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第二章
第7話
しおりを挟む サルラージ侯爵が開いたパーティに、スフィーナはグレイグにエスコートされ出席した。
爽やかな黄色のドレスはダスティンが贈ってくれたもの。
さりげなく裾にあしらわれたフリルは華やかだが、布の量は絞り込まれて軽く、ペチコートでふんわりと広げて見せているだけだから、足にまとわりつかず動きやすい。走ることだってできそうだ。
肩には大きな花の飾りが目立っていた。
スフィーナがその存在を誇示するような、そんなドレスを着たのは初めてだった。
会場には既にダスティンと義母の姿があった。
いつもなら会場に入った後は別々にいることが多いのに、傍にいる。
ダスティンは義母の監視。
義母は自らのアリバイを証明するためか。
とかく、今日義母が何か事を起こそうとしていることは間違いない。
スフィーナは姿を確認してすぐに視線を外したが、義母の視線が鋭く向けられたことには気が付いていた。
口元を扇で覆ってはいても、憎々しげな目は隠しようがない。
きっとスフィーナが次期当主になるという噂を聞き、煮えくり返るほどに怒り狂っていることだろう。
簡単に人の命までも奪ってしまう義母が恐ろしくはあった。
そんな義母だからこそ、許せなかった。
たとえこの身をおとりにしてでも、尻尾を掴んで見せる。
スフィーナは、そうダスティンに願い出たのだ。
スフィーナが次期当主に指名される可能性を匂わせ、義母が動き出すところを捕らえる。
逃げているばかりでは後手後手に回るばかりで、決定的なものが掴めないから。
懸念は、義母が自ら手を下すとは思えず、誰かがいいように使われれば実行者に指輪の効果が発動してしまうのではないかということだった。
だが、これまでも跳ね返る相手は実行者ではなく指示者だった。
食事を抜きにしたのも、部屋に閉じ込めるため案内したのも、実行者は使用人たちだ。
だがそれを指示した義母が倍返しを浴びた。
万全を期すため、他にも指輪の効果の発動条件について、ラグート邸にいる間にグレイグと様々に実験した。
スフィーナは次の三つのいずれかが条件だろうと推測した。
行使者に悪意があること。
スフィーナが怒りを持つこと。
スフィーナの意図と反し、心身に衝撃を受けること。
グレイグはスフィーナに痛い思いをさせるのは嫌がったが、頼み込んで額を指でピンとはじいてもらった。
痛かった。
痛がっていると面白くなったのか、あれやこれやされて最終的にはスフィーナは腹を立てたが、やり返そうという気は起こらなかった。
結果、数日経ってもグレイグがスフィーナと同じような目に遭うことも、それ以上のこともなかった。
不意打ちで食らっても、グレイグには何も起きなかった。
グレイグがスフィーナに悪意を持って痛みを与えることは困難だったため実験できていないが、それはこれまで義母とミリーに跳ね返っていたことから実証されていると言える。
そのことから、スフィーナとグレイグはやはり行使者に悪意があることが発動条件なのだろうと結論づけた。
だからこの場でスフィーナを害そうとする実行者が誰であっても、悪意を向け指示をしたその人に跳ね返るはずだ。
ダスティンは噂が流れるのと同時に疑いのある者たちに監視を立てており、既に動きがありあたりがつけられたと聞いていた。
だから今日スフィーナが実際にやられる必要はない。
この場から連れ去られるか、刃を向けられるか、毒を仕掛けられるか。
どんな手で来るかはわからなかったが、それに対する準備もしてある。
来るならいつでも来ればいい。
そう腹を決めて、スフィーナはパーティ会場に立っていた。
グレイグはスフィーナを連れて一通りあいさつ回りを済ませると、飲み物を取りに行くと言って傍を離れた。
今日はなるべくスフィーナ一人でいなければならない。
ただし、グレイグかダスティン、衛兵、ダスティンが仕込んでいるであろう護衛達からそれほど離れていない場所で。
付け焼刃でしかないスフィーナが、一人で満足に大人の男に立ち向かえるわけではないから。
だからあくまで狙わせることが目的で、命を奪われたり、重傷を負うようなことになってはならない。
その匙加減に気を張り詰め、周囲を警戒しながらも、できるだけ顔はリラックスして見せた。
それが一番難しかったかもしれない。
ふと視線の端に真っ赤なドレスが動いているのが見えた。
ミリーだ。
エスコートしているのは、ダミアン侯爵の次男ジード。
次の婚約者候補として義母が引き合わせたうちの一人だと聞いている。
