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第4章 学園生活 友人の難病編

第44話 精霊達が知る真実

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 森を抜け平原地帯に出た時、ふと不思議な事に気が付いた、ミントやアクアから自分の子ども達が居る所なら状況を知る事が出来ると言っていた。

 普段の生活で火の精霊をあまり見ない、グレンはどうやってオークの存在に気づいたのだろうか?

「ねぇグレン」
『ん?なんだ?』
「オークの位置ってどうやって把握したの?火の精霊ってあまり見ないんだけど」
『あぁ、そのことか、オークは火を使うからな、だから奴らの位置を把握できるんだ』

 オークも火を使うのか、って事は魔法とかも使うのかな?

「魔法とかも使うことが出来るの?」
『出来るぞ、魔法だけじゃなくスキルも貰えるぞ』
「ぇ?」
『スキルを貰えるのは何も人種だけじゃない、魔物や魔族も貰える。まぁもっとも、殆どの奴らは種族スキルだが、魔族は人種と変わらんスキルが貰えるな』
「ぇー、するとオークとか手ごわい魔物?」
『なんだ、そんな事も知らんのか、魔族は総じて知恵が働くからな、手ごわいに決まっているだろう』

 それは知らなかった。

「というか、魔族と魔物の違いって何?」
『そう来たか、オークやゴブリンなんかの人型の魔物を魔族と呼ぶんだ』
「そうなんだ、初めて知ったかも……」
『おいおい、そんな事で大丈夫かよ、リタのカバンを持っているって事はアカデミーに入っているんじゃないのか?』
「今年入学したよ」
『それじゃあ知らなくて当然なのか?まぁそのうち授業でやるだろうよ』
「そうなんだ」
『アクア達から聞いているか知らんが、魔族と人種の違いは何か知ってるか?』
「ぇ?知らないかも、言語が通じるかどうか?」
『それはそうなんだが、身体の構造もほぼ同じ、脳の構造もな、答えは生まれ持って魔石を持っているかどうかだな、それだけしか違いはないんだよ』
「へぇ、なにか理由があるの?」
『そうだな、まん丸が居るって事はスペルン遺跡に行ったな?』
「うん」
『スペルン王朝が栄える前は動物だけで魔物なんぞいなかったんだよ、ただなその当時は、この世界は人間同士の争いが絶えなかったんだ』
「そうなんだ」
『あぁ、そんな中で争いに対して憎しみを抱くものなんかが出て来てな、創造神メネシスは考えたんだ、人種同士の争いを無くすには共通の敵を作ればいいんじゃないかとな、そこから魔物・魔族が生まれたってわけだ』
「ぇ、そうなんだ」
『そして同時期に魔素と言うものが発生し、生きる者すべてが、スキルだけではなく魔法を身につけられるようになったんだよ、俺らが姿を持ったのもこの時期だな』
「ぇ?昔は魔法使えなかったの?」
『そうだ』
『せやなぁ、まぁ魔物・魔族が現れた事で大分争いが減ったのは事実やけど、未だにあるなぁ』
『だな、魔族は魔族同士で縄張り争いがあるが、人種も人種同士で争うとか今も昔も変わらんな』
『せやな』
「そうなんだ」

 精霊達から見たら人種ってどのように映っているのだろうか?

 欲深き醜い生き物とかでも思っているのかな?

『おっ、捕らえたみたいやで』
『まぁこの辺りなら見晴らしもいいし、この場所で良いだろう』

 周囲を見渡すと、丘の頂上付近に居た。確かにこの場所なら見晴らしもいい、周囲を見渡していると、アクアとまん丸の光を確認、そしてその近くに氷漬けになったオークが3体あった。

 どうやって持ってくるのだろうかと思っていたが、なんか氷漬けになっているのにもかかわらずオークが地面を滑るようにこっちに向かってくる。

「ぇ?どういう原理……?」

 どう見ても私が居るのは丘の頂上付近、それなのに氷漬けのオーク達が斜面を登ってくる。

『まん丸が地面操作してんだろう』
「そう言う事!?魔素は大丈夫なのかな?」
『大丈夫だろ、ラミナが分けていんだろ?』
「わかるの?」
『それ位はな、アクアに至っては上限いっぱいいっぱい貯めこんでるし、まぁラミナの魔素が水属性だから相性がいいってのもあるが、ミントもまん丸もそれに近い量もってるからな』
「そんなにため込んでいるの!?」

 そんな状況になっていると思ってなかった。

『せやで、うちでも1回貰えれば魔素の量が残り僅かしかなくてもMAXまで余裕で回復すんねん』
「超えた分どうするの?」
『下位なり中位なりの子を作るんや』

 まさかの精霊量産しているとは思っていなかった。まん丸の魔素に余裕があるならまぁいいけども……。

「ここで解体するのかな?」
『じゃないのか?そのまま肉を焼いてやろうか?』
「終わったらお願いしていい」
『いいぞ』

 アクアとまん丸、そして実験体兼食材が到着するのを待った。
 
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