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天神エルメダの稽古

第168話 VS過去の自分 リベンジマッチ

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 エルメダの攻撃を余裕で避けたり、受け流すことが出来るようになったころには、ベストコンディションで戦い続けることが出来るようになっていた。

 そうなるまでに、どれだけエルメダに吹っ飛ばされたかなんて考えたくはなかった。

「もう一度おまえ自身と戦ってみるか?」

 正直勝てると思っていないが、どれくらい力の差が埋まっているのか理解するにはいい機会だ。

「そうですね、お願いします」
「よっし」

 それだけ言うと、少し離れた場所に自分と同じ格好をした黒い人型が現れた。

 自分も刀の柄に手を添え腰を落として居合の構えを取った。

「よっし!はじめ!」

 あの時とは違い向こうの動きがしっかり見えた。行動速度上昇と縮地を使ってる?と思える位に普通の速度で襲い掛かってきた。

 前回同様に、相手の攻撃軌道上に合わせて刀を抜いた。

 前回の失敗を繰り返さないように折れた刃がこちらに飛んでこないように斬り飛ばした。

 黒い自分が横を抜けていくのに合わせて自分も1歩前にステップしつつ後ろを振り向きざまに横に斬りつけた。

 黒い自分はこっちを見ながら、斬撃を後ろにステップして回避していた。

 ッチ……、簡単には終わらないか、と思っていたら、折れた刀を投げ捨てた。そして黒い自分は、こちらに襲ってくることなく、様子見をしていた。

 嫌な予感がした。自分なら確かに折れた刀を捨てて相手の刀を取る判断をする。そしてその技を合気道の稽古で太刀取りを散々やってきたからな。

 相手が懐に入るなりしてくると予測をしたうえで、適当に斬りつけ、即間合いをあければいけるはず、そう思いつつ適当に突きをしに行った。

 すると、自分の左側に避け手首を抑えようとしてきたので即座に離れた。

 思っていた通り、合気道で自分の相手をする気だ、だが幸いな事に自分自身も合気道を長年やってきた身だ、どの攻撃をしたらどのように返すかが分かる。

 ならば自分があまりやってこなかったスタイルで攻撃すればいい、合気道の太刀取り系の技は基本1刀流相手だ、自分は2刀流相手の練習をしたことはない。

 左手で脇差を抜き、2刀流スタイルになった。右手の刀は正眼、左手の脇差は目線の高さまであげ構えた。

 改めて、自分自身に突っ込む。まずは右手の刀で右から左への一文字斬りをしようとすると、相手は後ろに飛びのいた。

 だろうな……、基本的に、正面斬りに対しての技が多いからな、横薙ぎ系の技に関してはやり難いはずだ。

 上から下への斬撃は使わず、左右への横薙ぎを中心に使っていくと。相手は回避を中心になっていった。

 このままじゃらちが明かないな……、何か手を考えないと。刀を相手に向けて投げると言うのは愚行だろう、おそらく見切りがあるからキャッチされて武器にされるのがおちだ。

 どうするか、こっちの武器を変えるか?この空間に来てから作った。チャクラムと十文字槍ならある。

 逃げるならチャクラムを使うか、刀の2刀流から、両手にチャクラムスタイルに変え時間差投げや同時投げでキャッチされたら戻れと念じて手元に戻す。

 過去の自分がうざい、見切りスキルのせいでなかなか当たらない!当たっても掠めた程度で大してダメージにならない、もうほんとに回避ばっかりしてないでかかって来いよ!と思った。

 これは、対自分用の武器を作らないといけないな、何が良いんだ?と思った瞬間。

 黒い自分がスナイパーライフルを取り出し構えた。

「ちょ!」

 っと思った瞬間“ダン!”銃声が響いたが、当たらなかった。

 立場逆転された?と思いつつ、“ダンダンダン”と3連発。銃口の向きである程度の弾道は分かるが、避けるので精一杯だった。

 スナイパーライフルなのにスコープを覗いて狙いを定めないで大体で自分を狙っているのが分かる。オスカーからスナイパーライフルを貰ってなければ!と過去の自分を恨んだ。

 こちらもスナイパーライフルに持ち替え応戦するが、当たらない、相手の玉が自分にあたらないように、こちらの玉も自分にあたらない。

 スコープを覗いてくれれば、死角が出来るのにな、と思った。
 
 ある程度予測しながら動かないと銃弾を受けそうな気がした。

 ん……、死角か、チャクラムの軌道を見て避けられるなら、行きで当てないで帰ってくるところで当てればいい。

 そう思ったらすぐにチャクラムに持ち替え行動を起こした。

 まずは2つのチャクラムを全然違う方向に思いっきり投げ、刀を取り出し、黒い自分へ突っ込んでいく。

 突っ込んでいく自分に対して、“ダン”という音が響き、避け切れずに脇部分に被弾した。

 痛い!超痛い!泣きたいレベルで痛い!
 致命傷というほどではないが、ここで倒れたらダメだ、あと少しだけ! チャクラムが帰ってくるまで!と思った瞬間、世界がスローになった気がした。

 転ばないように、前に出した足を踏ん張るも、痛みのせいで足がもつれそうだ、その瞬間にも、スナイパーライフルのトリガーに掛けている人差し指が動こうとしているのが分かった。

 ヤバイ!と思った瞬間足がもつれて転んだが、次の銃声が響くことはなかった。

 どうやら戻ってきたチャクラムが上手く当たってくれたようだった。

「それまで!ギリギリだが勝てたな」

 チャクラムが帰ってくるのが数秒でも遅かったら倒れたところを撃たれてこちらの負けだっただろう。

「勝ったと言って良いのか疑問ですが……」
「気にするな、次のステップに進むぞ」

 次のステップは何をするんだ……?
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