ミリーの婚約者の中にも義母と裏で繋がりのある人物がいるかもしれない。
だがヘイムート公爵は義母とは無関係だった。そうしてあからさまな繋がりは表に見せないのが義母の功名さだった。
ミリーはジードを伴い義母とダスティンの元へ向かうと、そこで談笑を始めた。
ジードは紳士然とした顔を張り付けているが、義母のねっとりとした笑みに辟易している様子が遠くからでもわかった。
ジード個人は義母にもミリーにもあまりいい感情はもっていなそうだ。
グレイグの様子をそっと窺うと、飲み物を取りに行った先で学友と話し込んでいた。
スフィーナの様子が見えるよう背は向けず、体を入口の方に向けている。
話をしながらも誰か怪しい人物が会場に入ってはこないか、監視しているのだろう。
ふと、そうして話し込んでいるふりをしていたグレイグの目が険しく細められた。
来た、と思った。
スフィーナもさりげなく入口付近に視線を流したが、怪しい人影がどれか、すぐにはわからなかった。
だがまっすぐにこちらに向かってくるその足取りに気が付いた。
どこか身をかがめるように前傾になり、ポケットに押し込まれた右手を隠すように左手が覆っている。
ナイフだ。
スフィーナは直感した。
しかし一瞬、その顔を見て思考が飛んだ。
ゲイツだった。
肌は青黒く、頬はややこけており、高慢な笑みも浮いていない。だが確かにあれはミリーの婚約者だったゲイツだ。
愕然とするスフィーナと目が合うと、ゲイツはにやりと昏い笑みを浮かべ、まっすぐに突進してきた。
グレイグが駆け寄ってくるのがわかる。
グレイグが守ってくれる。
だが。
スフィーナは、前に向かって歩いた。ゲイツの刃へと向かって。
近くに人のいない、巻き込まなくて済む場所まで。
「スフィーナ!」
グレイグの声が聞こえた。
けれどスフィーナが前に歩いたことで、その手は一歩間に合わなかった。
「人を引きずり降ろそうと企む悪女め!! 死ねえええええ!!」
ポケットから手を引き抜いたゲイツが、その手を振り上げた。
会場の橙色の光を浴びて輝くのは、刀身の短いナイフ。
スフィーナはその体に向かって振り下ろされる刃をギリギリで避けた。
左の腕に微かな痛みが走る。
すぐさま躍り出たグレイグがゲイツの腕を取り、床にねじ伏せた。
「きゃあああああ!!」
突然の騒ぎに会場が悲鳴と混乱に包まれる中、ただ一人猛然と向かってくる者があった。
「ゲイツ! 貴様、何をしておる!!」
駆け付けたのはヘイムート公爵だった。
「恥さらしめが! こんなところで刃を振り回すなど……貴族としての誇りだけでなく、正気までも失ったか!!」
ヘイムート公爵はゲイツを抑え付けていたグレイグを猛然と押しのけると、ゲイツの胸倉をつかんだ。
しかし必死な顔のゲイツはその手を振りほどき、出口に向かって遁走した。
「この……! ゲイツ! この期に及んで生き恥をさらす気か!」
「うあああああ! 来るな、来るな、来るなあああ!!」
ゲイツは闇雲にナイフを振り回し、止めに入ろうとしたり避け切れなかった何人かが腕を切り裂かれた。
しかし駆け付けた衛兵にあえなく捕らえられ、引っ立てられていった。
その場に残されたヘイムート公爵は呆然とそれを眺め、それからはっとしたように慌ててそれを追いかけていった。
嵐の過ぎ去った会場では、気分を害したと帰る人、怪我を負った人を囲む人、ひそひそとうわさ話をする人に分かれた。
「スフィーナ、腕が……!」
まだ激しく胸が鳴っていた。
だが今はそんな場合ではない。
「ええ。それよりも早く、怪我をした人が誰か確認しないと」
その言葉にグレイグははっと息を呑み、それから奥歯を噛みしめた。
「スフィーナ……! まさか、わざと」
スフィーナは構わず人垣に歩みより、「私が狙われたようですのに、巻き込んでしまい申し訳ありませんでした」と謝って回った。そしてその顔と怪我とを確認した。
両腕を怪我した男が三人。
いずれもダスティンがあたりをつけていた男だ。
会場を歩く中で、ダスティンたちの姿が目に入った。
ミリーの足元には驚いて落としてしまったのか、割れたグラスが散っていた。
そして騒動から離れたところにいたはずの義母は、その両腕に裂傷を負っていた。
きっとグラスの破片が床からはねあがり、義母の腕を傷つけたのだろう。
脂汗を流し、痛みに顔を歪める義母の傍ではミリーが「ごめんなさい! 私が突然のことに驚いてしまったから……」と涙を流していた。
「これでお父様も確証が持てたかしら」
黙って後についてきたグレイグを振り返れば、その顔は怒りとも悲しみともつかない、ただ苦しそうなものに染められていた。
