「アルファとは関わるな」

COCOmi

文字の大きさ
上 下
11 / 11

11

しおりを挟む



部屋へ入れば蒼がベッドの上で上半身裸でズボンの前を開けていた。下着が間から垣間見えている。

呆然とした空を見ているのにも関わらず、蒼は笑って言った。
「ねえ、見て?俺はオメガを抱かなかったし、発情もしなかったよ。
俺はあんなアルファ達とは違ったんだよ、兄ちゃん」
蒼は立ち上がり、嬉しそうに空へ近寄って抱きしめた。蒼の肌が直接空に触れる。悦とした声音で蒼は空の頭を優しく撫でた。

「これで証明できた…兄ちゃんをもう一人ぼっちにはさせない、やっと自信が持てたんだ。
もしオメガが現れても見向きもしないし、運命の番なんか現れても殺してやる。兄ちゃんのずっとそばにいる。他のアルファが何かしようとしたって俺が兄ちゃんを守ってあげる」
蒼のアルファの空気が体を刺激する。ピリピリと体が逆立つ感じがし、背中にドロドロとしたものが這い上がった。空は拒絶感でいっぱいだった。
「兄ちゃんやっとこれで一緒にいられる」
しかし、空の腰に触れていた蒼は熱くなった。
硬くて大きくなった感じに空は嫌でもわかってしまう。空の顔は真っ青だろう。
蒼も、察してしまった空に気づいたのか、耳元に唇を近づけ優しくささやいた。
「兄ちゃん、好きだよ」







蒼の目なんか見なきゃよかった。

蒼の目を見たら俺はもう『アルファ』には逆らえない。全身の服を脱ぎ捨てられ、蒼ごとベッドの上にもつれこむ。いつもにおう蒼のアルファの香りを全身にまとい、空は体を震わせた。
蒼は空の後ろをいきなり漁った。細い穴に指は入らない。蒼はベロリと自分の指先を舌で舐めあげるともう一度後部へ指を突き立てた。
蒼の雄は赤くどくどくしく大きくなっていた。先ほどまで見えていなかった蒼の性に空はクラクラしてしまう。
後部には指は入っていて中の形を確かめられるように指を添わされた。
「はぁ、兄ちゃんの中こんなになってたんだ…すごいエロい……」
クイっと指を曲げられ、うっと空は声をあげた。不快感は拭えないが、徐々に後部は熱くなっている。空の体は蒼の香りと指を確かめているようだった。
「兄ちゃんが和正さんとヤッたときは本気でぶっ殺してやろうかとおもったよ。でも、兄ちゃんがあまりにもエロくて、すげー興奮した。毎日兄ちゃんのセックス動画見て抜いたよ」
押し曲げていた指は次第にどこかのツボを狙うよう空の内部を押し始めた。ギュッギュとされる感覚に空はビクリビクリと体を震わす。
「兄ちゃん、ここ弱いんでしょ?和正さんは器用だったけど兄ちゃんがどうしてほしいかは読めてなかったよね。ここ、もっと欲しかったんでしょ?」
グリグリと力強く指を押しいられる。空はその勢いにひゃあっと声を上げて体を震わした。じわりとペニスの先端が漏れる。
「我慢汁出てきたね。前と後ろ同時が良かったんでしょ?」
そう言って垂れた汁を開いた手で指になすりつけ扱き始め、アナルに入れた指はある一点を擦るように動かされる。
ぎゅうっと体を詰めるような快感に空は目からいっぱい涙がこぼれた。
気持ちいい、きもちいいっ…。
「あっ、あっあっ…」
声を漏らすと体がほぐれて快感に身を委ねられる。蒼が空に顔を近づけ、空の漏らす息を吸った。
「きもちいい?俺どんな風にしたら兄ちゃんがきもちいいのかばっかり考えてたんだよ。他のやつになんか浮気しないし、オメガの発情期が来ても勃てない。初めては絶対兄ちゃんとやるって決めてた」
ギュッと強くペニスを掴まれ、ああっと空は大きく声を上げた。
「でも兄ちゃん他の男とキスもセックスもしたね。学校で扱きあいなんてほんと変態。個室の隣で聞いてた俺のこと考えてよ」
クスリと笑って蒼は唇へキスした。
ジュッジュッと唇を吸われ、アナルの中の指はより強く空を攻めた。
「ぅぐぁっああっ…」
「ほんと殺したい。あんなにダメって言ったのにアルファに触らせるし、すぐ和正さんについて行くし…捨てられて落ち込んでるのもムカつく」
蒼は空のペニスを掴んだまま、後部だけ指を強く押し入れ激しく動かした。
「でも兄ちゃん、やっとわかってくれたね。俺ずっと兄ちゃんしか見てなかったんだ」
蒼の動きに、空はこの感覚を知っていた。
「い、いっちゃ、イッちゃう…!!」
「いいよ、イッて。兄ちゃんがイクとこ見せて」
ぐりっと押されて、空は体全身を震わせた。そのまま先端から勢いよく精液が飛び散る。突き刺さった指を締め付けるように後部が締まって伸縮する感覚が空もわかった。 

