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願いを叶える薬

第77話 思わぬ情報

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 今回の災害対応のお礼をしたいという事で、国王名義で城から招待され、ユキ、マイアと共に城に来ている。

「帰っていいですかね……」
「主役がいなくてどうするの」
「自分もマイアさんの部下という事で……」
「マリベル達はそうだけど、あなたは違うでしょうに」

 はぁ……、ため息しか出ない。

「ユキ、自分の幻影出して?マイアと2人で出て来てよ」
「キュ~」

 と首を横に振りながら鳴いていた。

「諦めなよ、今戻ったらマリベルに怒られるよ」

 確かにそれはあると思う、軽症者に囲まれたとき結構怖って思ったし。

「ん~……」

 何とか欠席しようと思ったが諦め謁見に出ることにした。


◇◇◇◇◇◇

謁見の間

 王の前で、マイアを中心に左右に自分とユキと行った感じで跪いて待っていた。

 プロズ王国の謁見時とは違い王と宰相の2人だけらしく気持ちが少し軽くなった。

「3人共面を上げよ」
「ッハ」

 返事等はすべてマイアに任せた。

「此度の対応まことに見事だった。国民を代表し感謝する」

 そう言うと王は軽く頭を下げた。

「特に誠明殿、そなたは多くの怪我人の対応し多くの命を救ってくれた」
「はい」
 
 頭を下げればいいのだろうか?

 良く分からなかったが頭を下げた。

「ユキ殿、そなたは幻影で誠明殿が対応するまで怪我人を励まし続けたと聞く」
「キュィ~」

 初めて知った。

 ユキはそんなことしてたのか。今回何故ユキの指名がとおもっていたがそういう事か、あの子の正体はと探り続けマイアやマリベルあたりから正体を突き止めたのかな?

「最後にマイア殿祖国が大変な状況にあるのにも関わらず、我が国の民の為尽力してくれたこと」

 祖国が大変ってなんだ?

「はい?祖国が大変というのはどういうことですか?」

 マイアも何も知らないらしかった。

「知らぬのか?ひと月ほど前からウォーゼン王国内で黒死病が蔓延していると聞くが……」

 ペスト、マバダザに居るときに他の大陸流行しているって聞いていたが結構近くまで来ていた。

「そんな!」
「知らなかったのか」
「はい!詳しい状況を教えてください!」

 謁見の間の空気が一転した。

「ワシらがつかんでいるのは王都ウォーゼンで既に100人程の死者が出ていると先日来た使者より聞いている」
「その使者はなんと!?」
「こちらに感染者を広めない為、当面の交易を中止したいと」

 それは賢明な判断だが、ウォーゼンからのネズミが潜んでいたら感染が広まりかねない。

「そうですか、今すぐ祖国に戻りたいと思います!大変失礼なこと思いますが船に戻ってもよろしいでしょうか」
「あぁ状況が状況だからな、仕方あるまい」
「ごめんね誠明、帝国まで送っていけなくなっちゃった」

 と、言い残しマイアは謁見の間を後にした。

「そなたたちはどうするのだ?ついて行かなくても良いのか?」

 ついて行く前に1つ聞いておきたい事がある。

「もし可能ならで構いません、ローズバジルの葉、もしくは茶葉をお持ちでしたらあるだけ頂きたいのですが……」
「あるぞ、王都北部で結構取れるからな、もしや……」
「はい、黒死病に有効な薬です。なので分けてもらえるなら!」
「もちろんだ!おいフェル今国で確保しているだけのものを渡してやれ」
「ッハ!誠明殿こちらへ」

 フェル宰相の後について行くと、木箱がびっしり並んでいる倉庫に案内された。

「この倉庫に入っている木箱はすべてローズバジルの茶葉です。国王が言っていたようにすべて持って行って構いません」
「ありがとうございます。ユキ、悪いんだけどマイアとマリベルに出航を待つように伝えてもらっていい?」
「キュィ~……」

 ユキも早く人になりたいと思っているのも分かっているが、ここはマイア達と出会って縁をもったんだ、彼女の祖国を助けるべきだろう。

 木箱の大半をアイテムボックスに入れて港に向かった。

 ユキがちゃんと伝えてくれたらしく、出航せずに待っていてくれた。

 甲板にあがると待っていたマイアから。

「帝国に向かわなくていいの?」
「そうしたいのは山々ですが、ウォーゼンの人達には自分の力が必要でしょ?」
「そうね……、ごめんねユキちゃん、本当にごめんね」

 なんで帝国に向かっているのかをユキから聞いたのだろう。

 マイアは、少し泣きながらユキを抱きしめていた。

「キュィ~……」

 ユキとしては、自分の願望とマイアの願望とが頭の中でごちゃごちゃして整理できないんだろうなと思った。
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