君を自由にしたくて婚約破棄したのに

「婚約を解消しよう」

 幼い頃に決められた婚約者であるルーシー=ファロウにそう告げると、何故か彼女はショックを受けたように身体をこわばらせ、顔面が蒼白になった。
 でもそれは一瞬のことだった。

「わかりました。では両親には私の方から伝えておきます」

 なんでもないようにすぐにそう言って彼女はくるりと背を向けた。
 その顔はいつもの淡々としたものだった。

 だけどその一瞬見せたその顔が頭から離れなかった。
 彼女は自由になりたがっている。そう思ったから苦汁の決断をしたのに。


============
注意)ほぼコメディです。
軽い気持ちで読んでいただければと思います。

※無断転載・複写はお断りいたします。
24h.ポイント 177pt
220
小説 7,742 位 / 193,836件 恋愛 3,757 位 / 58,559件

あなたにおすすめの小説

貴方は何も知らない

富士山のぼり
恋愛
「アイラ、君との婚約は破棄させて欲しい。」 「破棄、ですか?」 「ああ。君も薄々気が付いていただろう。私に君以外の愛する女性が居るという事に。」 「はい。」 「そんな気持ちのまま君と偽りの関係を続けていく事に耐えられないんだ。」 「偽り……?」

君を愛する事は無いと言われて私もですと返した結果、逆ギレされて即離婚に至りました

富士山のぼり
恋愛
侯爵家に嫁いだ男爵令嬢リリアーヌは早々に夫から「君を愛する事は無い」と言われてしまった。 結婚は両家の父が取り決めたもので愛情は無い婚姻だったからだ。 お互い様なのでリリアーヌは自分も同じだと返した。 その結果……。

【掌編集】今までお世話になりました旦那様もお元気で〜妻の残していった離婚受理証明書を握りしめイケメン公爵は涙と鼻水を垂らす

まほりろ
恋愛
新婚初夜に「君を愛してないし、これからも愛するつもりはない」と言ってしまった公爵。  彼は今まで、天才、美男子、完璧な貴公子、ポーカーフェイスが似合う氷の公爵などと言われもてはやされてきた。  しかし新婚初夜に暴言を吐いた女性が、初恋の人で、命の恩人で、伝説の聖女で、妖精の愛し子であったことを知り意気消沈している。  彼の手には元妻が置いていった「離婚受理証明書」が握られていた……。  他掌編七作品収録。 ※無断転載を禁止します。 ※朗読動画の無断配信も禁止します 「Copyright(C)2023-まほりろ/若松咲良」  某小説サイトに投稿した掌編八作品をこちらに転載しました。 【収録作品】 ①「今までお世話になりました旦那様もお元気で〜ポーカーフェイスの似合う天才貴公子と称された公爵は、妻の残していった離婚受理証明書を握りしめ涙と鼻水を垂らす」 ②「何をされてもやり返せない臆病な公爵令嬢は、王太子に竜の生贄にされ壊れる。能ある鷹と天才美少女は爪を隠す」 ③「運命的な出会いからの即日プロポーズ。婚約破棄された天才錬金術師は新しい恋に生きる!」 ④「4月1日10時30分喫茶店ルナ、婚約者は遅れてやってきた〜新聞は星座占いを見る為だけにある訳ではない」 ⑤「『お姉様はズルい!』が口癖の双子の弟が現世の婚約者! 前世では弟を立てる事を親に強要され馬鹿の振りをしていましたが、現世では奴とは他人なので天才として実力を充分に発揮したいと思います!」 ⑥「婚約破棄をしたいと彼は言った。契約書とおふだにご用心」 ⑦「伯爵家に半世紀仕えた老メイドは伯爵親子の罠にハマり無一文で追放される。老メイドを助けたのはポーカーフェイスの美女でした」 ⑧「お客様の中に褒め褒めの感想を書ける方はいらっしゃいませんか? 天才美文感想書きVS普通の少女がえんぴつで書いた感想!」

姉が私の婚約者と仲良くしていて、婚約者の方にまでお邪魔虫のようにされていましたが、全員が勘違いしていたようです

珠宮さくら
恋愛
オーガスタ・プレストンは、婚約者している子息が自分の姉とばかり仲良くしているのにイライラしていた。 だが、それはお互い様となっていて、婚約者も、姉も、それぞれがイライラしていたり、邪魔だと思っていた。 そこにとんでもない勘違いが起こっているとは思いもしなかった。

そんなに幼馴染の事が好きなら、婚約者なんていなくてもいいのですね?

新野乃花(大舟)
恋愛
レベック第一王子と婚約関係にあった、貴族令嬢シノン。その関係を手配したのはレベックの父であるユーゲント国王であり、二人の関係を心から嬉しく思っていた。しかしある日、レベックは幼馴染であるユミリアに浮気をし、シノンの事を婚約破棄の上で追放してしまう。事後報告する形であれば国王も怒りはしないだろうと甘く考えていたレベックであったものの、婚約破棄の事を知った国王は激しく憤りを見せ始め…。

運命の人は貴方ではなかった

富士山のぼり
恋愛
「パウラ・ ヴィンケル……君との婚約は破棄させてもらう。」 「フレド、何で……。」 「わざわざ聞くのか? もう分かっているだろう、君も。」 「……ご実家にはお話を通されたの?」 「ああ。両親とも納得していなかったが最後は認めてくれた。」 「……。」 「私には好きな女性が居るんだ。本気で愛している運命の人がな。  その人の為なら何でも出来る。」

記憶がないなら私は……

しがと
恋愛
ずっと好きでようやく付き合えた彼が記憶を無くしてしまった。しかも私のことだけ。そして彼は以前好きだった女性に私の目の前で抱きついてしまう。もう諦めなければいけない、と彼のことを忘れる決意をしたが……。  *全4話

政略結婚相手に本命がいるようなので婚約解消しようと思います。

ゆいまる
恋愛
公爵令嬢ミュランは王太子ハスライトの政略結婚の相手として選ばれた。 義務的なお茶会でしか会うこともない。 そして最近王太子に幼少期から好いている令嬢がいるという話を偶然聞いた。 それならその令嬢と婚約したらいいと思い、身を引くため婚約解消を申し出る。 二人の間に愛はないはずだったのに…。 本編は完結してますが、ハスライトSideのお話も完結まで予約投稿してます。 良ければそちらもご覧ください。 6/28 HOTランキング4位ありがとうございます

処理中です...