【完結】神様と呼ばれた医師の異世界転生物語 ~胸を張って彼女と再会するために自分磨きの旅へ!~

川原源明

文字の大きさ
上 下
36 / 195
冒険者時代

第36話 ラーネバン防衛戦

しおりを挟む
 東門が片付いたので、北側に向かう、その途中、北東側の城壁から500mほど、幅2m深さ5mの掘りを土魔法使い作っておいた。東門に向かう魔物たちの足止めにはなるだろう。

 城壁沿いに北側にくると、こっちにはオークやゴブリンだけではなく、犬面の小さい人コボルトや、結構大柄で下半身が馬のケンタウロスなんかがいた。

 東門同様に、魔物たちの頭上を縮地で駆け、冒険者達の元へ急いだ。

 ふと、サイクロプスの足音が聞こえない事に気づいた。

『ヒスイ、サイクロプスはどうした?』
『ゴブリンたちがいるから進めないってところかな』

 そうか、ダンジョンコアが同士討ちをさせないからこそ、ゴブリンやオーク達がひしめいてると足場が無く、進めないのか、すると東門が危ない気がするが、何か動きがあれば、ヒスイが教えてくれるだろう。

『了解、何か動きがあったら教えて』
『うん、1体がグアーラ達馬車の方に向かおうとしてる位』

 それは東門方面か、先に片付けるべきだな。

『北門の冒険者たちは?』
『大丈夫じゃないかな、正面だからか、強者が集まってるみたい』

 夜明けはまだ先の為か、周囲がまだ明るくならない、その為、サイクロプスがどこにいるかが目視出来ず解らない。

『ヒスイ、グアーラ達の方に向かおうとしているサイクロプスの居る場所おしえてくれない?』
『うん、あっち!』

そういうと、1時の方向を指さしている。それを見て思った。戦いの最中に、あっちと言われても、ヒスイを見る暇があるかが分からないからな、今のうちに伝えておこう。

『ヒスイ悪いんだけどさ、戦いの最中だけでも、方向を教えるとき、時計を基準にして教えてくれると嬉しい』
『ん~時計……、あぁ、12時が正面で少し右側なら1時とか言えばいいのかな?』

 自分の記憶の中にある時計を見て瞬時に理解してくれたか、助かる。

『そうそうそれで』
『OKOK、んじゃ1時の方向にサイクロプス!』
『ほいよ』
 
 サイクロプスがいるであろう方向に向かい始めると同時に“ズン”と足音が聞こえた。サイクロプスも動き始めたか、

 森の中に入りしばらくすると、“バキバキバキズン”と木々が折れる音と共にサイクロプスの足音が聞こえた。だいぶ近いな、心眼発動すると、数メートル先に大きな足があった。

 刀を抜かずに、そのまま神の手発動、命を刈り取る事をイメージしつつ思いっきりかかとの少し上のアキレス腱のあるあたりを殴る!

 自分の手から、“ボキッ”って音が聞こえたと同時に激痛が走ったが、直ぐに痛みが収まった。やつの皮が硬いだけか?弾力の欠片もなかったんだが、明らかに骨じゃない位置を殴ったはずなのに……

『ねぇ、ナット、殴らなくても触れればいいだけじゃん……』
『そうなんだけどなんかタッチってのは……』

 ボキッってなった手を調べてみるが特に異常が見られない。てっきり骨折したかなと思ったが、
 
『絶対健康、ケガは即回復、病気は、そもそもならないはずだよ』

 ゲーム的に言えば、状態異常無効ってやつか、結構便利だけど怪我をするのか、心臓貫かれたら死ぬ可能性もあると……

『心臓貫かれるとか、ありえないから気にしなくてもいいかなぁ』
『そうなの?』
『うん~絶対健康ってそういうものだから』

 神の手を合わせたら、不老不死なのでは?

 まぁいいか、と思っていたら。目の前のサイクロプスが倒れたらしく、“バキバキバキ”という音の直後に“ドスン”と大きな音と共に大きな地揺れが起った。

 サイクロプスの死体と適当に折れた木々を回収し、改めて北門へ向かった。途中サイクロプスが居たので、今度は殴らずに、タッチして殺しそのまま、アイテムボックスに収納した。サイクロプスは、あと3体!

 魔物たちが城門城壁をめざしている最中、魔物たちの群れの背後から強襲しつつ、東門のとき同様、魔物たちの頭上を縮地で駆け抜けようとしたその時、辺りを閃光が襲い、直後に“ピシャ”という音と共に、少し離れたところに雷が落ちた。

『あ~サイクロプスに雷が落ちた。』

 っは?と思いつつも、周辺の建物よりも圧倒的に背の高いサイクロプスだ、雷が落ちても仕方ない気もするが、もしかして、東門でやった寒暖差の影響で大気が不安定になり雷が発生している感じか?

