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○○○○○○○○
仕事の時間は終わり、やっと解放のときだ。明日の担当など知らないが、今日はひとまず俺の仕事は終わりらしい。
結局感謝をされるわけもなく、やりがいを感じられるわけでもないチョコ乗せ作業をひたすらやってた。
三角巾やエプロンを外して、さっさと着替えると、俺はバッグを手に取った。
「あー、さっさと帰ろ」
そう思って、教室を出た時。
ぐーぎゅるぎゅる………。
え?このタイミング?!
恥ずかしいことに腹が盛大に鳴った。
顔を真っ赤にしておなかを反射的に抑えてしまう。しかし、たまたま人が多かったのか、話し声で腹の音は掻き消え、周りには気づかれなかったようだ。ほっと一安心するのも、久々の辛い労働に体力を削がれたのだろう。空腹であることは確かだった。
「……なんか食べて帰るか」
いつもならそんなこと絶対思わない。家で引きこもっていたいからだ。
でも今日は周りの雰囲気に乗せられてしまっているんだろうか。俺はせっかくだし出店で食べ物を食べて帰ることにきめた。焼きそばとかそこら辺何かあるはず。
そう思って校舎を出て、テント型の出店付近をフラフラと回る。
人を避けながら、たこ焼きでも食べるかなー、とふと立ち止まったとき。
「「あ」」
たこ焼きをほっぺたいっぱいに頬張る『ヤツ』と目が合ってしまった。
………うん、帰ろう。
俺は瞬時にそう判断すると、急いでたこ焼き屋から背を向ける。このまま気付かれずに逃げよう。そう思ったが、バッチリ目があっていた。
ヤツ……幸はそう簡単に俺を逃してはくれなかった。
「ちょっと、どこ行くわけ」
「ぐえっ!?ふ、服引っ張るなっ!」
幸は後ろから俺のブレザーを思いっきり掴み引っ張って、俺が逃げるのを止めた。おかげでブレザーが首元で引っ掛かって変な声が出た。
幸にがっちり服を掴まれていて、逃げられそうにもない。俺はため息を吐きたくなるのも堪えて幸の方を振り返った。
「な、なに」
「あのさ、雅彦のとこに行きたいんだけど連れてってくんない?」
「は?なんで?てか、まずなんで俺に頼むの?」
「ここで知り合いお前しかいないし。雅彦からなんか店の招待チケット貰ったんだよね。だから行かないといけなくて。ねえ、一緒のクラスなんでしょ、連れてって」
「はぁーーー?いやに決まってんじゃん!」
フン!と幸に顔を逸らす。
そんなの、俺にとっちゃ関係ないじゃん!
そもそも招待チケットというものがあったのかとか、ヒコたんが幸に招待チケット送ってたのかとか、色々俺の知らないことはあったが、とりあえず幸の事情なんか俺にとっちゃどうでもいい。あんなことがあっても絡んでくるとか、
知らないね!と幸を無視する。
そうすると、幸は俺の顔をじっと見ては、腕を組んで仁王立ちになる。
「へえー。俺によくそんな態度取れるね。首絞めたこと雅彦に言うけど?」
「…は!?」
思わず幸の方を見れば、ニヤニヤと笑っていた。こちらの反応を楽しがってるようだ。これにはめちゃくちゃ反応したくない。したなくない、が
。この前のことをぶり返され、さらにヒコたんに言う、となると、無視することは不可能だった。
あの日、確かに俺がまずいことはしたと思う。イラついてしまったとは言え、手が出た。完全に悪手だ。しかも、このことを知ったらヒコたんは絶対俺のこと嫌いになる。もちろんヒコたんに嫌われたくない俺は、そうなるとバラされるのが何よりも怖い。くそ、卑怯者め、クソ野郎。
「チッ…脅してくるとかマジ最低!!」
「そっか、態度改めないなら言うしかないね」
「えっ!?いやいやいや、うそうそうそ!手伝います手伝います!是非案内させてもらいます!!」
(馬鹿野郎…ッ!馬鹿野郎ッ!!)
