【完結】神様と呼ばれた医師の異世界転生物語 ~胸を張って彼女と再会するために自分磨きの旅へ!~

川原源明

文字の大きさ
上 下
83 / 195
王都ヴェンダル

第83話 湖底遺跡潜入

しおりを挟む


 ウンディーネ達の元に戻ると、青い光の玉があちらこちらに飛び回っていた。こちらに気づくと周りに青い光の玉が集まってきた。


「これで手伝ってくれるのかな?」

「だといいがな」


 ヒスイが身振り手振りで何やらウンディーネ達とやり取りをしているようだった。しばらくやり取りを見守っているとヒスイがオスカーの方を向いた。


「オスカーこの子と契約してくれる?」

「俺で良いのか?」

「この子がそう望んでいる。」


 1つの青い光の玉がオスカーの近くまで寄っていった。


「名前を与えればいいのか?」

「だね~」

「そうだな、直人は宝石を元にしているんだよな?」

「そうですね、ヒスイの身体の色が宝石の翡翠の色に近いからですかね」

「青系の宝石が思いつかんな、アクアでいいか?」


 そのまま!?とか思ったが、可愛い感じの名前の青系の宝石が思いつかない。


「いいんじゃない、喜んでるよ」

「アクアよろしくな」


 ここからしばらくオスカーの独り言が始まった。


「で、どうすればいい?」

「あぁ~なるほどな」

「車でもいいか?」

「よっし、それじゃあそれでいこうか」


 どうやら話がまとまったらしい。

 オスカーが空いているスペースに車を出した。


「こいつに頼めるか?」

「直人乗れ」


 言われた通りオスカーの車に乗り込む、オスカーも乗り込むと車がシャボン玉の様なものに包まれた。


「これでいいらしい、こいつで川を渡った事は何度かあったが、水の中に入るのは初めてだな」


 オスカーがそう言うと、車のエンジンをかけ、湖の中に進んで行った。


 自分は、こんな泡でどうにかなるのか!?割れて溺れないよね!?と思っていた。


 車が湖の中に侵入し完全に潜水した。

 

「大丈夫そうだな、このままいくか」

「場所わかるんです?」

「いや、知らんな」


 そう言うと目の前に滑走路のように明かりが灯っていく。


「こいつは?あぁ、ありがとな」


 どうやらウンディーネ達が道案内をしてくれるらしい、湖底を進んで行くと大分暗くなってきた。


「まだ先なんですかね?」

「アクアが言うには、湖の中央一番深い所にあるらしいからな」


 クレーターが湖になったならそうだよね、レベルトは水圧対策をどうしたんだろう?


『ヒスイ、セイレーンの涙って水圧もなんとかしてくれるの?』

『それ位はしてくれるよ』


 それ位ね、他にも凄い機能があるって事だろうか?


「アクアが言うには、そろそろらしい」


 しばらく進むと、ウンディーネ達道案内が無くなった。


「直人そっち側になにかないか?」


 暗くて良く分からないのだが……、目を凝らすと少し離れたところに穴があった。


「あぁ、あれですかね」


 穴と思しき所を指さしオスカーに伝えた。


「あれで合ってるようだ、車から降りろ、降りたら少し待ってだそうだ」


 言われた通り車から降りて待機した。その間オスカーも車から降り、車を片付けた。


 その瞬間、泡がオスカーと自分と2つに分かれた。


「それじゃあ行くか」


 オスカーの後について行く、穴の近くまで来ると、オスカーがマシンガンを構え壁に張り付き中の様子を窺っていた。


 なんというか、戦争映画のワンシーンみたいだなとか思っていると、オスカーがこっちを見て人差し指をたて唇にあてた。


 なるほど、喋るなって事ね、そもそも2つの泡に分かれているのに喋った所で相手に聞こえるのか?という疑問が浮かんだが口にはしない。


 今度は、人差し指だけを立て、オスカー自身を差し次いで穴の中を差した。


 あぁなるほど、まずはオスカーが突っ込むってことね、その後をついて行けばいいかな?


