人生を豊かにする趣味はありますか?

落雷リョウ

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㉗可能性と現実

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 昔の神部優の高校の頃の回想
「おーい」
佐藤先生が言葉をかけた。
「優、大丈夫か」
「大丈夫」
優さんは笑顔で答えた。
「松葉づえはきついだろ」
「きつい」
言葉を投げかけた。
「しかし、大変そうだな」
「じゃ、おぶって下さい」
「お姫様だっこしてやろうか」
佐藤先生が笑いながら言葉を返した。
「それは、はずい」
神部も笑いながら言葉を返した。
「後な、バイクでの通学を許可しようかって話出ているんだ」
佐藤先生がおもむろに言葉を出した。
「そうなんですか」
神部は驚いたが。バイクに乗るというイメージはまだ、なかった。
「興味ないか」
「興味ない」
ハッキリと言葉を出した。
「いいぞ、バイクは」
「あっははっは」


 時間は過ぎ
俺だけは期限付きで原付に通学を許可された。
俺は驚いた。
もう走れない体で風を感じることはないと思っている。
でも、原付で走ると。世界が変わって見える。
これが、バイク。
俺の足になった原付は本当に期間限定だった。でも、俺は世界が変わって見えた。
俺の至福の時間、それは、バイクで青空の下風を感じ自然を感じれる時間。つまり、バイクに乗っていられる時間だ。
過去回想。終わり

歩さんと景の会話
「俺は、自分のしたいことさへもさせて上げられないんなら離婚したらいいとまで言いました」
優さんには分かれた方がいいとは言ってない。嘘である。でも、このくらいのことを言わなければ歩さんの心には突き刺さらない。
「でも、優さんは言った。家族の笑顔の方が大事だって」
「家族ならしたいことはさせてあげるべきです」
言葉を慎重に選びながら言葉を出している。まるで針のむしろに座っているみたいだ。俺が悪いことをして弁解しているみたいで気分は最悪だ。
「それで」
少し沈黙が続き。籠屋が言葉を出す。
「じゃ、俺達と一緒のツーリングだけ許可してください」
「せめて、せめて」
「何かあったら貴方が責任をとってくれるんですね」
「そうです」
「死んだら。俺も死にます」
ここは、本気だった。
「俺は奥さんたちを面倒見てもいいです」
「何でもします」
沈黙の時間が五秒過ぎ景が言葉を出す。
「俺は昔の自分は嫌なんです」
「事故にあってもとどおりにはならない、激しい運動は避けてくださいって言われて俺はこの世界に絶望したんです」
ソファーに座りながら右手の拳を左手で押さえている。そして、下を向いた。歩さんに自分の憎悪している姿を見せたくなかったから顔を下に向ける。
「それで、サッカーをしている奴らに嫉妬して自分から逃げたんです」
「その時は自分の為にサッカーをしていたんです」
「誰かの為にチームの為にサッカーをしようとは考えられなかったんです」
「優さんも俺達が楽しそうにバイクを乗るのを見て嫉妬するかもしれない」
「そんな昔の俺と同じ道を歩かしたくない」
「このままだとバイク自体を嫌いになるかもしれない」
「俺は、このメンバーで集まることが好きなんです」
「だから・・・・」
「分かったわ」
その言葉を聞けて肩の力がすっと抜けた。その言葉が聞きたかったんだと自分でも言葉が分からなくなっている。少しパニックしている。
「バイクを貴方達の時は除きますね」
頭が整理されていきようやく実感が出た。
「ありがとうございます」
景はお礼を述べた。
「渡辺君が私の所に一番に来て条件を出したの」
「渡辺君が自分を含めて四人がリーダーの為に頭を下げたらツーリングを許すことになっていたの」
「最後の一人が貴方だ」

「私は賭けに負けたの」
賭けに負けたのに歩さんは笑顔である。
たぶん自分でも自分が言った言葉の理不尽さが分かっているんだ。と考えたい。

「でも、あの人にこんなに考えてくれる仲間がいるって大切だって思ったのだから賭けにのっちった」

真っすぐ目を見て話してくれる。
これが、歩さんなりの謝罪の仕方なんだ。
ほんとにこの人は可愛いんだから。
勝手に俺がこのチームのマスコットにしている。
そこは、守君だろうって突っ込みまちである。
まあ、冗談を考えれるぐらいには場が和んだのである。
ほんとに俺の周りにはいい人が集まる。
嫌、優さんの周りに俺も集まっているだけか、そうすると優さんの周りにいい人が集まっているのか。やっぱり渦の中心には優さんがいる。皆がそれで楽しくなる。
そんな関係がいいんだ。優さんは太陽だ。
その太陽を悲しませないように俺達は出来ることをする。
「こんな旦那の為に」
「でも、あの人は優しいから自分の大切なものより私達家族を選んだのよ」
「分かっている」
歩さんは言葉を続ける。

「それをつきつける理不尽さも」

「だから私も分かっていたんだけど」
「あの人の周りにはいつもいい人が集まるのよ」

「まあ、そんなバイクに乗る旦那に惚れたんだよね、私は」
「これは旦那には内緒よ。言ったら調子にのるから」

「はい」
「貴方だけじゃないのよ、他の四人も来たのよ」
楽しそうに話をしてくれる。雲行きはよく雲で覆われていたのがさっと晴天に変わった感じだ。 
「皆一緒のことを言うの」
「もう君達、兄弟じゃないの」
歩さんは俺達が兄弟。そしたら俺は何番目だ。一番下か、なんか嫌だ。
長男がいい。と自分の考えが出そうになり。笑顔をキープする。
「はーーーーーーあ」
長いため息を奥さんは出す。
ようやく言えたみたいな感じである。
歩さんも苦しんでいたんだということがこの会話で分かる。基本的には歩さんはいい人なんだ。たぶん、事故のせいでパニックになって自分の感情に素直に反応してしまっただけなんだ。だから、時間が経ち自分の感情や考えを整理できて、苦しんでいたんだ。こういう人だから優さんは選んだんだと分かる。お似合いの夫婦だ。
「貴方達は一緒だね」
「こんなに旦那のことを思ってくれる人が四人もいるって大切なことだね」
「私もあの時は気が動転していたの」
優しい口調になった。たぶんこっちが本当の歩さんなんだと分かる。
「だから、きついことを言う」
「でも、本心よ」
それぐらい優さんを愛しているんだと分かる。俺も彼女作ろうって思う。でも、歩さんみたいな人がいいと欲を考えてしまう。実際は難しいよな。それより、今は優さんのことだ。
「それで、ですけど」
「ちょっと協力していただけませんか」
景は言葉を出す。
「何、面白そう」
歩さんは何かノリノリで聞いてくる。
「でも、賭けしてなかったらどうするつもりだったの」
歩さんは少し不安そうに言葉が出る。
「それは、土下座で」
真面目な顔に真面目なトーンの声で答える。
「あっははははは」
「面白い」
歩さん大爆笑。
「やったね」
って笑わしているんじゃなくて、笑われている。少し恥ずかしい。
「そうですね、四人ともシンクロしているって」
ってことは他の三人も土下座を考えていたんだね。なんか俺らって悲しい。
でもいいんだ。それが俺達なんだ。
大事な人の為に恥も外分もすててその人の為に動ける。それが俺達ツーリング仲間の結束力だ。そうだ、俺達は俺達の仲間の大事さを分かっている。それより、ツーリング仲間って言いにくいよな。いいチーム名を考えなくてはな。と景は心の中で話している。
「そうだ、話それたね」
歩さんが少し笑いを残しつつさっきの場面に戻る。
「それで協力って」
「実は・・・・」

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