが私に気づくと。

「あら、ラミナさん、待っていましたよさっそくですけれども復習しましょ」
「ラミナと私のやりとりを見ていて参加したかったんだって」
「えぇ、それにあたくしラミナさんに興味があるんですの」
「あっ、そうなんだ」

 この時どのような返事をすれば良いのかが分からない。

『ラミナ、肉のお裾分け』

 あっそうだった。

 既にキッチンへ戻っているツキを捕まえた。

「ツキさん、これを」

 そう言って鞄からオーク肉の塊をだした。

「これは……、オークの肉ですか?」
「はい、1人じゃ食べきれないので」
「ありがとうございます。使わせてもらいますね」

 ツキは笑顔で肉を受け取ってくれた。

「はい」

 オーク肉を渡し終え、再びミアン達の待っている部屋に戻った。

「何を渡していたんですか?」
「先週末キラベルで狩ったオークのお肉」
「キラベルのオーク肉っておいしいんですよね~」

 ミアンの発言を聞いて、へぇ~そうなんだって思っていると。

「そうなんですの?」
「おいしいですよ~もも肉とか私は好きですね~、ミッシェルさんは食べたことないんですか?」
「ん~無いですわね……」
「それなら夕食にオーク肉使ってもらいましょう、ちょっと待ってってくださいね」

 ミアンが部屋から出て行きミッシェルと2人きりになった、普段会話をしない間だからかちょっと気まずい感じがする。

「ところでラミナさん」
「はい」
「あなたのいつも漂わせている香りって、ファントムフラワーじゃありませんの?」

 ファントムフラワーとか久々に聞いたなぁ。

「そうです、ファントムフラワーの香料を混ぜた洗料を使っているので」
「へぇ、良いですわね」
「ファントムフラワーを知っているんですか?」
「知っていますよ、あたくしの国の花ですの」

 国って、ミネユニロントって名前だったっけ?

「あれ?ミネユニロント?」
『ミッシェルは、ミネユニロントの第2王女ですよ』

 まさかの王族だった。

「そうですわ」
「ごめんごめん、お待たせ」

 ミッシェルの返事と同時にミアンが戻ってきた。

「お帰り」
「それじゃあ今日やった世界史から始めましょ」

 教科書とノートをカバンから取り出して広げた。

「ラミナのノート見せてもらっても良い?」
「ん、いいよ」

 ミアンにノートを渡した。

「丁寧にまとめられていますわね」

 2人が私のノートを元にまとめていた。

 私は何をすれば良いのだろうか?

 手元に残っている教科書を読んでいた。3大文明について書かれている次のページをめくると、ファーラ文明について詳しく書かれたページになっていた。

 次回の授業はノートの内容的にファーラ文明についてだろうか?

 ファーラ文明のページを見ていると、

『ファーラ文明では、稲作、文字以外にも発展した技術があるんですよ』

 アクアが教科書の上でうろうろし始め先生モードに入った。

『建築技術と青銅の加工技術が発展するんです。鉄等の金属加工技術は倭国文明で発展していたのですが歴史上はファーラ文明で表に出てくるんです』
「へぇ……」
「ラミナさんは誰とお話しているんですの?」

 無意識にアクアの発言に返事をしていた。

「精霊さんじゃないですか?」
「うん、アクアが……、精霊さんがファーラ文明について教えてくれているの」
「お昼みたいに姿を見せて私達に聞こえるようにしてほしいかな~」
「あ、うん、いいよ」
「精霊さんが見られるんですの?」
「うん、お昼食堂で姿を見せてくれたよ」
「へぇ」

 ミッシェルの視線がこちらに向いた。どうやらミッシェルも見てみたいらしい。

「アクア、いいかな?」
『構いませんよ』

 そういうと、私の手に乗り、魔素をごっそりと持っていった。

「わぁ、可愛いですわね」
「だよね~」
「ん、んん、では改めて予習部分を話していきますがよろしいですか?」
「あっ、もう少しだけ待って」
「わたくしももう少し時間がほしいですわ」

 待っている間、アクアは2人のノートの様子を見ていた。

「この部分は大事な場所なので線を引いておく等しておいた方が良いですよ」
「分かりましたわ」

 アクアがミッシェルだけではなく、ミアンにもアドバイスをしていた。

「2人とも大丈夫そうですね」
「はい!」
「えぇ」
「それではファーラ文明について説明していきますね、ファーラ文明では青銅の加工技術や建築技術が発展していきます。ファーラ文明の地にはそっち方面が得意な多くのドワーフや獣人が居たからという理由があります。青銅の加工技術に関しては~」

 アクアが延々と説明を続けていく、それを3人で真剣に聞いてノートを取っていた。聞き逃したら止めて“今のところもう一度お願い”と伝えると、嫌な顔をせずにちゃんと教えてくれた。

 そして、午後の授業だった魔物生物学もアクアのプチ授業を受け3人で一緒に夕食となった。
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

