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第一章
第6話
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スフィーナとミリーは、貴族が通う学院に通っている。
妹ではあるものの半年ほどしか差のないミリーは学院ではスフィーナと同学年だった。
貴族社会ではそんな姉妹も珍しいことではない。
だが妻であるサナをあれほど愛していたダスティンが、義母に浮気をするとは思えなかったから、スフィーナはずっと疑問だった。
何よりミリーとダスティンは似ていない。
子は異性の親に似ることが多いとよく聞くが、ミリーは髪も瞳も義母譲りだ。
スフィーナはダスティンに似ているが、サナからは雪国で育ったという肌の白さや、やや垂れ目がちな目を受け継いでいた。
「出てきてよかったのか? いくら熱は下がったとは言え、病み上がりなんだ。無理することはないんだぞ」
共に馬車に揺られながら気づかわしげに眉を顰めたグレイグに、スフィーナは「大丈夫」と笑って見せた。
朝もグレイグは迎えに来てくれるのだが、今日は見舞いのつもりで来たものの、しっかりと制服に着替えて待っていたスフィーナを乗せて共に学院に向かうことになった。
「大丈夫よ。もうすっかり体も軽いし、何より日中に家にいるとお義母さまに何を言われるかわからないし」
夫も子供たちもいないあの邸で、義母はかわるがわる愛人を連れ込んでいる。
スフィーナの部屋を移動させたのも、そのせいだろう。
邸中の人間がそのことを知っている今、いまさらだと思うのだが。
「それなら家に来ればいい。スフィーナなら両親も歓迎するぞ。アンリーク伯爵には俺から連絡を入れておくし」
グレイグの家、ラグート伯爵邸にはよく遊びに行かせてもらっているし、家族ぐるみでスフィーナをかわいがってくれている。
それはわかっているが、こんなことで世話になるわけにはいかない。
「ありがとう。無理はしないから」
「何かあったら言えよ」
「うん」
過保護なくらいにグレイグは大事にしてくれる。
こうして行きも帰りも馬車で送ってくれるのは、ミリーと一緒に学院に通わなくて済むように気遣ってくれているのだとわかっている。
甘えてしまってばかりだが、グレイグと一緒にいる時が一番ほっとできた。
・・・◆・・・◇・・・◆・・・
「お姉さま、今日はこちらにいらしたのね」
昼休み。
ミリーに見つからないようにといつも場所を変えて昼食をとっているのだが、今日は見つかってしまった。
「何か用?」
「その言い方、冷たすぎますわ。ただお話がしたかっただけなのに。朝もお姉さまはちっともお話を聞いてくださらないし。お母さまが大変なのに逃げるようにいなくなるなんて、本当に冷たいですわ」
今スフィーナは、同じクラスの友人たちと持参した弁当を食べようとしているところだった。
友人たちも、ミリーが話しているのに勝手に食べ始めるわけにはいかず、手を止めている。
ミリーはスフィーナの友人たちに聞かせるようにちらりと視線を向けたが、愛想笑いを浮かべた顔に変化はない。
スフィーナが何も言わなくとも、普段のミリーを見ていればどういう意図で放たれた言葉かわかっているからだ。
スフィーナは食事を前に聡明な友人たちを待たせてしまっていることを心苦しく思いながら、早く用事が済むようにと話を促した。
「何か困ったことでもあったの?」
ミリーは「ええ、そうなの」と、ここぞと眉を下げて見せた。
「昨夜はお姉さまのためにパン粥なんてものを食べてしまったから、朝はとてもお腹が空いてしまったでしょう? それなのに、朝はお姉さまのことが心配であまり食欲がなくて。今になってとてもお腹が空いてしまったの」
お姉さまのため、お姉さまのせい。こじつけがすごい。
スフィーナは、ミリーの目がじっとスフィーナの弁当に向けられていることに気が付いた。
「それなら、私のお弁当を食べる?」
「ありがとう、お姉さま! いつもお姉さまが作らせているお弁当はおいしそうだと思っていたのよ」
正解だったらしい。
まさか冷めた食事が嫌いなミリーが、それをおしてまで弁当を食べたがるとは思いもしなかった。
