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体育祭
体育祭8~お家デート~
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風呂から何とか上がり、服に着替えた充希はリビングへと出てきた。少し濡れた髪が服をぬらさぬよう肩にタオルをひっかけている。
一方真悠は髪も乾かし終えていてすっきりとしたラインのTシャツに綺麗めなスラックスをはいてキッチンに立っていた。
ジュージューと音が聞こえ、香ばしいにおいがする。気配に気づいた真悠がこちらへ振り返った。
「あ、充希大丈夫?水のむ?」
「いや、大丈夫。…焼いてるの?」
「うん。もうすぐできそう、お皿とかはもう用意してあるから座ってて」
キッチンから真悠が指さしたダイニングテーブルには綺麗に皿が並べられ、パンやサラダがすでに盛り付けられていた。充希はあたりをきょろきょろと見渡したが、特に手伝うことがなくておとなしく席に着いた。
しばらくすると、皿にハンバーグを盛り付けて真悠がやってきた。綺麗に焼けたハンバーグはデミグラスソースがかかっている。すっかりおなかの減ってしまった充希は美味しそうだと唾液が口の中で広がった。
真悠がテーブルに置き、グラスを持ってくる。もう一度冷蔵庫に行ってお茶を取ってくる間に充希はグラスを掴んだ。真悠が戻ってくると充希は自分のグラスを固く握っていた。真悠は少し驚いた顔をしたが、お茶飲みたいよね淹れるよと手を差し出してきた。充希はやんわりと首を振った。
「俺がいれるからいい」
「充希」
「真悠、お願い」
どんなお願いだと思うが真悠に頑なに充希は譲らない。真悠は充希の願いを優先したのか、麦茶の入った容器を渡してきた。充希は自分で麦茶をコップに注ぐ。真悠にすべて管理されたくなくて充希はそういう行動に出た。しかし、自分のコップにお茶を注ぐなんて当たり前だし何をしているんだろうと充希ははたと気づいてお茶の入ったコップを見つめた。
「充希?」
真悠が不思議そうに声をかけてくる。充希はその声に気づいて、そっか逆に真悠に俺がいれてあげればいいのかとお茶の注いだコップを真悠へ差し出した。
真悠はきょとんとした顔でこちらを見る。
「それ充希の分じゃないの?」
「いや…真悠の分が先だから」
そういってもう一度真悠に差し出す。真悠は少し思考を停止していたが俺の言葉を聞いてじわりじわりと頬を染めた。ほんのり染まったほおを緩めてとろりと瞳を細めた。
「充希…ありがと」
嬉しそうな、少し色の入った熱いまなざしで真悠に感謝を述べられる。真悠があまりにも嬉しそうな顔をするため充希は驚いたが「どういたしまして」と平静に言葉を告げた。
充希も自分の分のお茶を注いで、準備完了となる。
充希と真悠はそれぞれ手を合わせて、いただきますといった。
真悠の手料理は完璧だった。ハンバーグは肉汁あふれておいしいし、サラダも綺麗に盛り付けられ、自作のドレッシングはどこかのレストランのようだ。
充希はきちんと完食し、お茶を飲みほした。家庭料理というより店に並べてもいいレベルの出来だ。
食べ終わった皿を見て真悠は流しのほうへ取り下げる。充希が一息ついてる間に効率よく真悠は片づけて、先ほど飲んだハーブティーをまた用意してくれた。
「アイスクリームもあるけどどうする?」
「あ、今はいいよ、ありがとう」
そっかと真悠はペタンと冷蔵庫の扉を閉めて充希の前に座りなおした。
「真悠って料理いつもしてるの?すっごくおいしかった」
「ううん、いつもはしない。一人だと面倒くさくて…でも充希に美味しいって言ってもらえてよかった」
そういえば一言も美味しいといってなかった。料理の出来が良すぎて充希は食べるのに夢中だったのだ。
もう一度充希が美味しかったよと真悠に言えば、安心した顔で「それならよかった」とほほ笑んだ。
「このあとどうする?映画とか見るならDVDあるよ」
「いや、大丈夫。眠いしそろそろ寝ようかな」
「そっか。なら俺の部屋は二階だからこれを飲んだらそっちに行こう」
真悠はそう言ってほほ笑む。俺が一口ハーブティーを口に含むと真悠もゆっくりハーブティーを口に運んだ。それからは他愛もない学校の話などして、ハーブティー1杯を飲み終えた。
