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第4章 学園生活 友人の難病編

第60話 精霊達の可視化

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「空いてるとこに座んなよ~」

 ミラの言葉は分かるが、先輩方4人を前に縮こまっていると。

「ラミナこっちです」

 ミアンに促されるまま空いてる席に腰掛けた。

 私の右にはミラ、ハンゾー、ロック、プリム、ミアンそして私といった感じで座っていた。

 まだご飯買ってないんだけどな……。

「ラミちゃんハンゾーの弟子になったんだってね~」

 そういう話もしているんだ、なんて思いながら返事をした。

「え、あ、うん」
「今日の夜から私も行くのでよろしくね~」
「ぇ?」
「組み手の相手は自分がやるよりも、同性のミラがやった方が良いだろと思ってな」
「なるほど……」

 ハンゾーなりの配慮だったのか。

「ところでご飯は買わないのか?」

 どのタイミングで買いに行って良いのか分からなかったから、ハンゾーからの言葉には助かった。

「買います」
「んじゃ私も一緒に行こ~」
 
 席を立とうとしたら、ミラまで付いてくることになった。

 ミラの座っていたところには食べかけのお弁当があるんだけど、気のせいかな?
 目が悪くなったかな……?

「ラミちゃんこっちこっち」

 ミラがそう言うと、私の手を引いて売店のほうへ歩きだした。

「何が食べたいのある?」

 そう言われても何があるのか分からないから、見て決めるつもりだった。

「何があるのか分からなくて……」
「そっか~、んじゃメニュー見てから売店いきましょ」
「はい」

 初めて使うからミラがそばに居てくれて、すごく助かった。

ミラについて移動すると、カウンターの上には様々なメニューが書かれていた。

「なんかいっぱいありますね……」
「周辺諸国の料理が並んでいるからね~」
『ラミナ~、海鮮丼食べたい~』

 まん丸からリクエストが来た。

「あの海鮮丼ってなんです?」
「ハンゾーの母国の料理でね~ライスに魚の切り身なんかが乗っているんだよ~さっぱりしておいしいよ~」

 ライスって何だろう?
 まん丸のリクエストだし、まずい事は無いと思うから海鮮丼にしとこうかな。

「んじゃそれで……」
「上のメニューにあるものなら、そこの食券売り場で食券買って、カウンターに持って行けばOKだよ」

 食券販売機の使い方を教わりながら食券購入しカウンターで海鮮丼と引き換えた。

 お盆には、色とりどりの具材が山盛りにもられている海鮮丼と、スプーンにお箸が添えられていた。お箸とか村を出てから見てなかったけどここでも出るんだ~と思った。

「んじゃ席に戻ろうか~」

 席に戻ると、3人の先輩方とミアンは楽しそうに談笑していた。

「戻ってきましたね」
 
 最初にプリムが気づきこっちを見た。

「ごめんね~お待たせ~」
「先輩ありがとうございました」
「いえいえ~後輩ちゃんを守るのが先輩のお仕事ですからね~」

 そう言うとミラは自分の席に腰掛けた。

 私も続き自分の場所に座った。

「んじゃ、ささっと食べちゃいな~」
「はい、いただきます……」
「はぁ~、ラミちゃんもいただきますって言うんだね~」
「ぇ?言わないんですか?」
「私は言わないなぁ、私達の中ではハンゾー位だよ」
「ぇ?そうなんですか?」
「あぁ、そもそも倭国の文化だからな」

 そういえば以前アクアがそんなこと言っていたっけ、おばあちゃんや両親から教わっていたし、村でも皆使っていた気がしたけど……。

「村では普通に使っていた気がしたけど……」
「たぶんリタ様の影響じゃない~?」
『せやなぁ』
『リタも薩摩に行ってから使うようになっていましたもんね』

 はぁ、そうなんだ。
 箸を使って食べ始めると。

「お箸も使えるんだね~」
『お箸も倭国の文化なんですよ』
「ぇ、そうなんだ」
「ん?」

 ミラは話がかみ合ってないと思ったのか不思議そうにしていた。

「あ、精霊さんが……」
「あぁなるほど、精霊さんってどんな子なの~?」
「どんなか~、私から見たら皆可愛いし個性あるかな~」
「へぇ~見てみたいな~」
「出来るのかな?」