抵抗すらできない自分に悔しくて涙目になりそうだが、もうこうするしかない。店のとこまで連れていくだけ。それまでの我慢じゃん。
「じゃあ、よろしく」
ぽんと肩を叩いて上目遣いでこちらを見てくる幸。
相変わらずでかい目でこっち見んじゃねーよ、コンプレックス刺激すんな。
俺は渋々、幸を案内することにした。
校舎に入り、教室に向かって歩いていく。
あまりにも人が多いため、進みが遅く、さっさと幸を送って帰りたいのに、全然うまくいかない。
幸はこの前の俺のことなんか気にしてないようで、自分の聞きたいことをいちいち聞いてくる。
「そういやさ、君ら催物何やってんの?」
「は?今さら?一応、メイド喫茶だけど…」
「へー、雅彦メイド喫茶してんだ」
幸は何も聞かされずにチケット渡されていたようだ。幸はチケットをくるくると裏返したりしながら、チケットを眺めていた。かと思ったが突然顔を上げる。
「あ、あれなに」
「いや知らないし。他人のクラスとか興味ないから」
「へー、お化け屋敷か」
「おい話聞けよ」
自分のペースで話をしてくる幸に気が滅入る。結構天然というか、ワガママというか…。
……あれ?そういや、メイド喫茶をしてること知らないなら、ヒコたんがメイド服を着る話も知らない…?
(ヒコたんのあんな悲惨な恥晒しミニスカメイド…見せらんない!)
俺は卒倒しかけたミニスカ筋肉ムチムチマッチョ(スネ毛丸出し)を思い出して顔が真っ青になる。あれは他人に公表されるべきじゃない。隠し通すべきだ。絶対黒歴史になる。ヒコたんの名誉のために追い返した方がよくない!?
そう思って、足を止めかける。
しかし、俺には悪魔がいる。懲りずに悪知恵を囁かれてしまった。
……いや、待て。幸はヒコたんのことを狙っているところがある。もし、あんな目も当てられないヒコたんのメイド服姿を見れば、さすがの幸でもドン引いて、ヒコたんから手を引くんじゃないか?俺はもちろんそんなヒコたんも愛せる!ここで愛情の重さってやつを知らしめて、ヒコたんのどんな姿も受けいられない幸は、ポイ!してやる!
そう思うと、俺はワクワクが止まらなくなっていた。
「ねえ、なんで急にニヤニヤしはじめたの…」
「んふふ、別に~?なんでもないけど~」
「キモッ」
「は?おまえぶっ殺すぞ」
そうしてると、いつの間にか目的地付近に着いていた。ちょうどうちのクラスの教室あたりがざわざわと人だかりができている。
朝にはなかった行列ができており、教室の中でもワイワイと大盛況になっていた。
俺は朝との変わりように呆然とする。
「なんだ、この列……」
「めっちゃ人気じゃん。あれ?あそこ誰かいない?」
「あ、ちょっと!勝手に動かないでよ!」
幸は列を超えて、人が特に密集している方へ駆けて行く。俺も慌てて追いかければ、人がより密集している塊があった。幸がその中を突っ切って行ってしまうので、大嫌いな人混みを押し退け、中に入る。
集団の中心にいたのは、少し背の高い金髪ロングのネコミミメイドだった。そのメイドにみんな釘付けで話しかけたら写真を撮っている。そうかと思えば、そのメイドがこちらに振り向いた。
「ん?あ、裕里と幸じゃないか!よく来たな~!おかえりなさいませ、ご主人様だにゃん!」
え………。
固まる俺と幸。そして、振り向いた美少女は手をグーにして二つのほっぺたの前に置いて、にゃんにゃんともう一度グーの手を振った。
しかし、辺りはシーンと静まり返って気まずい。衝撃が強すぎて思考が停止している。
それも束の間、じっと見ていた幸が口を開いた。
「…………あのさ、もしかしてさ、雅彦?」
「えッッッ!?ひ、ひひひひひヒコたんッ!?」
「そうだぞ!にゃん」
いや、にゃんってなに。
突っ込みたいことが多すぎるが、黒を基調とした丈長スカートに、フリルは派手すぎず地味すぎずのエプロンを着用し、腕まで隠れる長袖のメイド服。そして、金髪ロングにクロネコミミカチューシャをつけて、メイクをばっちりしてるのか、肌は白く、まつ毛はカールして、唇はピンクに塗られぷるぷるしている。
いつもの爽やかイケメン顔から一転して、欧米ハーフのような目がぱっちり美少女顔に変わったヒコたん。さっきと一変してめちゃくちゃ良く仕上がってる。てかよく仕上がりすぎてる。
「いいじゃん。雅彦メイド服似合ってるよ」
「幸ありがとな!にゃにゃーん」
いや、だからにゃにゃーんってなんだよ。なんでにゃん語尾になってるんだよ。
いつの間にか余計な一言まで覚えてるヒコたんにもう叫び出しそうだし、幸はドン引きするどころかニコニコとしていて俺の作戦は失敗に終わるし、なんか店の前でヒコたんメイドの撮影会始まりだしたしで、もう本当に最悪オブ最悪。
萎えすぎて顔の表情筋がピクリとも動かなくなってしまう。今、ここで死ぬしかない。
こんなビッチにアバズレしたヒコたんなんて、サイテーーーーーーー!!!!