空になったコップを手際よく片付けた真悠はこっちだと充希の手を引っ張った。
一方真悠は髪も乾かし終えていてすっきりとしたラインのTシャツに綺麗めなスラックスをはいてキッチンに立っていた。
ジュージューと音が聞こえ、香ばしいにおいがする。気配に気づいた真悠がこちらへ振り返った。
「あ、充希大丈夫?水のむ?」
「いや、大丈夫。…焼いてるの?」
「うん。もうすぐできそう、お皿とかはもう用意してあるから座ってて」
キッチンから真悠が指さしたダイニングテーブルには綺麗に皿が並べられ、パンやサラダがすでに盛り付けられていた。充希はあたりをきょろきょろと見渡したが、特に手伝うことがなくておとなしく席に着いた。
しばらくすると、皿にハンバーグを盛り付けて真悠がやってきた。綺麗に焼けたハンバーグはデミグラスソースがかかっている。すっかりおなかの減ってしまった充希は美味しそうだと唾液が口の中で広がった。
真悠がテーブルに置き、グラスを持ってくる。もう一度冷蔵庫に行ってお茶を取ってくる間に充希はグラスを掴んだ。真悠が戻ってくると充希は自分のグラスを固く握っていた。真悠は少し驚いた顔をしたが、お茶飲みたいよね淹れるよと手を差し出してきた。充希はやんわりと首を振った。
「俺がいれるからいい」
「充希」
「真悠、お願い」
どんなお願いだと思うが真悠に頑なに充希は譲らない。真悠は充希の願いを優先したのか、麦茶の入った容器を渡してきた。充希は自分で麦茶をコップに注ぐ。真悠にすべて管理されたくなくて充希はそういう行動に出た。しかし、自分のコップにお茶を注ぐなんて当たり前だし何をしているんだろうと充希ははたと気づいてお茶の入ったコップを見つめた。
「充希?」
真悠が不思議そうに声をかけてくる。充希はその声に気づいて、そっか逆に真悠に俺がいれてあげればいいのかとお茶の注いだコップを真悠へ差し出した。
真悠はきょとんとした顔でこちらを見る。
「それ充希の分じゃないの?」
「いや…真悠の分が先だから」
そういってもう一度真悠に差し出す。真悠は少し思考を停止していたが俺の言葉を聞いてじわりじわりと頬を染めた。ほんのり染まったほおを緩めてとろりと瞳を細めた。
「充希…ありがと」
嬉しそうな、少し色の入った熱いまなざしで真悠に感謝を述べられる。真悠があまりにも嬉しそうな顔をするため充希は驚いたが「どういたしまして」と平静に言葉を告げた。
充希も自分の分のお茶を注いで、準備完了となる。
充希と真悠はそれぞれ手を合わせて、いただきますといった。
真悠の手料理は完璧だった。ハンバーグは肉汁あふれておいしいし、サラダも綺麗に盛り付けられ、自作のドレッシングはどこかのレストランのようだ。
充希はきちんと完食し、お茶を飲みほした。家庭料理というより店に並べてもいいレベルの出来だ。
食べ終わった皿を見て真悠は流しのほうへ取り下げる。充希が一息ついてる間に効率よく真悠は片づけて、先ほど飲んだハーブティーをまた用意してくれた。
「アイスクリームもあるけどどうする?」
「あ、今はいいよ、ありがとう」
そっかと真悠はペタンと冷蔵庫の扉を閉めて充希の前に座りなおした。
「真悠って料理いつもしてるの?すっごくおいしかった」
「ううん、いつもはしない。一人だと面倒くさくて…でも充希に美味しいって言ってもらえてよかった」
そういえば一言も美味しいといってなかった。料理の出来が良すぎて充希は食べるのに夢中だったのだ。
もう一度充希が美味しかったよと真悠に言えば、安心した顔で「それならよかった」とほほ笑んだ。
「このあとどうする?映画とか見るならDVDあるよ」
「いや、大丈夫。眠いしそろそろ寝ようかな」
「そっか。なら俺の部屋は二階だからこれを飲んだらそっちに行こう」
真悠はそう言ってほほ笑む。俺が一口ハーブティーを口に含むと真悠もゆっくりハーブティーを口に運んだ。それからは他愛もない学校の話などして、ハーブティー1杯を飲み終えた。
空になったコップを手際よく片付けた真悠はこっちだと充希の手を引っ張った。
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