『死んだ?』
『まだ生きてるけど、瀕死かなぁ』

 未だ上空では“ゴロゴロ”なっている辺り、雷は落ちるだろうこっちが手を下さずとも、サイクロプスを倒してくれるならそれはラッキーだと思っておこう。

 北門まで行くと、東門程劣勢感はないが、雨の中休憩なしで戦っているせいか、冒険者達の疲労の色が濃い、自分にヘイトを集める事をイメージしつつ。

「秋津直人!助太刀します!」
「む!」

 盾を持っている冒険者達から少し離れたところで止まり、足元に絶対零度空間を展開させ周囲の魔物たちを凍死させアイテムボックスに収納する。どうやらヘイトを集める事に成功したようだ。寄ってくる魔物たちを殺していく。

「東門は片づけました!今のうちに負傷者を中に!」
「恩に着る!」

 冒険者達の周辺の魔物たちを切り刻みながら、土魔法を使い、城門周辺をそのままにして北東側同様に、幅2m深さ5mの堀を作った。その周辺に居た魔物たちは、堀の中に落ちていく。落ちなかった魔物たちを斬っていく。

「さぁ!」

 僅かに、城門が開き、負傷者の救助が行われた。

「問題ない方も中に!」

 土魔法で作った堀を今度は、土魔法を使って埋める。これで埋もれた魔物たちは窒息死か圧死だろう。防衛向きの魔法だと思ったけど、案外使えるじゃん!今のような使い方をしたら、死体回収が出来ないくらいだろうか?

『ナット、残っていたサイクロプス全滅』

 北側の冒険者とやり取りしている間にも何度か雷は落ちていたが、まさか全部雷でやられたのだろうか?

『落雷で3体とも?』
『うん。3体とも落雷で死んだね~流石に3回も落ちたら無理みたい』
『そっか』

 次落ちるとしたら、城壁の上に居る人達か、上空の雲を消せば雨は止むか、問題はどうやって消すかだ、とりあえず目の前の魔物たちを片付けながら対処しよう。

 さっきは魔物を凍死させたから、今度は逆に熱してみようそう思いつつ、城壁の外側の大気を50℃にイメージした。

 しばらく魔物を斬りながら様子を見ていると。中にはふらふらとしている者もいる。熱中症の症状が出てきているな。それと同時に何となくだが視界が悪くなってきてる気がする。

『ナット、霧が発生してるよ』

 はて?雨の中でも霧って発生する物なのか?霧の発生する原理は詳しくない、ただ、夜雨が降って朝晴れると霧が良く発生して。雲海ならぬ霧海の写真を撮りに山に行くことはあったくらいだが、今の状況を考えると、濡れた地面と熱した大気が原因だと思うけど良く分からん。普通に考えると地面の中の水分が大量蒸発しているのか?良く分からない事は考えても無駄なので、さっさと魔物達を斬っていくが、時間がたてばたつほど、熱中症らしい症状で倒れる魔物達が続出した。

 立って動き回るものは少なくなり、移動すれば大量の魔物がアイテムボックスに収納され、残ってる奴らにトドメとばかりに、刀で刺していく。
 
「北側はこれで大丈夫かな?」
『うん~残ってる魔物はいないね~』

 なら最後に西側にいくか、その前に鬱陶しい霧を消そう、大気操作魔法と、水分与奪魔法を使い可能な限り周辺の大気中の水分を0%にしていく、すると範囲の一部が上空に浮かぶ雲も入ったのか、上空の雲に円形の穴が空き晴れた。

 ん?気づけば夜明けが近い?かすかだけど東側の空が明るくなってる事に気づいた。

 さぁ、残す西門に向かおう!
しおりを挟む
感想 34

あなたにおすすめの小説

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?

はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、 強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。 母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、 その少年に、突然の困難が立ちはだかる。 理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。 一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。 それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。 そんな少年の物語。