「裕里、どうしたんだ?元気出せにゃんにゃん!」
ヒコたんはもうほぼ死にかけてる俺に気づいていたようで、いつの間に着用したのか、大きな肉球のネコミミグローブで俺の頭をナデナデ、と撫でてきた。
「ヒコたんちゅき♡♡♡」
「いや、ちょろすぎるだろお前…」
幸がむしろ俺の顔を見てドン引いていたが、そんなのどうでもいい。文化祭サイコー。メイド服ネコミミヒコたんサイコー。可愛いは正義ヒコたんサイコー。いつもは抱かれてるけど今日は抱きたい美少女ヒコたんサイコー。
「えへへにゃんにゃんだね~ヒコたん~にゃんにゃん♡」
「そうだな、でござる!」
「いや、にゃんじゃないんかい。まあでも可愛いから良し!」
やっぱりいつでもちょろすぎる俺なのであった。
仕事の時間は終わり、やっと解放のときだ。明日の担当など知らないが、今日はひとまず俺の仕事は終わりらしい。
結局感謝をされるわけもなく、やりがいを感じられるわけでもないチョコ乗せ作業をひたすらやってた。
三角巾やエプロンを外して、さっさと着替えると、俺はバッグを手に取った。
「あー、さっさと帰ろ」
そう思って、教室を出た時。
ぐーぎゅるぎゅる………。
え?このタイミング?!
恥ずかしいことに腹が盛大に鳴った。
顔を真っ赤にしておなかを反射的に抑えてしまう。しかし、たまたま人が多かったのか、話し声で腹の音は掻き消え、周りには気づかれなかったようだ。ほっと一安心するのも、久々の辛い労働に体力を削がれたのだろう。空腹であることは確かだった。
「……なんか食べて帰るか」
いつもならそんなこと絶対思わない。家で引きこもっていたいからだ。
でも今日は周りの雰囲気に乗せられてしまっているんだろうか。俺はせっかくだし出店で食べ物を食べて帰ることにきめた。焼きそばとかそこら辺何かあるはず。
そう思って校舎を出て、テント型の出店付近をフラフラと回る。
人を避けながら、たこ焼きでも食べるかなー、とふと立ち止まったとき。
「「あ」」
たこ焼きをほっぺたいっぱいに頬張る『ヤツ』と目が合ってしまった。
………うん、帰ろう。
俺は瞬時にそう判断すると、急いでたこ焼き屋から背を向ける。このまま気付かれずに逃げよう。そう思ったが、バッチリ目があっていた。
ヤツ……幸はそう簡単に俺を逃してはくれなかった。
「ちょっと、どこ行くわけ」
「ぐえっ!?ふ、服引っ張るなっ!」
幸は後ろから俺のブレザーを思いっきり掴み引っ張って、俺が逃げるのを止めた。おかげでブレザーが首元で引っ掛かって変な声が出た。
幸にがっちり服を掴まれていて、逃げられそうにもない。俺はため息を吐きたくなるのも堪えて幸の方を振り返った。
「な、なに」
「あのさ、雅彦のとこに行きたいんだけど連れてってくんない?」
「は?なんで?てか、まずなんで俺に頼むの?」
「ここで知り合いお前しかいないし。雅彦からなんか店の招待チケット貰ったんだよね。だから行かないといけなくて。ねえ、一緒のクラスなんでしょ、連れてって」
「はぁーーー?いやに決まってんじゃん!」
フン!と幸に顔を逸らす。
そんなの、俺にとっちゃ関係ないじゃん!
