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⑨デビューと期待

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 次の週末に森田モーターズに呼ばれた
バイクとともに籠屋は呼ばれた。
そう、契約書にサインした時に、ツーリングのクラブにも入会した。月三千円。
安いのか高いのか。保険も併せてらしい。
そんなこんなで、森田モーターズに着く。
「よお、籠屋さん」
森田流星が言葉をかけた。そして、なんでか、そろばんを持っている。
「よお」
一番のりらしくて奥に通される。
俺は、渡辺渉と同じクラブのメンバーになった。コミショウの俺は、知り合いがいるってだけでこいつと同じクラブにした。クラブは三つ存在しているらしい。女性専門や、後一つは知らない。
でも、これでようやくツーリングデビューだ。
「よお、おはよう」
体のがたいがいい男が現れて、元気のいい言葉が聞こえる。
この人が渉が言っていた。リーダーの神部優さんかと勘ぐってしまう。別に名前を聞けばいいんだ。そうだ、自己紹介をしよう。どういった掴みがある自己紹介はあっただろうか。ここは冒険せずに名前だけ言って挨拶をしとくか。
「見ない顔がいるな」
神部は新しい仲間に入るやつの顔を見る。
神部は、どういったやつが入ってくるか今週ずっと期待が膨らんでいた。マンネリ化したこのクラブの雰囲気を変えてくれるようなやつでありますようにと神様に祈っていた。それは言いすぎだけどそれくらい期待していた。と神部さんの心の中で言葉が出ている。
「もしかして俺達のツーリングクラブに入った奴か」
すぐにピンときた。集合が誰よりも早い、その点が神部は籠屋に対する好感触になる。
「はい。おはようございます」
籠屋は恐る恐る言葉を出す。
「名前を」
緊張する。
「待て」
神部が言葉を遮る。
「ここで挨拶してもいいが、後で皆の前で挨拶をした方が効率的だ。そうだ、効率的だな」
「後三人くる」
「その時に自己紹介してもらうから」
「その時に自己紹介頼む」
「面白いの頼むぞ」
大声で神部さんが笑っている。
それを見つつ籠屋は愛想笑いでこの場を乗り切る。
「森田の親父」
「ちょっとバイクのカスタムに相談乗ってくれよ」
「また、いじるのか」
奥から話ながら善次郎さんが出てくる。
「そうだよ」
「よお、籠屋さん」
善次郎さんの後ろから森田流星が現る。
「自己紹介だってさ。どうするの」
さっきの言葉を聞いていて言葉を投げる。
「うーん」
考えている間に二人組が現れ。
「ういーす」
「ういーす」
見知らぬ二人が現れる。
「この二人で俺らのツーリング仲間は揃う」
リーダーの神部が言葉を挟んむ。
「って、まだ、渡辺渉が来ていない」
籠屋は言葉を差し込む。
「あいつはいつも遅刻する常習犯だ」
三人の言葉がハモル。
渡辺渉が時間通りに来なかったため渡辺渉抜きで始める。
皆バイクをガレージに入れてバイクともども自己紹介を始める。
「それで、自己紹介をお願いします」
「それでは、こほん」
「名前は籠屋景」
「尼崎にある燕が丘高校の数学の教師をしています」
「趣味はゲームです」
「渡辺渉にバイクを乗せてもらい、感銘を受けてバイクの免許を取り。バイクを買いました。
ツーリングは初めてですのでよろしくお願いします」
「以上です」
我ながらスマートな紹介をしたと自負するようになる。
「拍手」
皆は拍手をしている。
「まずは、リーダーをさせて頂いてる私から」
「名前を神部優です」
「仕事は大工です」
「趣味はバイク、特技はバイク、そんなバイク馬鹿です」
「私の愛機はハーレーダビットソンです」
「バイクは十八歳から乗り回していて、今年でバイク歴十二年です」
見るからに体育系に見える。服装は黒のライダースーツである。
まあ、悪い人ではなさそうだ。

「次」
「私は北条雅史です」
「仕事はライターです」
「趣味は茶道と食べ歩きっす。宜しくっす」
「私の愛機はスズキのバーグマンっす」
「バイク歴は二十歳から乗り回し五年っす」
見た目は少し身長が低いかなって思うけど、ライダースーツを着てワンポイントで着けているバッジがセンスを感じる。籠屋はウニクロのウルトラダウンの俺が何を言っても様にはならん。

「次」
「私は時遼馬です」
「仕事は会社員です」
「趣味は写真とサバゲー。宜しくっす」
「私の愛機は、スズキのジクサーです」
この人もまた、ライダースーツだ。やっぱりライダースーツを買っとけばよかった。こんなにも後悔したことは幾つもある。ただ、ライダースーツはかっこいい。

「すいません、遅れました」
遅刻の常習犯の渡辺渉が現れる。
こいつもライダースーツだ。まあ、この前に見たけどな。
皆、かっこいいな。金賭けてるな。
俺は俺の感覚で行こうか。でも、ライダースーツ欲しい。
これが、本音である。
ドレスコードがあれば俺だけが入店拒否される。もしくは、出禁か。それはないが、やっぱりバイクのツーリングに行くなら、ツーリングにふさわしい服装だよな。
それが、ライダースーツだよな。
後悔。
「お前はいつも遅刻するけどなんか憎めないよな」
リーダーは言葉をはっきりという人なんだと籠屋は少し好感をもつ。
「すみません、今は何の最中」
「紹介の場面、次お前の番だよ」
リーダーがこいつも紹介させたると考えて言葉をふる。
「面白いの頼むよ」
リーダーは言葉を投げる。
「まあ、リーダーが言うんだったら」
「名前は渡辺渉」
「仕事は公務員です」
「趣味はバイクと料理です」
「私の愛機は、ホンダXADV」
「でいいですか」
「よし、挨拶はここらへんで、いっちょ、行くか」
面白い紹介じゃなかったけどいいのかと心の中で考える景だった
「ツーリングに」
この時になれば、自己紹介で緊張していたことを忘れるくらい、意識がはっきりとしていた。よく、周りを見ると、意外にぼろい店だ。いや違うな、哀愁がある。嫌違うな。年期の入った。まあ、要するに。いい店だってことだな。周りにはバイクが数台あり、改造用のパーツ類がそろっている。奥に通された俺達は森田モーターズショップの休憩場所兼お客様場所に通されていた。テレビがあり、テーブルもある。キッチンというか台所があった。早く来いと目配せで渡辺が注意する。すぐに、周りの人の後を追って歩いている。
「今日は新人さんがいるからそうだな」
ヘルメットを持ちバイクに手をかけて言葉を出す。
「新緑を楽しめるコースにするか」
神部さんは少し考えたがいつものコースが一番良いと頭をよぎる。
「じゃ、皆行こうぜ」
「無線のチェックをするぞ」
皆で、バイクの周波数を確認している。
「おう」
皆はバイクに乗る前にインカムをチェックしそれぞれがバイクを走らせる。
「じゃ、いっちょ行くか」
森田モーターズの二人は俺らが出る前に火打石みたいなもので皆がガレージからでると一人一人石をたたき、安全を祈ってくれる。

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