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第六話 証明の続き
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「あ?」
唐突な言葉に、頭が回らない。
「そうしたら自由になれるでしょ。それからやりたいことを考えたらいいよ。――まあ、代わりに自由じゃないことも付いて来るけど、それはまあ成功報酬ってことで諦めてもらおうかな」
何やら後半は意味がわからないが、自由の意図はなんとなく汲み取れた。
「呪いなんてないって証明するってことか?」
「いや。呪いがあるのかないのか、どっちでもいい。はっきりさせるんだよ」
「どっちでもいいって、お前な。他人事だと思いやがって……」
ロードは呆れたが、ウィルは平然と言った。
「呪いがあるってわかったら、発動条件をおさえればいいでしょ。そしてそうならないようにすればいい。要は、付き合い方がわかればいいんだよ。包丁が武器にも道具にもなるのと同じ。少なくとも、今みたいに普通に暮らせることは実証済なんだからさ」
呪いなんてないと思いながらも、あったらどうしようと恐れていた。
だがそう言われると、なんということもないように思えてしまう。
「でも、どうやって?」
「あとは危機的状況に陥っても発現しないって立証できれば完璧かな? 『ない』ことは証明できなくても、一通りの生活をしていて呪いを恐れる必要はないってわかれば、みんな安心してロードに近づけるし、ロードも安心して近づけるでしょ」
その言葉に、ロードは目を見開いた。
そんなことは考えてもみなかった。
どうしたらいいのか考えたことはあったけれど、ないことの証明なんてできないと、いつもそこで終わってしまったから。
それに、それは一人でできることではなかったから。
「騎士団で生活していても呪いなんて起きてないことは、みんな知ってるはずなのに、全然態度が変わらないしね。まだ怖いんだったら、徹底的に可能性を潰すよ。手始めに、みんなの前でハグしようか?」
「阿呆……」
ウィルが言うと冗談に聞こえないから困る。
「ロードが安心できるまでは、勝手に触ったりしないよ。だけどいつかもう大丈夫って思ったら――」
何を言い出すのか眉を顰め身構える。
「腕相撲でもしようか」
ため息を吐き出したロードに、ウィルは楽しげに笑った。
だがそんな日は来ないまま、二人の企みは途絶えた。
ある日ウィルが修練中に倒れたのだ。
苦しそうに息をするウィルを抱きかかえようとした手をはっとして引き戻し、立ち尽くすロードにウィルは言った。
「ついに、限界が来たみたい……。あーあ、まだこれからだったのに」
それきり、ウィルが第三騎士団の修練場に姿を現すことはなかった。
騎士団長にウィルの容態を尋ねても『問題ない』とだけ返されたが、はぐらかされているのがわかった。
しかしその後、一通の手紙が届けられた。
差出人の名前はなかった。
ただそこには、『証明の続きは、また今度』とだけ書かれていた。
それから一年が経ったが、ウィルとはまだ会えていない。
だが、ウィルが証明しようとしてくれていたその続きを、今魔王討伐を持って果たそうとしている。
唐突な言葉に、頭が回らない。
「そうしたら自由になれるでしょ。それからやりたいことを考えたらいいよ。――まあ、代わりに自由じゃないことも付いて来るけど、それはまあ成功報酬ってことで諦めてもらおうかな」
何やら後半は意味がわからないが、自由の意図はなんとなく汲み取れた。
「呪いなんてないって証明するってことか?」
「いや。呪いがあるのかないのか、どっちでもいい。はっきりさせるんだよ」
「どっちでもいいって、お前な。他人事だと思いやがって……」
ロードは呆れたが、ウィルは平然と言った。
「呪いがあるってわかったら、発動条件をおさえればいいでしょ。そしてそうならないようにすればいい。要は、付き合い方がわかればいいんだよ。包丁が武器にも道具にもなるのと同じ。少なくとも、今みたいに普通に暮らせることは実証済なんだからさ」
呪いなんてないと思いながらも、あったらどうしようと恐れていた。
だがそう言われると、なんということもないように思えてしまう。
「でも、どうやって?」
「あとは危機的状況に陥っても発現しないって立証できれば完璧かな? 『ない』ことは証明できなくても、一通りの生活をしていて呪いを恐れる必要はないってわかれば、みんな安心してロードに近づけるし、ロードも安心して近づけるでしょ」
その言葉に、ロードは目を見開いた。
そんなことは考えてもみなかった。
どうしたらいいのか考えたことはあったけれど、ないことの証明なんてできないと、いつもそこで終わってしまったから。
それに、それは一人でできることではなかったから。
「騎士団で生活していても呪いなんて起きてないことは、みんな知ってるはずなのに、全然態度が変わらないしね。まだ怖いんだったら、徹底的に可能性を潰すよ。手始めに、みんなの前でハグしようか?」
「阿呆……」
ウィルが言うと冗談に聞こえないから困る。
「ロードが安心できるまでは、勝手に触ったりしないよ。だけどいつかもう大丈夫って思ったら――」
何を言い出すのか眉を顰め身構える。
「腕相撲でもしようか」
ため息を吐き出したロードに、ウィルは楽しげに笑った。
だがそんな日は来ないまま、二人の企みは途絶えた。
ある日ウィルが修練中に倒れたのだ。
苦しそうに息をするウィルを抱きかかえようとした手をはっとして引き戻し、立ち尽くすロードにウィルは言った。
「ついに、限界が来たみたい……。あーあ、まだこれからだったのに」
それきり、ウィルが第三騎士団の修練場に姿を現すことはなかった。
騎士団長にウィルの容態を尋ねても『問題ない』とだけ返されたが、はぐらかされているのがわかった。
しかしその後、一通の手紙が届けられた。
差出人の名前はなかった。
ただそこには、『証明の続きは、また今度』とだけ書かれていた。
それから一年が経ったが、ウィルとはまだ会えていない。
だが、ウィルが証明しようとしてくれていたその続きを、今魔王討伐を持って果たそうとしている。
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