 可視化とかできるのかな?
 今までそんなことを聞いたことないし……。

『やろうと思えば出来るで』
「ぇ!?」

 ミントの答えに少し驚いた。

『リタが居た時代にも武道会で姿を現して戦ったことがあるんですよ』
『だな、ただなぁ、魔素を大量に消費するからあまり気がすすまねぇんだよ』

 彼らにとってデメリットがあるってことか、そりゃなかったら最初から姿を見せているか。

『ラミナ~ご飯食べよ~!』

 まん丸はそんなことより海鮮丼らしい。

 お刺身を一つ摘まみ口の中に入れた。

『懐かしい味だ~おいしぃ~』
『ですね~』

 精霊達が皆感覚共有で味わっている中、口元を抑えた。

「一応姿を見せることが出来るらしいですよ、けれど大量の魔素を消費するから気が進まないみたいです」
「そっか~」

 ミラがすごく残念そうな表情を見せた。

 ミントがそれを見ていたのか少し考えていた。

『ラミナ、ごっそり魔素をもらうことになってもええ?』
「それくらいは良いけど……」

 鞄の中にマジックポーションあるし構わないかなと思った。

『なら見せたるか』
『昼休み時間いっぱいが限度ですかね』
『だな』

 そう言うと、ミントが手元に降りてきた。
 そして次の瞬間、体からごっそり何かが抜けていく感触があった。

 続いて、アクア、グレンと続いて私の魔素を持っていく。

『ラミナ次~これ食べよ~』

 まん丸が何か白い刺身を指さしていた。
 まん丸はやっぱり周囲の事より海鮮丼か~と思いながら、まん丸が希望する白い刺身を口に入れた。

『これおいしいよね~』

 私と感覚共有して味わっているまん丸をよそに、ミント、アクア、グレンは姿を見せる準備をしていた。

『いくで~』
『いいですよ』
『俺も構わん』

 そして次の瞬間。

「わぁ!可愛い!」

 一番最初に声を上げたのは、左に座っていたミアンだった。

「ほんとだ!可愛い!」
「可愛いですね」

 3人が可視化したと思われるけど、私から見れば、普段と変わらないように見えた。

「うちから自己紹介するで、うちは植物の精霊ドライアドのミントやよろしゅうな」

 ミントは右手を“ばっ!”っと上げ自己紹介していた。

「次は私ですね、私は水の精霊ウンディーネのアクアですよろしくお願いします」

 自己紹介を終えると、深々と頭を下げるアクア。

「次は俺だな、俺は火の精霊イフリートのグレンだ」

 グレンは、胸を張り腕組みをしたまま自己紹介をしていた。

 3人の声が、今までのように頭に響いてくる感じでは無く声として聞こえたせいで違和感しかなかった。

「地の精霊は居ないのか?」

 ハンゾーから質問が飛んできた。
居ますとも、私と一緒に海鮮丼を堪能していますとも。

「は!?」

 ハンゾーの言葉を聞くと真っ先にミントが反応していた。まん丸の姿を見つけると、いつもはふわふわっと飛ぶミントが、瞬間移動でもしたかのようにまん丸の元に現れた。

「何しとん、おまえもうちらと同じ事せぇや」

 まん丸の背中をつかんで揺さぶるミント。

『やだよ~ボクは海鮮丼の方が大事なんだよ~』

 必死に海鮮丼の上に乗っているエビにしがみついているまん丸。

「またリクエストしたらええやがな」
『今食べたいの~ボクはね、100年以上もこれ食べられる日を待っていたんだよ~!』

 まん丸は海鮮丼にそんなに思い入れがあったの?

『そうだよ~これはね~鮮度が命なんだよ~だから食べる機会がとても少ないんだ~』

 感覚共有しているからか、私の思ったことに対して返事をしていた。

「ねぇ、ラミちゃん」
「ん?」
「揉めているの?」

 ミントの声だけを聞いていてももめているのが分かるよね……。

「うん、まん丸が海鮮丼は100年以上も食べれるの待っていたんだって、だから姿を現すことよりも、海鮮丼を食べたいみたい……」
「あ~そうなんだ……、まん丸君ごめんね、ミントちゃん次の機会でいいよ、ラミちゃんはご飯食べちゃって」
「しゃあないなぁ」

 ミントがまん丸から離れた。

「あ、はい」

 私はまん丸のリクエストに答えながら海鮮丼を食べ、グレンはプリム、ミント姉妹と、アクアはロックと、ミントはハンゾーとミラそれぞれ話しを始めていた。
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