とにかくスフィーナから奪えるものは何でも奪えれば満足なのだろう。
スフィーナはため息を堪え、開きかけていた弁当をミリーに渡した。
スフィーナを囲んでいた友人たちが、ミリーに戸惑っているのがわかる。
仮にも令嬢が、姉妹とは言え他人の弁当を欲しがるという心理がわからないのだろう。
その気持ちはスフィーナにも痛いくらいにわかったが、誰もここでは何も口にはしないでくれたのが助かった。
「ではお姉さまが食堂に行ってしまう代わりに、私がみなさんのお話し相手を務めさせていただきますわね。楽しくお昼を食べましょう?」
目と手で「どいてくださいな」と促されたスフィーナは、友人たちにこの面倒な義妹を残していくことが申し訳なくなり、「ごめんね」と視線を向けた。
それを合図にしたかのように、友人たちは広げかけていた弁当を畳み始めた。
「ミリー様、申し訳ありません。私も今日はお弁当だけでは足りないように思っていましたの。ですから今日は、スフィーナ様と一緒に食堂に行ってサラダをつけようかと思いますわ」
「それはいいですわね。私もお弁当では野菜は不足しがちだと常々思っていましたの」
「では私はデザートを頼んでしまおうかしら」
ふふふ、と友人たちは楽しげに笑い合い、スフィーナににっこりと笑みを向けた。
「さあ、スフィーナ。参りましょう?」
「え、ええ」
戸惑うスフィーナの腕を取り、友人たちはミリーにぺこりと礼をして歩き去った。
ミリーが「またお姉さまばかりだわ。お友達まで独り占めするのね」と呟いたのがわかった。
ミリーは何故、これまでロクに話したこともない令嬢たちの中にいきなり入ってきて、楽しく時を過ごせるなどと思ったのだろう。
スフィーナはミリーのことが心底からわからなかった。
スフィーナと友人たちは気が合うから付き合っているのであって、アンリーク伯爵家の令嬢というだけで行動を共にしているわけではない。
だからスフィーナの居場所がミリーにそのまま差し替わるわけではないのに。
ミリーはスフィーナの友人たちを背景としか思っておらず、そこに意志があることなど忘れてしまっているのだろうか。
ミリーの姿が見えないところまで来ると、友人たちはそれぞれにため息を吐き出した。
「まったく、ミリー様にも困ったものね」
「何故私たちがあんな不快の塊でしかない方とお昼を過ごさなければならないの?」
「まるで私達に意志があるなんて思ってもいないんでしょうね。世界のすべてはスフィーナで、スフィーナが手にしているものは全て自分にも権利があると思っているのよ。腹立たしいったらないわ」
「あんな自己愛だけでできている方と貴重な休み時間を過ごすだなんてお断りだわ。いくら姉妹だからって、スフィーナと一緒にいるみたいに楽しい時間が過ごせるわけがないのに」
「いつもミリーが迷惑ばかりかけてごめんなさい」
友人たちのあまりの剣幕に申し訳なくなり、眉を下げたスフィーナに一同は慌てたように強く首を振った。
「スフィーナのせいだなんて考えることはないわ。ミリー様とは別の人間なんだから。もういい年にもなったのだから、ミリー様も自分のことは自分で責任を持つべきなのよ」
友人たちの勢いはすごかったが、言っていることはもっともだと思う。
せっかく食べるところだったのに食堂まで移動することになって申し訳ない気持ちだったが、スフィーナは理解ある友人に囲まれ、自然と笑顔になれた。
その日の夜、邸で顔を合わせたミリーは別人のようになっていた。
妹ではあるものの半年ほどしか差のないミリーは学院ではスフィーナと同学年だった。
貴族社会ではそんな姉妹も珍しいことではない。
だが妻であるサナをあれほど愛していたダスティンが、義母に浮気をするとは思えなかったから、スフィーナはずっと疑問だった。
何よりミリーとダスティンは似ていない。
子は異性の親に似ることが多いとよく聞くが、ミリーは髪も瞳も義母譲りだ。
スフィーナはダスティンに似ているが、サナからは雪国で育ったという肌の白さや、やや垂れ目がちな目を受け継いでいた。
「出てきてよかったのか? いくら熱は下がったとは言え、病み上がりなんだ。無理することはないんだぞ」
共に馬車に揺られながら気づかわしげに眉を顰めたグレイグに、スフィーナは「大丈夫」と笑って見せた。
