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願いを叶える薬

第57話 エリクサー(願いを叶える薬)の素材

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「そういえば、ライさん」
「うん?」
「ドライアドの実、と月夜花は何とかなるとして、月の雫とエンシェントドラゴンかフェンリルの血と最後の素材ってどこで手に入れるんですか?」
「血の存在をしっているか、君の製薬スキルのおかげかな?」

 この人も鑑定があるのかな?

「そうですね、自分の場合は、何かしたいと思った時に適切な素材と作り方が頭に浮かぶ感じですが」
「ほぉ珍しいの、それだとこうしたいと思ってから素材を取りに行ったりするのかい?」

 たしかにそうなる、前もって確保できるスタイルじゃないな。

「そうですね……」
「そうか、なら少し取引しないか?」
「ぇ?」
「私からは、この世界の薬学を教えよう、そなたについている精霊からは聖女様を上回る医学の知識があると聞く、それを私に教えてくださらんか?」

 この世界の薬を教えてもらえるのはありがたい。聖女様を上回る医学の知識というのは看護師と医者の違いからくるものだと思うがどこまで把握しているんだろうか?

「それは願ってもない申し出です。是非受けさせてください」
「ほっほ、それは良かった。これからよろしくお願いします師匠」
「こちらこそよろしくお願いします師匠」
「ほっほ、そうだエリクサーの素材の話だったな、月の雫は満月の夜、月に近い所で蒸留水を作るんじゃよ、遠くてもよいが月の魔素が必要でな、月の近い所で作る事で月の魔素を取り込んだ純度の高い水が月の雫なんだよ」

 月の位置が近ければ同じ1リットルの蒸留水でも月が近ければ水の中の魔素が多いのかな?

「もしかしてですが、月が近ければ近いほど魔素を取り込みやすいとかですか?」
「さよう余計な水分が飛ぶと黄金の輝きを放つから出来たかどうかも分かりやすいぞ」
「月の雫ってもしかして他の薬品でも使えたり……?」
「もちろん、ポーションなんかは綺麗な水でもできるが、蒸留水を、月の雫を使えばより効果のある物が出来るぞ」
 
 なるほど、満月の夜に大量に作っておく必要が……、曇りだったときは?

「曇りだと出来なかったり?」
「その通り出来ないな」

 下手すると満月の日に曇りや雨で作れない可能性があると……。

「そうですか、エンシェントドラゴンとかフェンリルの血というのは?」
「そっちは本人に同意を得て血を貰わんといかん、彼等がこちらの願いをかなえたいと思う事が大事だからね」

 本人説得しないとだめなのか……。

「聖女様の時も苦労されたので?」
「居場所探しには苦労したが、創造神から聖女様が来た時は素直に願いを叶えてやれと言われていたらしくて素直に血を分けてもらえたよ」

 それは多分だが、創造神の依頼でこちらに来てコレラの対応をした報酬としてもらえたんじゃなかろうか……?

「えっとどちらに居るので……?」
「ゼッフェルト帝国西部にある、ラッカン山脈にエンシェントドラゴン様は居ると思うがフェンリル様はこの世界のどこに居るのかは知らないな」

 帝国ね、どうしても帝国に行かせたいのか。

「最後の5個目の素材ってなんなんですか?ロアナさんからそんなことを聞いたんですが」
「それは血を分けてもらった時に教わると思うが、作り手が飲み手の願いをかなえたいという強い想いだよ。具体的にどうなって欲しいと思えばいいらしいが」

 やっぱり形のない物だったか、作り方に思い浮かばなかったあたりなくても作れるのかもしれないが、自分としてもユキの願いはかなえてあげたいし想いながら作ればいいかな?

 ここまで整理してて思うのは月の雫は運要素が絡んでくるがそんなに難しいものではないことが分かったが、エンシェントドラゴンの存在が面倒だな……。

「作り方ですが、月夜花の球根と葉をすりつぶし、月の雫を100ml足し、ドライアドの実をすりつぶしたものを投入しエンシェントドラゴン又はフェンリルの血を3滴たらし混ぜ続ける。で合ってます?」
「あぁ問題ないよ、すりつぶす物はちゃんとすりつぶせばよい。君の製薬スキルはある意味便利だね、作りたいものが秘薬の類でも思えば作り方が分かるというのは本当にうらやましい」

 たしかに本来誰かから教わるものだろうが、スキルのおかげで教わる必要がない。

「そうですね、色々教えてくれてありがとうございます。今度はこちらの番ですね、ライさんの医学の知識ってどんな感じなのか知りたいのですが」
「そうだね、これを見てもらえるかい?」

 そう言ってライさんがアイテムボックスと思しきものから取り出したのは思わぬ物だった。
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