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願いを叶える薬
第53話 ミグニーのハイエルフ達
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翌日の夕方、港の桟橋でユキと釣りを楽しんで宿に戻ると、宿のおかみさんから。
「ロアナちゃんから手紙を預かっているよ」
と言われ、おかみさんから手紙を受け取り中身を見ていると、“手紙を読んだら竹林の宿か酒場まで来てほしい“と書かれていた。
「すいません竹林の宿ってどこですか?」
「あぁ大通りを港の方に下っていくと広場があるの解かるかい?」
たぶん昨日一緒にリンゴを食べたところだと思った。
「そこならわかります」
「その広場手前の左の路地を一本入った所にあるよ」
「ありがとうございます」
早速宿を出て竹林の宿に向かった。
広場手前の路地を左に行くとすぐにそれらしき宿があり、入口の上に“竹林の宿”と書かれていた。
入り口を入ると、自分たちが居た海猫亭とは違い、1階はレストランのようになっていた。
「いらっしゃい、1人と1匹かな?」
自分たちに気づいた従業員らしき女性が寄って来て聞いてきた。
「あ、いえ、ロアナさんを訪ねてきたんですが」
「あぁ、あそこの親子は今部屋に戻ってるね。空いてる席に座ってまってておくれ」
と言われ辺りを見回し、空いている円卓を見つけ座って待つことにした。
しばらくすると、ロアナとモアナ姉妹とフィルそして後ろ髪を結んだロアナと同年代くらいの男性が降りて来た。もしかしてあれがお父さん?
「あ、お姉ちゃんあそこ」
最初に自分たちに気づいたのは妹のモアナちゃんだったようで、気づくなり手を振ってきた。
膝の上で甘えモードのユキを抱きかかえ一度立ち上がりこちらも手を振り返すと、3人がこちらにやってきた。
「お待たせしました。こちらが父のリオスです」
「リオスです。よろしく誠明君、娘たちを助けてくれてありがとう」
ロアナさんと同年代と思しき男性はやはり父親でしたか。優しい感じの人で良かった。
「自分は伊東誠明と申します。こっちが相棒ユキです。よろしくお願いします」
「あぁ、座ろうか」
「はい」
ロアナさんもモアナちゃんも座りフィル君はモアナの膝の上でお座りしていた。
「食べながら話をしようか、誠明君は食べれないものはあるかい?」
「いえ、特に食べれないものは無いです」
「そうか、それではおすすめコースにしようか」
その後、リオスさんは従業員を呼び色々な物を注文をしていた。
「さて、君は僕の父とエリクサーの件で話がしたいんだったよね?」
「はい、可能ですか?」
「うん、いいよ、ただオリビの町で少し待たせてしまう事になってしまうけどいいかな?」
オリビに戻るって言ってたし、港町かなんかかな?
「無理をお願いしているのはこちらなので大丈夫です」
「そうか、父がオリビまで来てくれるとは思うが、そうじゃない時は道なき道を歩いて我々の住処に来てもらうことになるがいいかい?」
「道なき道ですか?」
「そう、エルフ達は定住する集落があるんだが、我々は1年ごとに住処を変えていてねそのためオリビから今の住処までは道がないんだ」
遊牧民ならぬ遊森民なんだろうか?
「その時はがんばります」
「うん、それからもう一つ、エリクサーの材料であるドライアドの実は我々にとっても大切な物なんだ、もしかしたら手に入れるのは難しいかもしれないよ」
まぁ願いを叶える薬の素材だし入手が難しいだろうってのは予測していた。
「そうですか……、ドライアドの実ってどんなものなんですか?」
「そうだね、ミグニーの所々にドライアド達が育てている木があってね、その木の実なんだ、我々が1年おきに住処を移しているのはドライアドの実の恩恵をあずかる為に、実のできるドライアドの木の近くに移り住んでいるからなんだ」
毎年実を着けるわけじゃないのか、実をつける条件みたいなのはあるのだろうか?
「実をつける条件ってあるんですか?」
「あるよ、翌年実を付けるドライアドの木周辺は魔素が濃くなるんだ、濃くなる事でドライアド達が活発化して木を育てるんだよ」
もしかして魔素を放出しまくればドライアド達が集まってくるのかな?
もしそうなら当分実のならない場所で自分の体内の魔素を放出しまくれば……。
「そうなんですね、オリビ近くにもドライアドの木ってあるんですか?」
「あるけど、もう枯れてしまっているから実を付ける事はないんじゃないかな?」
枯れてるのか、違うところを探すべきなのかな?
「もしもの話ですけど、自分がいる間に実ったらもらえたりします?」
「そうだね、それは問題ないと思うよ、我々が見ていた木以外で実ったなんてのはよく聞くしその時は見つけた人に所有権があるからね」
よっし言質を取れた。試せることは試そう。
「月の雫について何か知ってますか?」
「ごめんね、ボクは製薬関係はさっぱりなんだ」
「そうですか」
ドライアドの実、月の雫、エンシェントドラゴンかフェンリルの血と何か、果たして集められるのだろうか?