パタリと体をベッドに上に落とす。手も足も震えていて、息は荒い。蒼は空の唇へまたキスをして、体を密着させた。
濡れた熱い感じが尻縁に触れる。
「あぁ…やばいなぁ、早く入れたい…。オメガの膣なんて気持ち悪くて触れなかったのに、兄ちゃんの中はめちゃくちゃ突っ込みたい……」
意識が朦朧としながら、本当に蒼はさっきの男とセックスどころか局部すら触れなかったんだなと思った。
グイッと両足を持ち上げられ、蒼が入口へ先端を触れさせる。和正のよりは太くはないが長くて、大きな亀頭に空は息を呑んだ。
グリグリと先端へ押し入れられる。久々の感覚にパタパタと汗が空から落ちたが、慣れてもいる感じに体が緩まり先端が収まっていく。
じわじわと後ろに埋め込まれているのを空は感じて、ああ、気持ちいいなとだけおもった。

案外すんなり入ってしまった空の中をぎゅうぎゅうと蒼が押し込む。
「はぁ、兄ちゃ、すっげえ、きもちっ…」
空も和正と違う蒼の形に心臓をドキドキとさせた。
蒼はゆっくりと腰を動かしたが、ハァと強く呼吸をして、次は勢いよく腰を貪り始めた。ガツンガツンと打ち付けられる腰と蒼の雄に空は大きく喘ぐ。自分の快感に身を委ねた蒼の動きはそこまで気持ちよさはなかったが、蒼の匂いだけで空はとても興奮した。
激しい水音が響き始め、ベッドはギシギシと大きくなる。
空はただあっあっと声を漏らして呼吸を紡いでいた。そうすると、蒼は少し空から体を離し、空の体を反転させた。
正常位からバックの体勢にされ、枕に顔をつけた空は腰だけ持ち上げられ、強く一発腰を打ち付けられた。
「~~~っああ?!」
体がビクビクと震え上がる。その瞬間蒼もビクリと体揺れた。しかし、次に蒼は空の腰を抱えて同じ場所を責め始めた。
急にこの体勢になると空は意識が真っ白になり始めた。先ほどまでの余裕が一切なくなる。蒼のカリが空の奥を擦りあげて、中がキュンキュンと熱い。
「っくそ…っ、兄ちゃん好きだ、好き、好きっ…」
「あ、ああっ、だ、だめっっ、ほんとに、きもち、きもちいいっ…からぁっ…!!」
しかし、蒼は聞かずにガンガンと空の奥を掘り進める。強烈な快感に空は何も見えなかった。
しかし、唐突に顎を持ち上げられる。蒼の熱い体が覆いかぶさってキスをした。うなじをベロベロと舐められる。
それは不毛な行為だ。空はオメガじゃない。
空はただ舌の這う感覚に気持ちよさだけを得た。
そして、蒼は前と同じように空のうなじに歯を立てた。