『待って、中の様子を確かめてくるみたい』

『ん?ヒスイはわかるの?』

『うん、ウンディーネがそう言ってるから』


 なるほど、今のうちにオスカーの出すハンドサインを覚えておこう、その後、オスカーが何らかのハンドサインを出すたびに、ヒスイが教えてくれた。


『なんか見慣れない動きしているけど』

『エネミーだって、この先レイクシャークがいるね』

『なるほど、あれは敵が居るってことね』

『うんうん』


 思えば水中で泳ぐ動作じゃなく、普通に地上で行動するような動作で移動しているな、とか思ってしまった。


『で、どうするの?』

『悩んでるみたい、銃やナイフを使うと泡が割れるしね~、ネア様の刀か神の手なら対処出来るんじゃないかな?』 


 確かに、泡を斬らずにレイクシャークを斬る事は出来るだろう。


『んじゃ、自分が前に出ると伝えてくれる?』

『いいよ~』


 しばらくすると、オスカーがこっちを見て来いとハンドサインを出した。


『来いだって』


 オスカーの元によると、手を広げこちらに手のひらを見せた。


『止まれかな?』

『うん』


 何というか1人の時とは違う緊張感があるな……

 オスカーがこっちを向き、遠くを見るようなサインを出した。


『こっちを見ているってこと?』

『うん、この先開けた場所に出るんだけど、そこに3匹居るね』

『そんなにいるのか、これ縮地使っても纏ってる泡って追いついてくる?』

『ん~大丈夫じゃないかな?』


 大丈夫!ってハッキリした答えが欲しかった、その答え方は不安しかなかった。


『大丈夫だって、ウンディーネが言ってる』


 ならこそこそと隠れる必要はない、オスカーの横まで行くと、確かに1匹出口の近くをうろついていた。


 目を閉じ心眼を発動させると、サメの形をした緑色ラインが浮かび上がった。今はまだ敵対者じゃないから赤じゃないのかな。


 手前に1匹、ちょっと離れた所に1匹、上の方に1匹こいつが他の2匹より1.5倍程大きいな……、斬るのはレイクシャークの命のみ、部屋の中が見える位置に移動し、目の前にいたサメのラインが緑から赤に変わった瞬間、縮地を使い一閃!

 次!奥に居たやつがこっちに気づいたようで緑から赤のラインに変わった。こっちに襲い掛かってくる。相手の鼻に合わせて突きを1撃!

 次!上の奴はまだ下で起こっている事に気づいていないらしく緑のままだった。上にいるやつの腹部をめがけ、縮地を使い飛び上がり一閃!


 これで片付いたはずだ。


『なんでこんな狭い所に3匹も居るんだか』

『そりゃでたら、キラークロコダイルに喰われるからでしょ』

『隠れてたって事?』

『じゃないの?』


 下に降りる速度は地上とは違いゆっくり降りて行った。


 下に着くと、オスカーがGOODサインを出して、ハイタッチ動作を見せたので、泡越しにハイタッチをした。


『もう少しで中央部だよ』

『そっか』

 

その後もオスカーのハンドサインを元に奥に進んで行った。
しおりを挟む
感想 34

あなたにおすすめの小説

神様と呼ばれた精霊使い ~個性豊かな精霊達と共に~

川原源明
ファンタジー
ルマーン帝国ハーヴァー地方の小さな村に一人の少女がいた。 彼女の名はラミナ、小さな村で祖母と両親と4人で平和な生活を送っていた。 そんなある日のこと、狩りに行った父が倒れ、仲間の狩人に担がれて帰宅。 祖母の必死な看病もむなしく数時間後には亡くなり、同日母親も謎の病で息を引き取った。 両親が立て続けに亡くなった事で絶望で埋め尽くされているなか、 『ラミナ元気出しぃ、ウチが側におるから! と言うても聞こえてへんか……』 活発そうな女の子の声が頭の中に響いた。 祖母にそのことを話すと、代々側に居る精霊様では無いかという そして、週末にあるスキル継承の儀で『精霊使い』を授かるかもしれないねと言われ、 絶望の中に居る少女に小さな明かりが灯った気がした。 そして、週末、スキル継承の儀で念願の『精霊使い』を授かり、少女の物語はここから始まった。 先祖の甥に学園に行ってみてはといわれ、ルマーン帝国国立アカデミーに入学、そこで知り合った友人や先輩や先生等と織りなす物語 各地に散る精霊達と契約しながら 外科医療の存在しない世の中で、友人の肺に巣くう病魔を取り除いたり 探偵のまねごとをしている精霊とアカデミー7不思議の謎を解いたり ラミナ自身は学内武道会には参加しないけれど、400年ぶりに公衆の面前に姿を現す精霊達 夏休みには,思ってもみなかったことに巻き込まれ 収穫祭&学園祭では、○○役になったりと様々なことに巻き込まれていく。 そして、数年後には、先祖の軌跡をなぞるように、ラミナも世界に羽ばたく。 何事にも捕らわれない発想と、様々な経験をしていくことで、周囲から神様と呼ばれるようになった一人の精霊使いの物語のはじまりはじまり

