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体育祭
体育祭2
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遅刻寸前をギリギリで回避して教室につく。真悠は俺のクラスまで見送って自分の教室へ向かった。手を振って去っていく真悠の姿はさながらアイドルのようだ。
「あれ?お前らってそんな仲良かった?」
遼が近くにいたらしく話しかけてきた。
「えっ!あ、まあ、今日はたまたまね」
無理やりな苦笑いをすると、遼はへえ~っと怪しそうな目を向けてきた。嘘ついてるのはバレているようだ。
「まあ、いいけどさ。ミツキ、今度遊び行こうぜ。久々に部活が来週の土曜休みになったんだよ」
「来週の土曜?」
来週の土曜なら空いていそうな気がする。
オッケーと返事を充希はしようとした。しかし、ピコンとスマホのメッセンジャーの通知が鳴った。基本的に充希にはメッセージをやり取りする友達はいない。強いて言うなら遼ぐらいだ。遼はスマホなんかいじらず目の前にいる。
あれ?と思ってスマホの通知画面を見ると、
『マユ:来週の土曜日空いたからデートしよう』と表示されていた。
充希は慌ててポケットにしまう。遼は突然急いでスマホをポケットに入れた充希に変な顔をした。
「どうした?」
「い、いや、なんでも。あ、来週の土曜はもしかしたら予定入っちゃうかも…ごめん」
「そうなの?残念だわ。まあ日曜は基本休みだし、いつでも誘えるからいいよ。また機会があったら誘うわ!」
「うん、ほんとごめん」
謝る充希に遼は大丈夫だと頭を撫でてくれた。なんだか撫でられるのも申し訳ない罪悪感が充希の中でいっぱいになった。
今日の2限は体育祭の話し合いだった。
秋ごろに行われる体育祭の準備がそろそろ始まる。期末テスト前に話をある程度決めていないと、慌ただしくて生徒達や教師の仕事が回らないからだ。
中学の時と比べ、高校は体育祭の競技も増え、出番や自分が動かなければならないことも多い。紅組と白組に分かれて競技をするが、全校生徒一丸となって戦うので相当白熱する。
黒板に種目の名前が書かれていく。
障害物競走、借り物競走、玉入れ、団体リレー…。様々な競技が書かれていく中、どうしても充希には団体リレーが目に留まった。
充希は中学の陸上部でリレー選手候補に上がらなかった。大会でリレーを走るには相当の技量とチームワーク力がなくてはならない。充希にとってリレーは大切な競技であったため、一度でも走ってみたかったが3年間技術が及ばず、せめてでも補欠の補欠の位置でしかいられなかった。
(走りたい……)
充希は素直にそう思った。
しかし、ここでも充希は恵まれていなかった。
陸上部が多い充希のクラスはリレーメンバーが陸上部全員で事足りてしまったのだ。充希は現役で走っていないし、実力もたかが知れている。でも、走ってから、実力を見てから、走るメンバーを決めて欲しかった。
そう思っても、充希はそんなことを抗議する力も積極性もない。充希は結局、ただ遠くから黒板をじっと眺めることしかできなかった。
「あれ?お前らってそんな仲良かった?」
遼が近くにいたらしく話しかけてきた。
「えっ!あ、まあ、今日はたまたまね」
無理やりな苦笑いをすると、遼はへえ~っと怪しそうな目を向けてきた。嘘ついてるのはバレているようだ。
「まあ、いいけどさ。ミツキ、今度遊び行こうぜ。久々に部活が来週の土曜休みになったんだよ」
「来週の土曜?」
来週の土曜なら空いていそうな気がする。
オッケーと返事を充希はしようとした。しかし、ピコンとスマホのメッセンジャーの通知が鳴った。基本的に充希にはメッセージをやり取りする友達はいない。強いて言うなら遼ぐらいだ。遼はスマホなんかいじらず目の前にいる。
あれ?と思ってスマホの通知画面を見ると、
『マユ:来週の土曜日空いたからデートしよう』と表示されていた。
充希は慌ててポケットにしまう。遼は突然急いでスマホをポケットに入れた充希に変な顔をした。
「どうした?」
「い、いや、なんでも。あ、来週の土曜はもしかしたら予定入っちゃうかも…ごめん」
「そうなの?残念だわ。まあ日曜は基本休みだし、いつでも誘えるからいいよ。また機会があったら誘うわ!」
「うん、ほんとごめん」
謝る充希に遼は大丈夫だと頭を撫でてくれた。なんだか撫でられるのも申し訳ない罪悪感が充希の中でいっぱいになった。
今日の2限は体育祭の話し合いだった。
秋ごろに行われる体育祭の準備がそろそろ始まる。期末テスト前に話をある程度決めていないと、慌ただしくて生徒達や教師の仕事が回らないからだ。
中学の時と比べ、高校は体育祭の競技も増え、出番や自分が動かなければならないことも多い。紅組と白組に分かれて競技をするが、全校生徒一丸となって戦うので相当白熱する。
黒板に種目の名前が書かれていく。
障害物競走、借り物競走、玉入れ、団体リレー…。様々な競技が書かれていく中、どうしても充希には団体リレーが目に留まった。
充希は中学の陸上部でリレー選手候補に上がらなかった。大会でリレーを走るには相当の技量とチームワーク力がなくてはならない。充希にとってリレーは大切な競技であったため、一度でも走ってみたかったが3年間技術が及ばず、せめてでも補欠の補欠の位置でしかいられなかった。
(走りたい……)
充希は素直にそう思った。
しかし、ここでも充希は恵まれていなかった。
陸上部が多い充希のクラスはリレーメンバーが陸上部全員で事足りてしまったのだ。充希は現役で走っていないし、実力もたかが知れている。でも、走ってから、実力を見てから、走るメンバーを決めて欲しかった。
そう思っても、充希はそんなことを抗議する力も積極性もない。充希は結局、ただ遠くから黒板をじっと眺めることしかできなかった。
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