「ったぁいい!!!!」
かぶりついたまま蒼は腰を攻めたてる。空には何も快感なんてなくて、体が大きく揺すられる。本当にケモノになってしまったみたいだ。
番を結ぶ契約行為の『まねごと』に空は涙が出た。

どっぷりと中に蒼の精液が流し込まれた。初めて、腹が熱くなりビチャビチャと腸内を汚される感じに快楽のなくなった空は気持ち悪さを覚えた。
蒼はふうふうと空の背中で息を荒くしている。グッと空の体を抱え込んで、まだ長い射精感覚を味わっていた。

空は冷え切った体で絶望だけを感じた。底知れない背徳感と、傷ついた首後部に、蒼の息遣い。何もかも手遅れだと思った。
なのに、アルファの匂いは空の体を熱くさせる。

「兄ちゃん好きだ、兄ちゃんだけだ…。他のアルファにもベータにもオメガにもやらない、俺だけの兄ちゃん……」



「抱きしめて」
そう言葉にされた空は『アルファ』の香りに従うまま蒼を抱きしめた。










———————————————————-





いつしか、空が泣けば蒼は謝った。

「俺がアルファでごめんね」と。





また、もう一ついった。
「でも兄ちゃんがベータでよかった」


…オメガだったら別のアルファの男に番にされてたかも知れないからね。本当によかった。アルファなんかをたぶかしちゃう『ベータ』で。


そのことを聞いたとき空は、本当に頭おかしいなと笑えてしまった。







…結局、蒼がずっと望んでいたことはなんだったのだろうか。

アルファに縛り付けられる空なのか、それともアルファに縛られない空なのか。







『アルファに傷付けられる兄ちゃんはもう見たくないよ』
蒼はそう言って優しく抱きしめた。




しかし、蒼の唇が触れたうなじに、空は正解を見出してしまった気がした。






しおりを挟む
感想 2

この作品の感想を投稿する

みんなの感想(2件)

ゆい
2020.05.08 ゆい

面白かったです!
番外編くるのか!?

COCOmi
2020.05.09 COCOmi

感想ありがとうございます。番外編は余力があれば頑張りたいなと思います〜!

解除
2020.03.24 ユーザー名の登録がありません

退会済ユーザのコメントです

COCOmi
2020.03.24 COCOmi

感想ありがとうございます!
当て馬感満載なのに、和正好きと言っていただけて嬉しいです涙 
お話は一応完結したつもりだったので続きがあるかどうかわかりませんが、番外編を書く機会があるかもしれません。そのときはまた読んでいただけると幸いです。

解除

あなたにおすすめの小説

家事代行サービスにdomの溺愛は必要ありません!

灯璃
BL
家事代行サービスで働く鏑木(かぶらぎ) 慧(けい)はある日、高級マンションの一室に仕事に向かった。だが、住人の男性は入る事すら拒否し、何故かなかなか中に入れてくれない。 何度かの押し問答の後、なんとか慧は中に入れてもらえる事になった。だが、男性からは冷たくオレの部屋には入るなと言われてしまう。 仕方ないと気にせず仕事をし、気が重いまま次の日も訪れると、昨日とは打って変わって男性、秋水(しゅうすい) 龍士郎(りゅうしろう)は慧の料理を褒めた。 思ったより悪い人ではないのかもと慧が思った時、彼がdom、支配する側の人間だという事に気づいてしまう。subである慧は彼と一定の距離を置こうとするがーー。 みたいな、ゆるいdom/subユニバース。ふんわり過ぎてdom/subユニバースにする必要あったのかとか疑問に思ってはいけない。 ※完結しました!ありがとうございました!