転生したおばあちゃんはチートが欲しい ~この世界が乙女ゲームなのは誰も知らない~

ピエール
ファンタジー
おばあちゃん。 異世界転生しちゃいました。 そういえば、孫が「転生するとチートが貰えるんだよ!」と言ってたけど チート無いみたいだけど? おばあちゃんよく分かんないわぁ。 頭は老人 体は子供 乙女ゲームの世界に紛れ込んだ おばあちゃん。 当然、おばあちゃんはここが乙女ゲームの世界だなんて知りません。 訳が分からないながら、一生懸命歩んで行きます。 おばあちゃん奮闘記です。 果たして、おばあちゃんは断罪イベントを回避できるか? [第1章おばあちゃん編]は文章が拙い為読みづらいかもしれません。 第二章 学園編 始まりました。 いよいよゲームスタートです! [1章]はおばあちゃんの語りと生い立ちが多く、あまり話に動きがありません。 話が動き出す[2章]から読んでも意味が分かると思います。 おばあちゃんの転生後の生活に興味が出てきたら一章を読んでみて下さい。(伏線がありますので) 初投稿です 不慣れですが宜しくお願いします。 最初の頃、不慣れで長文が書けませんでした。 申し訳ございません。 少しづつ修正して纏めていこうと思います。

最底辺の転生者──2匹の捨て子を育む赤ん坊!?の異世界修行の旅

散歩道 猫ノ子
ファンタジー
捨てられてしまった2匹の神獣と育む異世界育成ファンタジー 2匹のねこのこを育む、ほのぼの育成異世界生活です。 人間の汚さを知る主人公が、動物のように純粋で無垢な女の子2人に振り回されつつ、振り回すそんな物語です。 主人公は最強ですが、基本的に最強しませんのでご了承くださいm(*_ _)m

元外科医の俺が異世界で何が出来るだろうか?~現代医療の技術で異世界チート無双~

冒険者ギルド酒場 チューイ
ファンタジー
魔法は奇跡の力。そんな魔法と現在医療の知識と技術を持った俺が異世界でチートする。神奈川県の大和市にある冒険者ギルド酒場の冒険者タカミの話を小説にしてみました。  俺の名前は、加山タカミ。48歳独身。現在、救命救急の医師として現役バリバリ最前線で馬車馬のごとく働いている。俺の両親は、俺が幼いころバスの転落事故で俺をかばって亡くなった。その時の無念を糧に猛勉強して医師になった。俺を育ててくれた、ばーちゃんとじーちゃんも既に亡くなってしまっている。つまり、俺は天涯孤独なわけだ。職場でも患者第一主義で同僚との付き合いは仕事以外にほとんどなかった。しかし、医師としての技量は他の医師と比較しても評価は高い。別に自分以外の人が嫌いというわけでもない。つまり、ボッチ時間が長かったのである意味コミ障気味になっている。今日も相変わらず忙しい日常を過ごしている。 そんなある日、俺は一人の少女を庇って事故にあう。そして、気が付いてみれば・・・ 「俺、死んでるじゃん・・・」 目の前に現れたのは結構”チャラ”そうな自称 創造神。彼とのやり取りで俺は異世界に転生する事になった。 新たな家族と仲間と出会い、翻弄しながら異世界での生活を始める。しかし、医療水準の低い異世界。俺の新たな運命が始まった。  元外科医の加山タカミが持つ医療知識と技術で本来持つ宿命を異世界で発揮する。自分の宿命とは何か翻弄しながら異世界でチート無双する様子の物語。冒険者ギルド酒場 大和支部の冒険者の英雄譚。

スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~

深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】 異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!

能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?

火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…? 24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?

野生児少女の生存日記

花見酒
ファンタジー
とある村に住んでいた少女、とある鑑定式にて自身の適性が無属性だった事で危険な森に置き去りにされ、その森で生き延びた少女の物語

地獄の手違いで殺されてしまったが、閻魔大王が愛猫と一緒にネット環境付きで異世界転生させてくれました。

克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作、面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります! 高橋翔は地獄の官吏のミスで寿命でもないのに殺されてしまった。だが流石に地獄の十王達だった。配下の失敗にいち早く気付き、本来なら地獄の泰広王(不動明王)だけが初七日に審理する場に、十王全員が勢揃いして善後策を協議する事になった。だが、流石の十王達でも、配下の失敗に気がつくのに六日掛かっていた、高橋翔の身体は既に焼かれて灰となっていた。高橋翔は閻魔大王たちを相手に交渉した。現世で残されていた寿命を異世界で全うさせてくれる事。どのような異世界であろうと、異世界間ネットスーパーを利用して元の生活水準を保証してくれる事。死ぬまでに得ていた貯金と家屋敷、死亡保険金を保証して異世界で使えるようにする事。更には異世界に行く前に地獄で鍛錬させてもらう事まで要求し、権利を勝ち取った。そのお陰で異世界では楽々に生きる事ができた。

処理中です...