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願いを叶える薬
第60話 別れと帝国へのルート
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「別れの時か」
「そうですね、でも内科的な事なら十分仕事出来るでしょ?」
ライさんには内科医としてやっていける知識と技術は教えた。あとは経験を積んで行けばいい。元々看護師としての知識は持ち合わせていたおかげで十分にやっていけるはずだと思う。
「そうだな、私はしばらくこの地で残るよ、残りは貰って良いのかい?」
「えぇ、1個あれば十分なんですよね?」
「あぁ、だがもし調合に失敗したらもう1個必要になるが」
「その時はまたここにきますよ」
「そうか、ところでどうやって帝国にいくんだ?」
「おすすめルートあります?」
「そうだな、すこしまっとれ」
ライさんは何か考えるようなそぶりを見せていた。そういうときは大体精霊とやり取りしているときだ、この半年間何度もみてきた。
「獣王国・ピオニア王国・ヘパッチ共和国の三国同盟と帝国の間で戦争中らしいな、陸路をとるなら東側のプリムト共和国からいくか、西側のフェンブルム王国を経由だな、海路も似たような感じだが一度プロズ王国のカッチョイスにいって内海を南下だな、あとはオリビから西側に陸沿いを行く位だがそっち方面に行く船この時期ないないから、アーテスやアンリニーまで歩いてそこから船があるかどうかだな」
プリムト経由はおそらくプロズ王国経由しなきゃいけない、海路も内海経由でプロズ王国経由なら選択肢は陸路で西回りフェンブルム王国経由か。
床に地図を広げてみた。
「帝国ってかなり広い戦線抱えてますよね……」
「そうだな、あそこは国土も広く人も多いからな数で攻めてるが、正直ここ5年は国境は変わってないな」
戦争起こす意味があるのか?
「そうなんですね、とりあえず西側の陸路でいくとしたらピオニア王国北部をチュンリシアに抜けてロンテセラ公国でフェンブルム王国ですか?」
「いや、オリビから道があっただろう?」
「えぇ、あれが帝国まで続いてるんですか?」
「帝国までは続いていないが、フェンブルム王国の王都クロンベまで続いている。一度ドワイライフを経由していくが、この大通りなら乗合馬車も結構走ってるぞ」
安全か、急ぐ旅路でもないからいいけどもどれくらいかかるんだろうか。見た感じ結構グニャグニャしているが……。
「これ大通りでいったらどれくらいかかりますかね、見た感じ1年半とかそれくらいかかりそうですけど」
「徒歩なら実際それ位だろう、大通りでいくなら海沿いの町も通るだろうからその時西側に周る船を捕まえるのが一番早いだろうな」
とりあえず大通りで乗合馬車を使いつつ港町に立ち寄ったらフェンブルム王国方面行きの船を捕まえるか、一応方針が決まったな。
「これって、ドワイライフの王都通りますよね?」
「あぁもちろんだ」
旅の途中だから推薦状はいいか。
「それじゃあとりあえず、提案してもらったように乗合馬車つかってですかね、オリビから馬車ってでてましたっけ?」
これまで何度かオリビに買い出しに行ったが、馬車なんて見た事なかった。
「乗合はないな、各集落の買い出し用の馬車位だな、ミグニー大森林の中はエルフと我々ハイエルフしかいないしあまり期待せん方が良い、ミグニーに居る間は徒歩移動だろう、ドワイライフのアーテスの町から乗合馬車が使えるだろう」
思えば最初の目的はカッチョイスからアーテスに向かってドワイライフ王国王都クロットに向かう予定だった。
「アーテスって港町じゃなかったです?」
「規模の大きい港町だよ、だからこそ馬車の数も多い」
「なるほど、じゃあとりあえず明日の朝アーテスの町に向かいます」
「あぁそうするといい」
ライさんの表情が先ほどからずっと曇っている。自分らとの別れが寂しいのが良く分かった。
自分も寂しくないわけじゃない、このライさんが知っている薬草とそれぞれの作り方を色々教えてくれた良い師だった。
ザックやジルさんと並んでかけがえのない友人だと思っている。
その後、いつものドライアドの木の下で最後の講義をした。
そしてライさんからは選別としてライさん直筆の薬草集の貰い、自分は大学時代の教科書や参考書等すべての医学に関わる本を渡した。
「こんなに貰えるのか……」
「外科的な内容もありますが、後世の為に役立ててくれると嬉しいです」
「あぁ、そうさせてもらおう」