爽やかな黄色のドレスはダスティンが贈ってくれたもの。
さりげなく裾にあしらわれたフリルは華やかだが、布の量は絞り込まれて軽く、ペチコートでふんわりと広げて見せているだけだから、足にまとわりつかず動きやすい。走ることだってできそうだ。
肩には大きな花の飾りが目立っていた。
スフィーナがその存在を誇示するような、そんなドレスを着たのは初めてだった。
会場には既にダスティンと義母の姿があった。
いつもなら会場に入った後は別々にいることが多いのに、傍にいる。
ダスティンは義母の監視。
義母は自らのアリバイを証明するためか。
とかく、今日義母が何か事を起こそうとしていることは間違いない。
スフィーナは姿を確認してすぐに視線を外したが、義母の視線が鋭く向けられたことには気が付いていた。
口元を扇で覆ってはいても、憎々しげな目は隠しようがない。
きっとスフィーナが次期当主になるという噂を聞き、煮えくり返るほどに怒り狂っていることだろう。
簡単に人の命までも奪ってしまう義母が恐ろしくはあった。
そんな義母だからこそ、許せなかった。
たとえこの身をおとりにしてでも、尻尾を掴んで見せる。
スフィーナは、そうダスティンに願い出たのだ。
スフィーナが次期当主に指名される可能性を匂わせ、義母が動き出すところを捕らえる。
逃げているばかりでは後手後手に回るばかりで、決定的なものが掴めないから。
懸念は、義母が自ら手を下すとは思えず、誰かがいいように使われれば実行者に指輪の効果が発動してしまうのではないかということだった。
だが、これまでも跳ね返る相手は実行者ではなく指示者だった。
食事を抜きにしたのも、部屋に閉じ込めるため案内したのも、実行者は使用人たちだ。
だがそれを指示した義母が倍返しを浴びた。
万全を期すため、他にも指輪の効果の発動条件について、ラグート邸にいる間にグレイグと様々に実験した。
スフィーナは次の三つのいずれかが条件だろうと推測した。
行使者に悪意があること。
スフィーナが怒りを持つこと。
スフィーナの意図と反し、心身に衝撃を受けること。
グレイグはスフィーナに痛い思いをさせるのは嫌がったが、頼み込んで額を指でピンとはじいてもらった。
痛かった。
痛がっていると面白くなったのか、あれやこれやされて最終的にはスフィーナは腹を立てたが、やり返そうという気は起こらなかった。
結果、数日経ってもグレイグがスフィーナと同じような目に遭うことも、それ以上のこともなかった。
不意打ちで食らっても、グレイグには何も起きなかった。
グレイグがスフィーナに悪意を持って痛みを与えることは困難だったため実験できていないが、それはこれまで義母とミリーに跳ね返っていたことから実証されていると言える。
そのことから、スフィーナとグレイグはやはり行使者に悪意があることが発動条件なのだろうと結論づけた。
だからこの場でスフィーナを害そうとする実行者が誰であっても、悪意を向け指示をしたその人に跳ね返るはずだ。
ダスティンは噂が流れるのと同時に疑いのある者たちに監視を立てており、既に動きがありあたりがつけられたと聞いていた。
だから今日スフィーナが実際にやられる必要はない。
この場から連れ去られるか、刃を向けられるか、毒を仕掛けられるか。
どんな手で来るかはわからなかったが、それに対する準備もしてある。
来るならいつでも来ればいい。
そう腹を決めて、スフィーナはパーティ会場に立っていた。
グレイグはスフィーナを連れて一通りあいさつ回りを済ませると、飲み物を取りに行くと言って傍を離れた。
今日はなるべくスフィーナ一人でいなければならない。
ただし、グレイグかダスティン、衛兵、ダスティンが仕込んでいるであろう護衛達からそれほど離れていない場所で。
付け焼刃でしかないスフィーナが、一人で満足に大人の男に立ち向かえるわけではないから。
だからあくまで狙わせることが目的で、命を奪われたり、重傷を負うようなことになってはならない。
その匙加減に気を張り詰め、周囲を警戒しながらも、できるだけ顔はリラックスして見せた。
それが一番難しかったかもしれない。
ふと視線の端に真っ赤なドレスが動いているのが見えた。
ミリーだ。
エスコートしているのは、ダミアン侯爵の次男ジード。
次の婚約者候補として義母が引き合わせたうちの一人だと聞いている。
ミリーの婚約者の中にも義母と裏で繋がりのある人物がいるかもしれない。
だがヘイムート公爵は義母とは無関係だった。そうしてあからさまな繋がりは表に見せないのが義母の功名さだった。