野生児少女の生存日記

花見酒
ファンタジー
とある村に住んでいた少女、とある鑑定式にて自身の適性が無属性だった事で危険な森に置き去りにされ、その森で生き延びた少女の物語

最強の職業は解体屋です! ゴミだと思っていたエクストラスキル『解体』が実は超有能でした

服田 晃和
ファンタジー
旧題:最強の職業は『解体屋』です!〜ゴミスキルだと思ってたエクストラスキル『解体』が実は最強のスキルでした〜 大学を卒業後建築会社に就職した普通の男。しかし待っていたのは設計や現場監督なんてカッコいい職業ではなく「解体作業」だった。来る日も来る日も使わなくなった廃ビルや、人が居なくなった廃屋を解体する日々。そんなある日いつものように廃屋を解体していた男は、大量のゴミに押しつぶされてしまい突然の死を迎える。  目が覚めるとそこには自称神様の金髪美少女が立っていた。その神様からは自分の世界に戻り輪廻転生を繰り返すか、できれば剣と魔法の世界に転生して欲しいとお願いされた俺。だったら、せめてサービスしてくれないとな。それと『魔法』は絶対に使えるようにしてくれよ!なんたってファンタジーの世界なんだから!  そうして俺が転生した世界は『職業』が全ての世界。それなのに俺の職業はよく分からない『解体屋』だって?貴族の子に生まれたのに、『魔導士』じゃなきゃ追放らしい。優秀な兄は勿論『魔導士』だってさ。  まぁでもそんな俺にだって、魔法が使えるんだ!えっ?神様の不手際で魔法が使えない?嘘だろ?家族に見放され悲しい人生が待っていると思った矢先。まさかの魔法も剣も極められる最強のチート職業でした!!  魔法を使えると思って転生したのに魔法を使う為にはモンスター討伐が必須!まずはスライムから行ってみよう!そんな男の楽しい冒険ファンタジー!

元外科医の俺が異世界で何が出来るだろうか?~現代医療の技術で異世界チート無双~

冒険者ギルド酒場 チューイ
ファンタジー
魔法は奇跡の力。そんな魔法と現在医療の知識と技術を持った俺が異世界でチートする。神奈川県の大和市にある冒険者ギルド酒場の冒険者タカミの話を小説にしてみました。  俺の名前は、加山タカミ。48歳独身。現在、救命救急の医師として現役バリバリ最前線で馬車馬のごとく働いている。俺の両親は、俺が幼いころバスの転落事故で俺をかばって亡くなった。その時の無念を糧に猛勉強して医師になった。俺を育ててくれた、ばーちゃんとじーちゃんも既に亡くなってしまっている。つまり、俺は天涯孤独なわけだ。職場でも患者第一主義で同僚との付き合いは仕事以外にほとんどなかった。しかし、医師としての技量は他の医師と比較しても評価は高い。別に自分以外の人が嫌いというわけでもない。つまり、ボッチ時間が長かったのである意味コミ障気味になっている。今日も相変わらず忙しい日常を過ごしている。 そんなある日、俺は一人の少女を庇って事故にあう。そして、気が付いてみれば・・・ 「俺、死んでるじゃん・・・」 目の前に現れたのは結構”チャラ”そうな自称 創造神。彼とのやり取りで俺は異世界に転生する事になった。 新たな家族と仲間と出会い、翻弄しながら異世界での生活を始める。しかし、医療水準の低い異世界。俺の新たな運命が始まった。  元外科医の加山タカミが持つ医療知識と技術で本来持つ宿命を異世界で発揮する。自分の宿命とは何か翻弄しながら異世界でチート無双する様子の物語。冒険者ギルド酒場 大和支部の冒険者の英雄譚。

異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。

sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。 目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。 「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」 これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。 なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。

最底辺の転生者──2匹の捨て子を育む赤ん坊!?の異世界修行の旅

散歩道 猫ノ子
ファンタジー
捨てられてしまった2匹の神獣と育む異世界育成ファンタジー 2匹のねこのこを育む、ほのぼの育成異世界生活です。 人間の汚さを知る主人公が、動物のように純粋で無垢な女の子2人に振り回されつつ、振り回すそんな物語です。 主人公は最強ですが、基本的に最強しませんのでご了承くださいm(*_ _)m

地獄の手違いで殺されてしまったが、閻魔大王が愛猫と一緒にネット環境付きで異世界転生させてくれました。

克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作、面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります! 高橋翔は地獄の官吏のミスで寿命でもないのに殺されてしまった。だが流石に地獄の十王達だった。配下の失敗にいち早く気付き、本来なら地獄の泰広王(不動明王)だけが初七日に審理する場に、十王全員が勢揃いして善後策を協議する事になった。だが、流石の十王達でも、配下の失敗に気がつくのに六日掛かっていた、高橋翔の身体は既に焼かれて灰となっていた。高橋翔は閻魔大王たちを相手に交渉した。現世で残されていた寿命を異世界で全うさせてくれる事。どのような異世界であろうと、異世界間ネットスーパーを利用して元の生活水準を保証してくれる事。死ぬまでに得ていた貯金と家屋敷、死亡保険金を保証して異世界で使えるようにする事。更には異世界に行く前に地獄で鍛錬させてもらう事まで要求し、権利を勝ち取った。そのお陰で異世界では楽々に生きる事ができた。

処理中です...