お父様、ざまあの時間です

佐崎咲

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5.前世

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「そうですねえ…次は結界かバフ、デバフが良いと思っていましたけど、新たに加わった【上級開放スキル】が良いですね」
「これはどう言ったものなのですか?」
「単体ですと、雷や氷魔法が使える様になります。
時空魔法などの一部の魔法では、このスキルが無いと習得できないものも出てきます。
勿論このスキルが有っても、熟練度が足りないと意味はありませんが」

成る程です。
熟練度を上げて、尚且つこのスキルが有れば、難しい魔法も使える、と言うことですね。
「なら今回はこのスキルと交換して、次は結界かバフ、デバフと言うものと交換すれば良いですかねえ」
確認をすると、アインは頷きました。

アインについつい聞いてしまいますけど、自分で調べるのも大切ですよね。
バフ、デバフとは何なのかは、後ほどタブレットで調べましょう。
今回は【上級開放スキル】を交換……、よし、完了ですね。

雷魔法など、ちょっと惹かれますよね。
それに時空魔法の上級編も気になります。
まずは熟練度を上げるため、マジックバックをどんどん使いましょう。


昼からもどんどん進みます。
若返ったからなのか、なかなか疲れることもなく、歩いていけますねえ。
「我が強化魔法をかけてやっておるからだ」
ブルースに言われました。

確か【身体強化魔法】で、これがいわゆる【バフ魔法】の一つなんですよね。
魔法強化や、スピードアップなど、タブレットで調べたら色々ありました。
アインが勧める理由もわかります。

魔法やタブレットの熟練度を上げて、色々な場所を旅して、家族も増やして、幸せになって…やる事が沢山ありますねえ。
時間はたっぷりあるのですから、焦らずいきましょう。


体感的に、昼食から3時間ほど経った頃、空を飛んでいたチャックが降りて来ました。

「少し進んだところに太尾犬が居るけど、多分魔化してる」
魔化した犬?魔獣と言うやつですね。

「群ですか?」
「いや、一匹しか見当たらないよ」
アインが尋ねると、チャックが答えます。
その答えを聞いてシナトラが、
「じゃあ僕がやっつけていい?」
と申し出てきました。

「太尾ならシナトラでも大丈夫だろう。
腕試しの実践だ、やってみるが良い。
いざとなれば我が助太刀してやるからな」
「太尾はすばしっこいですから、スピードアップのバフをかけておきましょう」
剣を構えるシナトラに、アインがバフ魔法をかけると、チャックが犬の居る位置へ誘導します。

「その木の後ろ、5歩程行ったところで獲物を食べているよ」
「ん、血の匂いがするから、そこに居るんだね」
流石獣人ですね、血の匂いなんて私にはわかりませんよ。

足音を消し、犬の居ると言われた場所に近づくと、一気に駆け出し剣を振り下ろしました。
どうやら一太刀で仕留めた様で、体を起こしたシナトラが手招きしています。
「ほら、一撃で仕留めたよ!
僕凄い?」

近寄ると流石に私にも血の匂いは分かりました。
覗いて見ると、首を刎ねられた【太尾犬】とは狐の様です。
どうやらネズミを食べていた様で、刎ねられ転がった首の口元は血に濡れています。
見開かれた目は、口元の血の様に真っ赤です。
赤い目…魔獣の証ですよね。
確か魔獣って………。

私は狐…太尾を鑑定してみました。


【魔獣・太尾犬の死骸
魔獣化した太尾犬、食べられます。
血抜きをする事で、過剰分な魔素が薄れるが、食べ過ぎると魔化する事があるのでご注意を。
心臓内に魔石有り 】


血抜きをするのですか…逆さに吊るせば良いですかねえ。
食べ過ぎに注意しないと怖い事になるのですね。
肝に銘じておきましょう。

血抜きや解体はブルース達にお任せして、気になった事をタブレットで調べましょう。


【魔石
魔化した生き物の心臓の中にできる、魔素の結晶の事だよ。

何で心臓の中に出来るかはわかんないんだけど、純粋な魔素の固まりだから、色んな動力に使ったり出来るんだ。
必要としている人に売る事ができるよ。 

ただ、個人的な取引だと、騙されたりぼったぐられたりするから、ギルドで売り買いするのが一番安心かなあ。

性質や大きさ、希少値で値段は変わるけど、牙や角や毛皮より高値は付くから、魔物を倒したら忘れずに回収しょうね 】


心臓の中に、と言うのは若干引きますけど、換金アイテムなら回収すべきですね。
まあ私に言われるまでもなく、解体していたブルースが取り出してくれましたけど。

「まだ若い魔獣だった様だな、魔石も小さい。
ほらシナトラ、これはお前の物だ」
血塗れの小石の様な物をブルースが投げて渡します。
それを受け取ったシナトラが小走りで近づいて来ました。

「ジョニー父ちゃん、これ貰ったよ、これ何?」
「魔石って言う換金アイテム…お金に変えられる物だよ」
「お金って何?」
亜人化して数日、生まれてまだ一年ですから、人の暮らしについては知らない事が多いのでしょう。