ミリーはジードを伴い義母とダスティンの元へ向かうと、そこで談笑を始めた。
ジードは紳士然とした顔を張り付けているが、義母のねっとりとした笑みに辟易している様子が遠くからでもわかった。
ジード個人は義母にもミリーにもあまりいい感情はもっていなそうだ。
グレイグの様子をそっと窺うと、飲み物を取りに行った先で学友と話し込んでいた。
スフィーナの様子が見えるよう背は向けず、体を入口の方に向けている。
話をしながらも誰か怪しい人物が会場に入ってはこないか、監視しているのだろう。
ふと、そうして話し込んでいるふりをしていたグレイグの目が険しく細められた。
来た、と思った。
スフィーナもさりげなく入口付近に視線を流したが、怪しい人影がどれか、すぐにはわからなかった。
だがまっすぐにこちらに向かってくるその足取りに気が付いた。
どこか身をかがめるように前傾になり、ポケットに押し込まれた右手を隠すように左手が覆っている。
ナイフだ。
スフィーナは直感した。
しかし一瞬、その顔を見て思考が飛んだ。
ゲイツだった。
肌は青黒く、頬はややこけており、高慢な笑みも浮いていない。だが確かにあれはミリーの婚約者だったゲイツだ。
愕然とするスフィーナと目が合うと、ゲイツはにやりと昏い笑みを浮かべ、まっすぐに突進してきた。
グレイグが駆け寄ってくるのがわかる。
グレイグが守ってくれる。
だが。
スフィーナは、前に向かって歩いた。ゲイツの刃へと向かって。
近くに人のいない、巻き込まなくて済む場所まで。
「スフィーナ!」
グレイグの声が聞こえた。
けれどスフィーナが前に歩いたことで、その手は一歩間に合わなかった。
「人を引きずり降ろそうと企む悪女め!! 死ねえええええ!!」
ポケットから手を引き抜いたゲイツが、その手を振り上げた。
会場の橙色の光を浴びて輝くのは、刀身の短いナイフ。
スフィーナはその体に向かって振り下ろされる刃をギリギリで避けた。
左の腕に微かな痛みが走る。
すぐさま躍り出たグレイグがゲイツの腕を取り、床にねじ伏せた。
「きゃあああああ!!」
突然の騒ぎに会場が悲鳴と混乱に包まれる中、ただ一人猛然と向かってくる者があった。
「ゲイツ! 貴様、何をしておる!!」
駆け付けたのはヘイムート公爵だった。
「恥さらしめが! こんなところで刃を振り回すなど……貴族としての誇りだけでなく、正気までも失ったか!!」
ヘイムート公爵はゲイツを抑え付けていたグレイグを猛然と押しのけると、ゲイツの胸倉をつかんだ。
しかし必死な顔のゲイツはその手を振りほどき、出口に向かって遁走した。
「この……! ゲイツ! この期に及んで生き恥をさらす気か!」
「うあああああ! 来るな、来るな、来るなあああ!!」
ゲイツは闇雲にナイフを振り回し、止めに入ろうとしたり避け切れなかった何人かが腕を切り裂かれた。
しかし駆け付けた衛兵にあえなく捕らえられ、引っ立てられていった。
その場に残されたヘイムート公爵は呆然とそれを眺め、それからはっとしたように慌ててそれを追いかけていった。
嵐の過ぎ去った会場では、気分を害したと帰る人、怪我を負った人を囲む人、ひそひそとうわさ話をする人に分かれた。
「スフィーナ、腕が……!」
まだ激しく胸が鳴っていた。
だが今はそんな場合ではない。
「ええ。それよりも早く、怪我をした人が誰か確認しないと」
その言葉にグレイグははっと息を呑み、それから奥歯を噛みしめた。
「スフィーナ……! まさか、わざと」
スフィーナは構わず人垣に歩みより、「私が狙われたようですのに、巻き込んでしまい申し訳ありませんでした」と謝って回った。そしてその顔と怪我とを確認した。
両腕を怪我した男が三人。
いずれもダスティンがあたりをつけていた男だ。
会場を歩く中で、ダスティンたちの姿が目に入った。
ミリーの足元には驚いて落としてしまったのか、割れたグラスが散っていた。
そして騒動から離れたところにいたはずの義母は、その両腕に裂傷を負っていた。
きっとグラスの破片が床からはねあがり、義母の腕を傷つけたのだろう。
脂汗を流し、痛みに顔を歪める義母の傍ではミリーが「ごめんなさい! 私が突然のことに驚いてしまったから……」と涙を流していた。
「これでお父様も確証が持てたかしら」
黙って後についてきたグレイグを振り返れば、その顔は怒りとも悲しみともつかない、ただ苦しそうなものに染められていた。
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