そもそも招待チケットというものがあったのかとか、ヒコたんが幸に招待チケット送ってたのかとか、色々俺の知らないことはあったが、とりあえず幸の事情なんか俺にとっちゃどうでもいい。あんなことがあっても絡んでくるとか、
知らないね!と幸を無視する。
そうすると、幸は俺の顔をじっと見ては、腕を組んで仁王立ちになる。
「へえー。俺によくそんな態度取れるね。首絞めたこと雅彦に言うけど?」
「…は!?」
思わず幸の方を見れば、ニヤニヤと笑っていた。こちらの反応を楽しがってるようだ。これにはめちゃくちゃ反応したくない。したなくない、が
。この前のことをぶり返され、さらにヒコたんに言う、となると、無視することは不可能だった。
あの日、確かに俺がまずいことはしたと思う。イラついてしまったとは言え、手が出た。完全に悪手だ。しかも、このことを知ったらヒコたんは絶対俺のこと嫌いになる。もちろんヒコたんに嫌われたくない俺は、そうなるとバラされるのが何よりも怖い。くそ、卑怯者め、クソ野郎。
「チッ…脅してくるとかマジ最低!!」
「そっか、態度改めないなら言うしかないね」
「えっ!?いやいやいや、うそうそうそ!手伝います手伝います!是非案内させてもらいます!!」
(馬鹿野郎…ッ!馬鹿野郎ッ!!)
抵抗すらできない自分に悔しくて涙目になりそうだが、もうこうするしかない。店のとこまで連れていくだけ。それまでの我慢じゃん。
「じゃあ、よろしく」
ぽんと肩を叩いて上目遣いでこちらを見てくる幸。
相変わらずでかい目でこっち見んじゃねーよ、コンプレックス刺激すんな。
俺は渋々、幸を案内することにした。
校舎に入り、教室に向かって歩いていく。
あまりにも人が多いため、進みが遅く、さっさと幸を送って帰りたいのに、全然うまくいかない。
幸はこの前の俺のことなんか気にしてないようで、自分の聞きたいことをいちいち聞いてくる。
「そういやさ、君ら催物何やってんの?」
「は?今さら?一応、メイド喫茶だけど…」
「へー、雅彦メイド喫茶してんだ」
幸は何も聞かされずにチケット渡されていたようだ。幸はチケットをくるくると裏返したりしながら、チケットを眺めていた。かと思ったが突然顔を上げる。
「あ、あれなに」
「いや知らないし。他人のクラスとか興味ないから」
「へー、お化け屋敷か」
「おい話聞けよ」
自分のペースで話をしてくる幸に気が滅入る。結構天然というか、ワガママというか…。
……あれ?そういや、メイド喫茶をしてること知らないなら、ヒコたんがメイド服を着る話も知らない…?
(ヒコたんのあんな悲惨な恥晒しミニスカメイド…見せらんない!)
俺は卒倒しかけたミニスカ筋肉ムチムチマッチョ(スネ毛丸出し)を思い出して顔が真っ青になる。あれは他人に公表されるべきじゃない。隠し通すべきだ。絶対黒歴史になる。ヒコたんの名誉のために追い返した方がよくない!?
そう思って、足を止めかける。
しかし、俺には悪魔がいる。懲りずに悪知恵を囁かれてしまった。
……いや、待て。幸はヒコたんのことを狙っているところがある。もし、あんな目も当てられないヒコたんのメイド服姿を見れば、さすがの幸でもドン引いて、ヒコたんから手を引くんじゃないか?俺はもちろんそんなヒコたんも愛せる!ここで愛情の重さってやつを知らしめて、ヒコたんのどんな姿も受けいられない幸は、ポイ!してやる!
