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㉘第一章終わり。第二章はあるかな
しおりを挟む時は一か月過ぎた
「何だよ」
優さんは何も聞かされずに森田モーターズに車に乗って奥さんたちとやってくる。
「こんな朝から。森田モーターズに連れて来て」と不機嫌そうな優さんが奥さんと息子さんと現れる。
「いいから、いいから」
優さんが扉を開いた。
目にした光景にびっくりする。
「真っ暗だ」
「ハッピーバースディトーユー」
皆で歌っている。
電気を消しロウソクがのったケーキに火をつけて奥から出してくる。
準備は万端。皆が笑っている。
ロウソクの火と屋外からの光でお互いに顔は認識できるぐらいはある。
「えっ」
思考力が無くなってきょとんとしている。
優さんの子供がこちら側に来て、優さんに鍵を渡した。
「せーの」
「誕生日おめでとうございます。優さん」
皆は声をそろえて言葉を優さんに届けた。
そして、電気をつけた。
「えっ、どういうこと」
「見て分かりません」
「分かんない」
「また」
皆は分かっているでしょという風に言葉を出した。
「奥さんが限定付きでバイクの許可を貰ってます」
時が高らかに言葉を出す。
「この子たちに説得されちゃった」
「てへぺろ」
歩さんの可愛さが満載だ。この前までバイクがダメだと言っていた人には思えない。
「可愛い」
優さんが惚れるのも分かる。
「このハーレーは私達からのプレゼント」
奥さんは言葉を続ける。自分のごめんを含めつつの言葉である。
「こんな高いのどうしたんだよ」
優さんはまだ、状況が呑み込めていないというよりも。嬉しい気持ちが極端に大きいんだ。
「事故の保険プラス私達の貯金を下ろしました」
「うっう。うわーーーーーーん」
優さんは考えることを止め感情に流された、その結果が泣くという行為につながったんだ。
「あっ、パパ泣いてる」
元気な優さんの息子の守君がパパの側に行き抱きしめる。
「大丈夫」
「大丈夫だよ」
守君が言葉を出しながら抱きしめている。
「うれし泣きだから」
優さんは感情に流されるのを止め思考を始めた。考えが纏まるまで皆待っている。
「うれし泣き」
守君はパパのことが大好きなんだ。
「さあ、乗って乗って」
北条がせかす。
「行こうかツーリング」
「やっと俺らの欲しい言葉を言ってくれる。あんたはこのツーリンググループのリーダーなんだ」
「行ってらっしゃい。そのまま、家に帰って来てね」
手を振っている。
「皆で。無事に」
奥さんは笑顔だ。
「ああ」
優さんは指切りげんまんを奥さんとする。何と微笑ましい。きっと俺だけじゃなく他のメンバーも同じ気持ちだと思った。彼女作ろう。
こんなのを見せつけられたらなって感じだ。
「行くぞ」
「おう」
「そうだ、今度は俺の趣味に付き合わねえか」
時は言葉を弾ませて話している。
「写真クラブ」
「あっずるい」
籠屋が言葉を出す。
北条は言葉を続ける。
「俺はそうだな、実家に帰るついでに茶道でもどうだ」
北条は前から思っていたことを口に出す。
「いいね。それ、他の奴の趣味もやってみるか」
優さんは言葉を出す。
「そうだこのツーリンググループの名前考えない」
景は前から考えていた。ツーリンググループって言いにくいし。
「いいね」
「じゃ、考えて採用された奴は俺が奢ってやるよ」
優さんは本当に豪快だ。
「優さん太っ腹」
渡辺が言葉を出した。
「いくぞ、何話しているんだ。おいて行くぞ」
優さんの威圧がきた。
「はーーーーーーい」
皆は走り去った。
俺はふと考える時がある。
俺は成長しているんだろうか。
あの時桜を見れただけじゃないんだ
俺は桜に感動したわけじゃない、渡辺の気持ちに動かされたんだ。
ただ、単純に楽しかったんだ。
しかも、ツーピースが好きだと知ってわざわざ桜の景色が見せる時期を選んでくれたんだ。
まあ、理由は大抵女がらみだが。
それを、差し引いても・・・
俺達のツーリングは、嫌、趣味はこれからだ
趣味を通して俺らは成長していく。
次は何かなと、どんな趣味かと想像しながら五人の笑いが絶えない世界には変わらない。
俺は、世界を変えたんだ、
自分の見たいように見れる世界を。
そりゃ、苦しいこともあるけどこの五人とツーリングに出かけたらそんなこと忘れさせてくれる。この五人との世界が大切だ。
たぶん、皆も共感する。と願いたい。
趣味を通して成長するなんてあの頃の俺には分からない。
ただ、変わらなければと急ぐ気持ちはあった。でも、誰にも焦っている自分を見せていない。
俺の性格がこんなにも変わったのはこいつらのおかげだ。
ありがとう。
そして、又、俺の世界は変わり続ける。
趣味を通してずっと続いて行く。
貴方には人生を豊かにする趣味はありますか。
第一章終わり。
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