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相性に負けたんじゃない
しおりを挟む僕が彼女に惹かれたのは、自分でも意外だった。
彼女は、僕が付き合ってきた今までのガールフレンド達とはまるで種族が異なっていて、一線を画す存在だ。
はっきり言ってしまえば彼女は、僕の好きなタイプではなく、むしろ苦手なタイプ、性格だ。
桁外れに美しいルックスは横に置いても、あまりに強いその個性に、いつも圧倒されてしまう。
たとえば、ファッション……
彼女は、流行を一切無視した個性的な、固有ともいえる特殊なファッションを身につけている。
裾の広がったパンツやサイケな色調のブラウスやジャンクなアクセサリーは、わざと狙ったレトロ調にも見えたり、単に垢抜けないだけのようにも見えたりする。
いや、これがとても似合っていて、変だと思わせるポイントが全くないから不思議だ。
たとえば、煙草……
女の人が煙草を吸うことについて、僕は良いも悪いもどうとも思わない。
強いて言わせて貰えば、僕の気が行くのは喫煙所する所作の方で、彼女のそれは目を離せなくする程に美しいと思っている。
だが、続け様にメンソールシガーに火をつける彼女のヘビースモーカーぶりには正直言って、唖然とする。
たとえば、口癖……
会話の途中で、唇を尖らせ、首を傾けながら
『そうかな? 』と一人言のように呟くのが、彼女の口癖だった。
そして『そうかな?』の後には、決まって、彼女のシニカルな反論が用意されている。
普通だったら、聞き流してしまうような、どうでもいい無駄話でも、彼女は納得がいかないことに対して
『そうかな?』と疑問の声を挟んで、待ったをかけるのだ。
すべてがこんな調子だから、彼女と長時間一緒に過ごすことは、とてつもなくパワーを要するのだ。
『そんなに突っ張って生きていたら、疲れるだろう?』
『まわりが?自分が?』
『両方だよ。』
『私から見れば皆に合わせて生きる方が疲れるわ……』
始まったその瞬間から
おそらく長くは続かないのだろうなぁ……
と予感させる恋があるのは、事実だ。
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