そう思うと、俺はワクワクが止まらなくなっていた。
「ねえ、なんで急にニヤニヤしはじめたの…」
「んふふ、別に~?なんでもないけど~」
「キモッ」
「は?おまえぶっ殺すぞ」
そうしてると、いつの間にか目的地付近に着いていた。ちょうどうちのクラスの教室あたりがざわざわと人だかりができている。
朝にはなかった行列ができており、教室の中でもワイワイと大盛況になっていた。
俺は朝との変わりように呆然とする。
「なんだ、この列……」
「めっちゃ人気じゃん。あれ?あそこ誰かいない?」
「あ、ちょっと!勝手に動かないでよ!」
幸は列を超えて、人が特に密集している方へ駆けて行く。俺も慌てて追いかければ、人がより密集している塊があった。幸がその中を突っ切って行ってしまうので、大嫌いな人混みを押し退け、中に入る。
集団の中心にいたのは、少し背の高い金髪ロングのネコミミメイドだった。そのメイドにみんな釘付けで話しかけたら写真を撮っている。そうかと思えば、そのメイドがこちらに振り向いた。
「ん?あ、裕里と幸じゃないか!よく来たな~!おかえりなさいませ、ご主人様だにゃん!」
え………。
固まる俺と幸。そして、振り向いた美少女は手をグーにして二つのほっぺたの前に置いて、にゃんにゃんともう一度グーの手を振った。
しかし、辺りはシーンと静まり返って気まずい。衝撃が強すぎて思考が停止している。
それも束の間、じっと見ていた幸が口を開いた。
「…………あのさ、もしかしてさ、雅彦?」
「えッッッ!?ひ、ひひひひひヒコたんッ!?」
「そうだぞ!にゃん」
いや、にゃんってなに。
突っ込みたいことが多すぎるが、黒を基調とした丈長スカートに、フリルは派手すぎず地味すぎずのエプロンを着用し、腕まで隠れる長袖のメイド服。そして、金髪ロングにクロネコミミカチューシャをつけて、メイクをばっちりしてるのか、肌は白く、まつ毛はカールして、唇はピンクに塗られぷるぷるしている。
いつもの爽やかイケメン顔から一転して、欧米ハーフのような目がぱっちり美少女顔に変わったヒコたん。さっきと一変してめちゃくちゃ良く仕上がってる。てかよく仕上がりすぎてる。
「いいじゃん。雅彦メイド服似合ってるよ」
「幸ありがとな!にゃにゃーん」
いや、だからにゃにゃーんってなんだよ。なんでにゃん語尾になってるんだよ。
いつの間にか余計な一言まで覚えてるヒコたんにもう叫び出しそうだし、幸はドン引きするどころかニコニコとしていて俺の作戦は失敗に終わるし、なんか店の前でヒコたんメイドの撮影会始まりだしたしで、もう本当に最悪オブ最悪。
萎えすぎて顔の表情筋がピクリとも動かなくなってしまう。今、ここで死ぬしかない。
こんなビッチにアバズレしたヒコたんなんて、サイテーーーーーーー!!!!
「裕里、どうしたんだ?元気出せにゃんにゃん!」
ヒコたんはもうほぼ死にかけてる俺に気づいていたようで、いつの間に着用したのか、大きな肉球のネコミミグローブで俺の頭をナデナデ、と撫でてきた。
「ヒコたんちゅき♡♡♡」
「いや、ちょろすぎるだろお前…」
幸がむしろ俺の顔を見てドン引いていたが、そんなのどうでもいい。文化祭サイコー。メイド服ネコミミヒコたんサイコー。可愛いは正義ヒコたんサイコー。いつもは抱かれてるけど今日は抱きたい美少女ヒコたんサイコー。
「えへへにゃんにゃんだね~ヒコたん~にゃんにゃん♡」
「そうだな、でござる!」
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