「人の住む町や村では、欲しい物があったらお金と交換するんだよ。
町に着いたら一緒に買い物しようね」
「うん、よくわかんないけどわかった。
じゃあこれ父ちゃんに預けとく」
ひょいと手渡されましたけど……血塗れのままマジックバッグに入れるのは気が引けます。
水遣りで血を洗い流してから、マジックバックにしまいました。

他の素材(毛皮とシッポ)と肉をブルースから手渡され、マジックバックの中にしまいます。
そのまま入れるのは気が引けたので、大きな葉をチャックに取ってきてもらい、それに包んでバッグへ。
毛皮などは、クリーンの魔法をかけてもらってから入れました。

「町に着いたら調理を頼もう」
魔物の肉は売れるそうなのですが、どうやらこれは私達の夕食になる様です。
狐…太尾一匹分の肉ですと、ブルースとシナトラでペロリと平らげてしまいそうな量しか無いですからね。

その後も魔化したウサギ、ネズミ、トンビなど、数匹の魔物に遭遇しました。
勿論全て瞬殺です。
その素材や肉はマジックバッグ行きです。

何とはなくなのですけど、生物(なまもの)と他の物が同じポーチの中に有ると言うのは微妙ですね。
異次元空間ですからくっついているわけでは無いと分かっていても、何となく嫌な感じがしてしまいます。
町に着いたら素材や肉を入れる、それぞれ専用の鞄を買いましょうかね。




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感想 4

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みんなの感想(4件)

べりーたわー

不倫の被害者である義母や異母姉妹ではなく父にざまぁ。素敵です!
実はひそかにこういう展開を望んでました\(^o^)/
愛人オッケーな世界観の貴族だから仕方ないのでしょうが、物語に不倫夫とそれで人格を歪める義母・異母姉妹の多いこと多いこと!
父は報いを受けないパターンには、お前のせいだと叫びたいところでした。

娘3の、主人公を妬む気持ちもわかります。人のは良く見えますよね。母が片親でお金や世間体に苦労したでしょうし(><)
でもナイフはだめ。恐喝か傷害未遂で罪にとえます(笑)

佐崎咲
2020.05.23 佐崎咲

お読みいただき、また感想もありがとうございます。

私もずっと元凶である父親にお前のせいだと叫びたくてこれを書きました(笑)

娘3もその他の女の人たちもきっとそれぞれに苦労してきていて、だからこそ他人の苦労というのがなかなか目に見えないのかもしれませんね。
ナイフはなんとか収めてくれたので、おおごとにならずまだよかったです(笑)
父が報いを受けた後は、みんな前を向いて歩いていってほしいなあと思います。

解除
penpen
2020.05.22 penpen

一気読みさせて頂きました(*´∀`)
異母姉妹は何人いるんでしょうね?(о´∀`о)ユミリアちゃんの不幸自慢を皆聞いて、どう思ったのかスッゴク気になります( 〃▽〃)

佐崎咲
2020.05.22 佐崎咲

異母姉妹はきっとまだまだいるんでしょうねー。今回出てきた人たちは嫁ぎ先に奇襲してきた行動力ある人たちだけですので、氷山の一角に違いありません。
ユミリアは言わなそうですが、業を煮やした旦那様が代わりに苦労話をこんこんと聞かせてるかもしれませんね。
そして彼女たちは「あ……、すいませんでした」って言うんじゃないでしょうか(笑)
貴族の家族になるのが幸せだとは限らないとは、外から見ているとわからないかもしれませんね。

お読みいただき、また感想もありがとうございました。

解除
とっと
2020.05.22 とっと

義母・義姉もある意味かわいそうでしたが… その後どうしたんだろう。

基本的お金は無い、当主たる夫(父)は他にも養わなければいけない人達が大勢。

どの面下げて義娘(妹)の婚家に援助申し出せるか( *´艸`)厚顔無恥に、父なる人はたかってたようですが…厳罰後どうなったやら( ´,_ゝ`)フッ


主人公がとても好ましい思考と行動力で…面白かったです(σ≧▽≦)σ☆

佐崎咲
2020.05.22 佐崎咲

義母と義姉のその後については作中では敢えて触れませんでしたが、さすがにあの父の無様な姿を見ては愛想も尽きて、どちらかが女伯爵として立つか、新しく婿を取るかして少しずつ前向きに歩き出すんじゃないかなと思っています。
ずっと人を憎み、主人公を貶めてきたような人たちですから、そうなるまでにはまだまだ時間のかかることと思いますが。

父はもし牢屋から出してもらえたとしたら、汗水流して働いては強制的に婦人たちのところへとお金を流されてるんじゃないかなあと思います。
ただ苦しむだけでは誰の何の利益にもならないと、主人公夫妻は考えたと思うので。

などなど、いろいろと書きたいところはあったのですが、今回はミニマムにまとめてみました。

主人公の思考と行動力を好ましいと言っていただけてとても嬉しかったです!
お読みいただき、また感想もありがとうございました。

解除

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