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願いを叶える薬

第78話 ペスト

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. クロンベを出航した後、航海中は、ペストについて感染対策等を船員全員にみっちりと伝え現地に到着したらそれぞれが適切な行動が出来るようにした。

 クロンベを出航して20日後マイア達の故郷であるウォーゼン王国王都ウォーゼンに到着した。

 自分にできる最大限の範囲の浄化を唱えると、

「皆さん、教えてもらった事を最大限に生かしてください具合が悪くなったらすぐに彼の元に行くように徹底してください、それでは行きましょう」

 皆の前でマイアが言った。

 船員全員がマスクとフェイスガードに手袋をして、自分が預けたペストに有効な合成抗菌薬を持って下船していった。

 自分は港側からユキと共に回っていくことになっていたが、途中で港の倉庫に患者が集められていると話を聞いて倉庫に向かった。

 倉庫の扉を開けると、みっちりと患者が並べられていた。

「やっと来たか……」

 倉庫に入った瞬間中にいた背丈が高くガッチリした男からそんな事を言われた。

「キュ……」

 ユキは男から隠れるように自分の背後に回った。

 初めて会うと思うけど……、“やっと来たか“ってなんだ?

「えっと初めましてですよね?」
「あぁそうだな」
「やっと来たかってどういうことです?」
「気にするな、お前はここにいる連中を救う事ができるんだろ?さっさとやってくれ」
「はぁ……」

 もしかして教会の人なのかな?と、思いつつ患者の元に向かおうとすると。

「おい白狐ちょっとこっちに来い」
「キュ……」

 明らかに怯えているけど、おずおずと男の元に寄っていった。

 男はユキを抱え上げると、睨めっこでもしているかのように、じーっとユキを睨んでいた。

「ッキュ!」

 耳がピーンとたち何かに驚いた様子を見せた。

「キュィ~♪」「キュ~ッキュー」

 とか、ユキの独り言が始まり、頷いたり首を振ったりしている。

 何を話しているんだ?

「わかったら奴と共に励め」

 と言って床に下ろされていた。

「キュィ~♪」

 寄り道でずっと不機嫌だったり、さっきまで怯えていたのが嘘のようにご機嫌になってこっちに戻ってきた。

「キューィ!」

 何言っているのか分からんが、本当に機嫌がよくなったな。

 診察するまでもなく、ここに集められている人はペスト患者という前提なので、触診で体内にペストが居るのを確認し、内出血している人は浄化で出血後を消してどんどん薬を飲ませていった。

 約300人程飲ませおわり、皆少し休めば活動できるようになるだろう、と思い辺りを見回したが、男の姿はなかった。

 倉庫を後に町中の患者の対応に移った。

 町中の対応に移ってからふと思った。

 ペスト菌も浄化で消せばいいじゃんと、それからは浄化を主としてペスト対策を始めた。

 3日後、皆で協力したため王都ウォーゼン内の対応はほぼほぼ終わり、マリベルをはじめ数人の船員達と一緒に船に戻ってくると。

「遅かったな」

 倉庫に居た男が船の前に居た。

「だれだ!」

 マリベルが男に向かって言うも、

「おまえにようはない、そこの男に用がある」

 マリベルをスルーするように自分の方に向かって来た。

「えっとなにか……?」
「ウォーゼンは大丈夫だろう、これから他の町に行くぞ」
「ぇ?」

 と思った瞬間、目の前が真っ白になり、桟橋に居たのに桟橋じゃない場面に移動していた。

「うぉ!」「ッキュッ!」

 自分も腕の中に居たユキも驚いた。

「ここは?」
「ウォーゼン第2の都市と言われているバーゼンだ」
「もしかしてですが……、すべての町を回るんですか……?」
「いや、今回の騒動で被害を最小限に抑えたいだけだ」

 瞬間移動に会っても居ないのに自分を知っている人、ユキがご機嫌になったりするあたりもしかして会いに行こうとしていたエンシェントドラゴンだったりするのかな?

 マリベルからは神龍とも呼ばれていたと聞いているし、事が終わったら直接聞いてみるか。

 バーゼンでは、男も手伝ってくれたが、120人でやっていた王都とは違い、2人で始めた為か協力者にも手伝ってもらったが、2週間近くかけバーゼンの町のペスト患者の対応をしていった。

 その後も、大陸内の大きな都市を中心に転々と周りペスト患者の対応を続けていった。
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