狼の子 ~教えてもらった常識はかなり古い!?~

一片
ファンタジー
バイト帰りに何かに引っ張られた俺は、次の瞬間突然山の中に放り出された。 しかも体をピクリとも動かせない様な瀕死の状態でだ。 流石に諦めかけていたのだけど、そんな俺を白い狼が救ってくれた。 その狼は天狼という神獣で、今俺がいるのは今までいた世界とは異なる世界だという。 右も左も分からないどころか、右も左も向けなかった俺は天狼さんに魔法で癒され、ついでに色々な知識を教えてもらう。 この世界の事、生き延び方、戦う術、そして魔法。 数年後、俺は天狼さんの庇護下から離れ新しい世界へと飛び出した。 元の世界に戻ることは無理かもしれない……でも両親に連絡くらいはしておきたい。 根拠は特にないけど、魔法がある世界なんだし……連絡くらいは出来るよね? そんな些細な目標と、天狼さん以外の神獣様へとお使いを頼まれた俺はこの世界を東奔西走することになる。 色々な仲間に出会い、ダンジョンや遺跡を探索したり、何故か謎の組織の陰謀を防いだり……。 ……これは、現代では失われた強大な魔法を使い、小さな目標とお使いの為に大陸をまたにかける小市民の冒険譚!

悪役令嬢に転生したので、ゲームを無視して自由に生きる。私にしか使えない植物を操る魔法で、食べ物の心配は無いのでスローライフを満喫します。

向原 行人
ファンタジー
死にかけた拍子に前世の記憶が蘇り……どハマりしていた恋愛ゲーム『ときめきメイト』の世界に居ると気付く。 それだけならまだしも、私の名前がルーシーって、思いっきり悪役令嬢じゃない! しかもルーシーは魔法学園卒業後に、誰とも結ばれる事なく、辺境に飛ばされて孤独な上に苦労する事が分かっている。 ……あ、だったら、辺境に飛ばされた後、苦労せずに生きていけるスキルを学園に居る内に習得しておけば良いじゃない。 魔法学園で起こる恋愛イベントを全て無視して、生きていく為のスキルを習得して……と思ったら、いきなりゲームに無かった魔法が使えるようになってしまった。 木から木へと瞬間移動出来るようになったので、学園に通いながら、辺境に飛ばされた後のスローライフの練習をしていたんだけど……自由なスローライフが楽し過ぎるっ! ※第○話:主人公視点  挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点  となります。

ボンクラ王子の側近を任されました

里見知美
ファンタジー
「任されてくれるな?」  王宮にある宰相の執務室で、俺は頭を下げたまま脂汗を流していた。  人の良い弟である現国王を煽てあげ国の頂点へと導き出し、王国騎士団も魔術師団も視線一つで操ると噂の恐ろしい影の実力者。  そんな人に呼び出され開口一番、シンファエル殿下の側近になれと言われた。  義妹が婚約破棄を叩きつけた相手である。  王子16歳、俺26歳。側近てのは、年の近い家格のしっかりしたヤツがなるんじゃねえの?

好きでした、さようなら

豆狸
恋愛
「……すまない」 初夜の床で、彼は言いました。 「君ではない。私が欲しかった辺境伯令嬢のアンリエット殿は君ではなかったんだ」 悲しげに俯く姿を見て、私の心は二度目の死を迎えたのです。 なろう様でも公開中です。

[完結] 私を嫌いな婚約者は交代します

シマ
恋愛
私、ハリエットには婚約者がいる。初めての顔合わせの時に暴言を吐いた婚約者のクロード様。 両親から叱られていたが、彼は反省なんてしていなかった。 その後の交流には不参加もしくは当日のキャンセル。繰り返される不誠実な態度に、もう我慢の限界です。婚約者を交代させて頂きます。

銀眼の左遷王ケントの素人領地開拓&未踏遺跡攻略~だけど、領民はゼロで土地は死んでるし、遺跡は結界で入れない~

雪野湯
ファンタジー
王立錬金研究所の研究員であった元貴族ケントは政治家に転向するも、政争に敗れ左遷された。 左遷先は領民のいない呪われた大地を抱く廃城。 この瓦礫に埋もれた城に、世界で唯一無二の不思議な銀眼を持つ男は夢も希望も埋めて、その謎と共に朽ち果てるつもりでいた。 しかし、運命のいたずらか、彼のもとに素晴らしき仲間が集う。 彼らの力を借り、様々な種族と交流し、呪われた大地の原因である未踏遺跡の攻略を目指す。 その過程で遺跡に眠っていた世界の秘密を知った。 遺跡の力は世界を滅亡へと導くが、彼は銀眼と仲間たちの力を借りて立ち向かう。 様々な苦難を乗り越え、左遷王と揶揄された若き青年は世界に新たな道を示し、本物の王となる。

【書籍化決定】俗世から離れてのんびり暮らしていたおっさんなのに、俺が書の守護者って何かの間違いじゃないですか?

歩く魚
ファンタジー
幼い頃に迫害され、一人孤独に山で暮らすようになったジオ・プライム。 それから数十年が経ち、気づけば38歳。 のんびりとした生活はこの上ない幸せで満たされていた。 しかしーー 「も、もう一度聞いて良いですか? ジオ・プライムさん、あなたはこの死の山に二十五年間も住んでいるんですか?」 突然の来訪者によると、この山は人間が住める山ではなく、彼は世間では「書の守護者」と呼ばれ都市伝説のような存在になっていた。 これは、自分のことを弱いと勘違いしているダジャレ好きのおっさんが、人々を導き、温かさを思い出す物語。 ※書籍化のため更新をストップします。

処理中です...