その後は夕食を食べながらいろいろな話を聞き、明日の朝出航するということになった。
「ロアナちゃんから手紙を預かっているよ」
と言われ、おかみさんから手紙を受け取り中身を見ていると、“手紙を読んだら竹林の宿か酒場まで来てほしい“と書かれていた。
「すいません竹林の宿ってどこですか?」
「あぁ大通りを港の方に下っていくと広場があるの解かるかい?」
たぶん昨日一緒にリンゴを食べたところだと思った。
「そこならわかります」
「その広場手前の左の路地を一本入った所にあるよ」
「ありがとうございます」
早速宿を出て竹林の宿に向かった。
広場手前の路地を左に行くとすぐにそれらしき宿があり、入口の上に“竹林の宿”と書かれていた。
入り口を入ると、自分たちが居た海猫亭とは違い、1階はレストランのようになっていた。
「いらっしゃい、1人と1匹かな?」
自分たちに気づいた従業員らしき女性が寄って来て聞いてきた。
「あ、いえ、ロアナさんを訪ねてきたんですが」
「あぁ、あそこの親子は今部屋に戻ってるね。空いてる席に座ってまってておくれ」
と言われ辺りを見回し、空いている円卓を見つけ座って待つことにした。
しばらくすると、ロアナとモアナ姉妹とフィルそして後ろ髪を結んだロアナと同年代くらいの男性が降りて来た。もしかしてあれがお父さん?
「あ、お姉ちゃんあそこ」
最初に自分たちに気づいたのは妹のモアナちゃんだったようで、気づくなり手を振ってきた。
膝の上で甘えモードのユキを抱きかかえ一度立ち上がりこちらも手を振り返すと、3人がこちらにやってきた。
「お待たせしました。こちらが父のリオスです」
「リオスです。よろしく誠明君、娘たちを助けてくれてありがとう」
ロアナさんと同年代と思しき男性はやはり父親でしたか。優しい感じの人で良かった。
「自分は伊東誠明と申します。こっちが相棒ユキです。よろしくお願いします」
「あぁ、座ろうか」
「はい」
ロアナさんもモアナちゃんも座りフィル君はモアナの膝の上でお座りしていた。
「食べながら話をしようか、誠明君は食べれないものはあるかい?」
「いえ、特に食べれないものは無いです」
「そうか、それではおすすめコースにしようか」
その後、リオスさんは従業員を呼び色々な物を注文をしていた。
「さて、君は僕の父とエリクサーの件で話がしたいんだったよね?」
「はい、可能ですか?」
「うん、いいよ、ただオリビの町で少し待たせてしまう事になってしまうけどいいかな?」
オリビに戻るって言ってたし、港町かなんかかな?
「無理をお願いしているのはこちらなので大丈夫です」
「そうか、父がオリビまで来てくれるとは思うが、そうじゃない時は道なき道を歩いて我々の住処に来てもらうことになるがいいかい?」
「道なき道ですか?」
「そう、エルフ達は定住する集落があるんだが、我々は1年ごとに住処を変えていてねそのためオリビから今の住処までは道がないんだ」
遊牧民ならぬ遊森民なんだろうか?
「その時はがんばります」
「うん、それからもう一つ、エリクサーの材料であるドライアドの実は我々にとっても大切な物なんだ、もしかしたら手に入れるのは難しいかもしれないよ」
まぁ願いを叶える薬の素材だし入手が難しいだろうってのは予測していた。
「そうですか……、ドライアドの実ってどんなものなんですか?」
「そうだね、ミグニーの所々にドライアド達が育てている木があってね、その木の実なんだ、我々が1年おきに住処を移しているのはドライアドの実の恩恵をあずかる為に、実のできるドライアドの木の近くに移り住んでいるからなんだ」
毎年実を着けるわけじゃないのか、実をつける条件みたいなのはあるのだろうか?
「実をつける条件ってあるんですか?」
「あるよ、翌年実を付けるドライアドの木周辺は魔素が濃くなるんだ、濃くなる事でドライアド達が活発化して木を育てるんだよ」
もしかして魔素を放出しまくればドライアド達が集まってくるのかな?
もしそうなら当分実のならない場所で自分の体内の魔素を放出しまくれば……。
「そうなんですね、オリビ近くにもドライアドの木ってあるんですか?」
「あるけど、もう枯れてしまっているから実を付ける事はないんじゃないかな?」
枯れてるのか、違うところを探すべきなのかな?
「もしもの話ですけど、自分がいる間に実ったらもらえたりします?」
「そうだね、それは問題ないと思うよ、我々が見ていた木以外で実ったなんてのはよく聞くしその時は見つけた人に所有権があるからね」
よっし言質を取れた。試せることは試そう。
「月の雫について何か知ってますか?」
「ごめんね、ボクは製薬関係はさっぱりなんだ」
「そうですか」
ドライアドの実、月の雫、エンシェントドラゴンかフェンリルの血と何か、果たして集められるのだろうか?
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