最後にガッチリと固い握手を交わした。
翌朝、半年間住んだ場所を旅立ちアーテスの町に向かった。
「そうですね、でも内科的な事なら十分仕事出来るでしょ?」
ライさんには内科医としてやっていける知識と技術は教えた。あとは経験を積んで行けばいい。元々看護師としての知識は持ち合わせていたおかげで十分にやっていけるはずだと思う。
「そうだな、私はしばらくこの地で残るよ、残りは貰って良いのかい?」
「えぇ、1個あれば十分なんですよね?」
「あぁ、だがもし調合に失敗したらもう1個必要になるが」
「その時はまたここにきますよ」
「そうか、ところでどうやって帝国にいくんだ?」
「おすすめルートあります?」
「そうだな、すこしまっとれ」
ライさんは何か考えるようなそぶりを見せていた。そういうときは大体精霊とやり取りしているときだ、この半年間何度もみてきた。
「獣王国・ピオニア王国・ヘパッチ共和国の三国同盟と帝国の間で戦争中らしいな、陸路をとるなら東側のプリムト共和国からいくか、西側のフェンブルム王国を経由だな、海路も似たような感じだが一度プロズ王国のカッチョイスにいって内海を南下だな、あとはオリビから西側に陸沿いを行く位だがそっち方面に行く船この時期ないないから、アーテスやアンリニーまで歩いてそこから船があるかどうかだな」
プリムト経由はおそらくプロズ王国経由しなきゃいけない、海路も内海経由でプロズ王国経由なら選択肢は陸路で西回りフェンブルム王国経由か。
床に地図を広げてみた。
「帝国ってかなり広い戦線抱えてますよね……」
「そうだな、あそこは国土も広く人も多いからな数で攻めてるが、正直ここ5年は国境は変わってないな」
戦争起こす意味があるのか?
「そうなんですね、とりあえず西側の陸路でいくとしたらピオニア王国北部をチュンリシアに抜けてロンテセラ公国でフェンブルム王国ですか?」
「いや、オリビから道があっただろう?」
「えぇ、あれが帝国まで続いてるんですか?」
「帝国までは続いていないが、フェンブルム王国の王都クロンベまで続いている。一度ドワイライフを経由していくが、この大通りなら乗合馬車も結構走ってるぞ」
安全か、急ぐ旅路でもないからいいけどもどれくらいかかるんだろうか。見た感じ結構グニャグニャしているが……。
「これ大通りでいったらどれくらいかかりますかね、見た感じ1年半とかそれくらいかかりそうですけど」
「徒歩なら実際それ位だろう、大通りでいくなら海沿いの町も通るだろうからその時西側に周る船を捕まえるのが一番早いだろうな」
とりあえず大通りで乗合馬車を使いつつ港町に立ち寄ったらフェンブルム王国方面行きの船を捕まえるか、一応方針が決まったな。
「これって、ドワイライフの王都通りますよね?」
「あぁもちろんだ」
旅の途中だから推薦状はいいか。
「それじゃあとりあえず、提案してもらったように乗合馬車つかってですかね、オリビから馬車ってでてましたっけ?」
これまで何度かオリビに買い出しに行ったが、馬車なんて見た事なかった。
「乗合はないな、各集落の買い出し用の馬車位だな、ミグニー大森林の中はエルフと我々ハイエルフしかいないしあまり期待せん方が良い、ミグニーに居る間は徒歩移動だろう、ドワイライフのアーテスの町から乗合馬車が使えるだろう」
思えば最初の目的はカッチョイスからアーテスに向かってドワイライフ王国王都クロットに向かう予定だった。
「アーテスって港町じゃなかったです?」
「規模の大きい港町だよ、だからこそ馬車の数も多い」
「なるほど、じゃあとりあえず明日の朝アーテスの町に向かいます」
「あぁそうするといい」
ライさんの表情が先ほどからずっと曇っている。自分らとの別れが寂しいのが良く分かった。
自分も寂しくないわけじゃない、このライさんが知っている薬草とそれぞれの作り方を色々教えてくれた良い師だった。
ザックやジルさんと並んでかけがえのない友人だと思っている。
その後、いつものドライアドの木の下で最後の講義をした。
そしてライさんからは選別としてライさん直筆の薬草集の貰い、自分は大学時代の教科書や参考書等すべての医学に関わる本を渡した。
「こんなに貰えるのか……」
「外科的な内容もありますが、後世の為に役立ててくれると嬉しいです」
「あぁ、そうさせてもらおう」
最後にガッチリと固い握手を交わした。
翌朝、半年間住んだ場所を旅立ちアーテスの町に向かった。
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