毒/同級生×同級生/オメガバース(α×β)

ハタセ
BL
βに強い執着を向けるαと、そんなαから「俺はお前の運命にはなれない」と言って逃げようとするβのオメガバースのお話です。

ナッツに恋するナツの虫

珈琲きの子
BL
究極の一般人ベータである辻井那月は、美術品のような一流のアルファである栗栖東弥に夢中だった。 那月は彼を眺める毎日をそれなりに楽しく過ごしていたが、ある日の飲み会で家に来るように誘われ……。 オメガ嫌いなアルファとそんなアルファに流されるちょっとおバカなベータのお話。 *オメガバースの設定をお借りしていますが、独自の設定も盛り込んでいます。 *予告なく性描写が入ります。 *モブとの絡みあり(保険) *他サイトでも投稿

この噛み痕は、無効。

ことわ子
BL
執着強めのαで高校一年生の茜トキ×αアレルギーのβで高校三年生の品野千秋 α、β、Ωの三つの性が存在する現代で、品野千秋(しなのちあき)は一番人口が多いとされる平凡なβで、これまた平凡な高校三年生として暮らしていた。 いや、正しくは"平凡に暮らしたい"高校生として、自らを『αアレルギー』と自称するほど日々αを憎みながら生活していた。 千秋がαアレルギーになったのは幼少期のトラウマが原因だった。その時から千秋はαに対し強い拒否反応を示すようになり、わざわざαのいない高校へ進学するなど、徹底してαを避け続けた。 そんなある日、千秋は体育の授業中に熱中症で倒れてしまう。保健室で目を覚ますと、そこには親友の向田翔(むこうだかける)ともう一人、初めて見る下級生の男がいた。 その男と、トラウマの原因となった人物の顔が重なり千秋は混乱するが、男は千秋の混乱をよそに急に距離を詰めてくる。 「やっと見つけた」 男は誰もが見惚れる顔でそう言った。

BAD END

佐治尚実
BL
親と祖母を亡くしたリョウは孤児院に引き取られる。そこで出会った三人の美しい少年達と家族になるまでの話です。 Twitterでいただいたリクエスト「平凡が複数に愛されるけど、平凡は怯えてる構図」から書きました! 今作は個人サイト、各投稿サイトにて掲載しています。

落ちこぼれβの恋の諦め方

めろめろす
BL
 αやΩへの劣等感により、幼少時からひたすら努力してきたβの男、山口尚幸。  努力の甲斐あって、一流商社に就職し、営業成績トップを走り続けていた。しかし、新入社員であり極上のαである瀬尾時宗に一目惚れしてしまう。  世話役に立候補し、彼をサポートしていたが、徐々に体調の悪さを感じる山口。成績も落ち、瀬尾からは「もうあの人から何も学ぶことはない」と言われる始末。  失恋から仕事も辞めてしまおうとするが引き止められたい結果、新設のデータベース部に異動することに。そこには美しいΩ三目海里がいた。彼は山口を嫌っているようで中々上手くいかなかったが、ある事件をきっかけに随分と懐いてきて…。  しかも、瀬尾も黙っていなくなった山口を探しているようで。見つけられた山口は瀬尾に捕まってしまい。  あれ?俺、βなはずなにのどうしてフェロモン感じるんだ…?  コンプレックスの固まりの男が、αとΩにデロデロに甘やかされて幸せになるお話です。  小説家になろうにも掲載。

ヤンデレだらけの短編集

BL
ヤンデレだらけの1話(+おまけ)読切短編集です。 全8話。1日1話更新(20時)。 □ホオズキ:寡黙執着年上とノンケ平凡 □ゲッケイジュ:真面目サイコパスとただ可哀想な同級生 □アジサイ:不良の頭と臆病泣き虫 □ラベンダー:希死念慮不良とおバカ □デルフィニウム:執着傲慢幼馴染と地味ぼっち ムーンライトノベル様に別名義で投稿しています。 かなり昔に書いたもので芸風(?)が違うのですが、楽しんでいただければ嬉しいです!

合鍵

茉莉花 香乃
BL
高校から好きだった太一に告白されて恋人になった。鍵も渡されたけれど、僕は見てしまった。太一の部屋から出て行く女の人を…… 他サイトにも公開しています

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。