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王都ヴェンダル
第83話 湖底遺跡潜入
しおりを挟むウンディーネ達の元に戻ると、青い光の玉があちらこちらに飛び回っていた。こちらに気づくと周りに青い光の玉が集まってきた。
「これで手伝ってくれるのかな?」
「だといいがな」
ヒスイが身振り手振りで何やらウンディーネ達とやり取りをしているようだった。しばらくやり取りを見守っているとヒスイがオスカーの方を向いた。
「オスカーこの子と契約してくれる?」
「俺で良いのか?」
「この子がそう望んでいる。」
1つの青い光の玉がオスカーの近くまで寄っていった。
「名前を与えればいいのか?」
「だね~」
「そうだな、直人は宝石を元にしているんだよな?」
「そうですね、ヒスイの身体の色が宝石の翡翠の色に近いからですかね」
「青系の宝石が思いつかんな、アクアでいいか?」
そのまま!?とか思ったが、可愛い感じの名前の青系の宝石が思いつかない。
「いいんじゃない、喜んでるよ」
「アクアよろしくな」
ここからしばらくオスカーの独り言が始まった。
「で、どうすればいい?」
「あぁ~なるほどな」
「車でもいいか?」
「よっし、それじゃあそれでいこうか」
どうやら話がまとまったらしい。
オスカーが空いているスペースに車を出した。
「こいつに頼めるか?」
「直人乗れ」
言われた通りオスカーの車に乗り込む、オスカーも乗り込むと車がシャボン玉の様なものに包まれた。
「これでいいらしい、こいつで川を渡った事は何度かあったが、水の中に入るのは初めてだな」
オスカーがそう言うと、車のエンジンをかけ、湖の中に進んで行った。
自分は、こんな泡でどうにかなるのか!?割れて溺れないよね!?と思っていた。
車が湖の中に侵入し完全に潜水した。
「大丈夫そうだな、このままいくか」
「場所わかるんです?」
「いや、知らんな」
そう言うと目の前に滑走路のように明かりが灯っていく。
「こいつは?あぁ、ありがとな」
どうやらウンディーネ達が道案内をしてくれるらしい、湖底を進んで行くと大分暗くなってきた。
「まだ先なんですかね?」
「アクアが言うには、湖の中央一番深い所にあるらしいからな」
クレーターが湖になったならそうだよね、レベルトは水圧対策をどうしたんだろう?
『ヒスイ、セイレーンの涙って水圧もなんとかしてくれるの?』
『それ位はしてくれるよ』
それ位ね、他にも凄い機能があるって事だろうか?
「アクアが言うには、そろそろらしい」
しばらく進むと、ウンディーネ達道案内が無くなった。
「直人そっち側になにかないか?」
暗くて良く分からないのだが……、目を凝らすと少し離れたところに穴があった。
「あぁ、あれですかね」
穴と思しき所を指さしオスカーに伝えた。
「あれで合ってるようだ、車から降りろ、降りたら少し待ってだそうだ」
言われた通り車から降りて待機した。その間オスカーも車から降り、車を片付けた。
その瞬間、泡がオスカーと自分と2つに分かれた。
「それじゃあ行くか」
オスカーの後について行く、穴の近くまで来ると、オスカーがマシンガンを構え壁に張り付き中の様子を窺っていた。
なんというか、戦争映画のワンシーンみたいだなとか思っていると、オスカーがこっちを見て人差し指をたて唇にあてた。
なるほど、喋るなって事ね、そもそも2つの泡に分かれているのに喋った所で相手に聞こえるのか?という疑問が浮かんだが口にはしない。
今度は、人差し指だけを立て、オスカー自身を差し次いで穴の中を差した。
あぁなるほど、まずはオスカーが突っ込むってことね、その後をついて行けばいいかな?
『待って、中の様子を確かめてくるみたい』
『ん?ヒスイはわかるの?』
『うん、ウンディーネがそう言ってるから』
なるほど、今のうちにオスカーの出すハンドサインを覚えておこう、その後、オスカーが何らかのハンドサインを出すたびに、ヒスイが教えてくれた。
『なんか見慣れない動きしているけど』
『エネミーだって、この先レイクシャークがいるね』
『なるほど、あれは敵が居るってことね』
『うんうん』
思えば水中で泳ぐ動作じゃなく、普通に地上で行動するような動作で移動しているな、とか思ってしまった。
『で、どうするの?』
『悩んでるみたい、銃やナイフを使うと泡が割れるしね~、ネア様の刀か神の手なら対処出来るんじゃないかな?』
確かに、泡を斬らずにレイクシャークを斬る事は出来るだろう。
『んじゃ、自分が前に出ると伝えてくれる?』
『いいよ~』
しばらくすると、オスカーがこっちを見て来いとハンドサインを出した。
『来いだって』
オスカーの元によると、手を広げこちらに手のひらを見せた。
『止まれかな?』
『うん』
何というか1人の時とは違う緊張感があるな……
オスカーがこっちを向き、遠くを見るようなサインを出した。
『こっちを見ているってこと?』
『うん、この先開けた場所に出るんだけど、そこに3匹居るね』
『そんなにいるのか、これ縮地使っても纏ってる泡って追いついてくる?』
『ん~大丈夫じゃないかな?』
大丈夫!ってハッキリした答えが欲しかった、その答え方は不安しかなかった。
『大丈夫だって、ウンディーネが言ってる』
ならこそこそと隠れる必要はない、オスカーの横まで行くと、確かに1匹出口の近くをうろついていた。
目を閉じ心眼を発動させると、サメの形をした緑色ラインが浮かび上がった。今はまだ敵対者じゃないから赤じゃないのかな。
手前に1匹、ちょっと離れた所に1匹、上の方に1匹こいつが他の2匹より1.5倍程大きいな……、斬るのはレイクシャークの命のみ、部屋の中が見える位置に移動し、目の前にいたサメのラインが緑から赤に変わった瞬間、縮地を使い一閃!
次!奥に居たやつがこっちに気づいたようで緑から赤のラインに変わった。こっちに襲い掛かってくる。相手の鼻に合わせて突きを1撃!
次!上の奴はまだ下で起こっている事に気づいていないらしく緑のままだった。上にいるやつの腹部をめがけ、縮地を使い飛び上がり一閃!
これで片付いたはずだ。
『なんでこんな狭い所に3匹も居るんだか』
『そりゃでたら、キラークロコダイルに喰われるからでしょ』
『隠れてたって事?』
『じゃないの?』
下に降りる速度は地上とは違いゆっくり降りて行った。
下に着くと、オスカーがGOODサインを出して、ハイタッチ動作を見せたので、泡越しにハイタッチをした。
『もう少しで中央部だよ』
『そっか』
その後もオスカーのハンドサインを元に奥に進んで行った。
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