朝もグレイグは迎えに来てくれるのだが、今日は見舞いのつもりで来たものの、しっかりと制服に着替えて待っていたスフィーナを乗せて共に学院に向かうことになった。
「大丈夫よ。もうすっかり体も軽いし、何より日中に家にいるとお義母さまに何を言われるかわからないし」
夫も子供たちもいないあの邸で、義母はかわるがわる愛人を連れ込んでいる。
スフィーナの部屋を移動させたのも、そのせいだろう。
邸中の人間がそのことを知っている今、いまさらだと思うのだが。
「それなら家に来ればいい。スフィーナなら両親も歓迎するぞ。アンリーク伯爵には俺から連絡を入れておくし」
グレイグの家、ラグート伯爵邸にはよく遊びに行かせてもらっているし、家族ぐるみでスフィーナをかわいがってくれている。
それはわかっているが、こんなことで世話になるわけにはいかない。
「ありがとう。無理はしないから」
「何かあったら言えよ」
「うん」
過保護なくらいにグレイグは大事にしてくれる。
こうして行きも帰りも馬車で送ってくれるのは、ミリーと一緒に学院に通わなくて済むように気遣ってくれているのだとわかっている。
甘えてしまってばかりだが、グレイグと一緒にいる時が一番ほっとできた。
・・・◆・・・◇・・・◆・・・
「お姉さま、今日はこちらにいらしたのね」
昼休み。
ミリーに見つからないようにといつも場所を変えて昼食をとっているのだが、今日は見つかってしまった。
「何か用?」
「その言い方、冷たすぎますわ。ただお話がしたかっただけなのに。朝もお姉さまはちっともお話を聞いてくださらないし。お母さまが大変なのに逃げるようにいなくなるなんて、本当に冷たいですわ」
今スフィーナは、同じクラスの友人たちと持参した弁当を食べようとしているところだった。
友人たちも、ミリーが話しているのに勝手に食べ始めるわけにはいかず、手を止めている。
ミリーはスフィーナの友人たちに聞かせるようにちらりと視線を向けたが、愛想笑いを浮かべた顔に変化はない。
スフィーナが何も言わなくとも、普段のミリーを見ていればどういう意図で放たれた言葉かわかっているからだ。
スフィーナは食事を前に聡明な友人たちを待たせてしまっていることを心苦しく思いながら、早く用事が済むようにと話を促した。
「何か困ったことでもあったの?」
ミリーは「ええ、そうなの」と、ここぞと眉を下げて見せた。
「昨夜はお姉さまのためにパン粥なんてものを食べてしまったから、朝はとてもお腹が空いてしまったでしょう? それなのに、朝はお姉さまのことが心配であまり食欲がなくて。今になってとてもお腹が空いてしまったの」
お姉さまのため、お姉さまのせい。こじつけがすごい。
スフィーナは、ミリーの目がじっとスフィーナの弁当に向けられていることに気が付いた。
「それなら、私のお弁当を食べる?」
「ありがとう、お姉さま! いつもお姉さまが作らせているお弁当はおいしそうだと思っていたのよ」
正解だったらしい。
まさか冷めた食事が嫌いなミリーが、それをおしてまで弁当を食べたがるとは思いもしなかった。
とにかくスフィーナから奪えるものは何でも奪えれば満足なのだろう。
スフィーナはため息を堪え、開きかけていた弁当をミリーに渡した。
スフィーナを囲んでいた友人たちが、ミリーに戸惑っているのがわかる。
仮にも令嬢が、姉妹とは言え他人の弁当を欲しがるという心理がわからないのだろう。
その気持ちはスフィーナにも痛いくらいにわかったが、誰もここでは何も口にはしないでくれたのが助かった。
「ではお姉さまが食堂に行ってしまう代わりに、私がみなさんのお話し相手を務めさせていただきますわね。楽しくお昼を食べましょう?」
目と手で「どいてくださいな」と促されたスフィーナは、友人たちにこの面倒な義妹を残していくことが申し訳なくなり、「ごめんね」と視線を向けた。
それを合図にしたかのように、友人たちは広げかけていた弁当を畳み始めた。
「ミリー様、申し訳ありません。私も今日はお弁当だけでは足りないように思っていましたの。ですから今日は、スフィーナ様と一緒に食堂に行ってサラダをつけようかと思いますわ」
「それはいいですわね。私もお弁当では野菜は不足しがちだと常々思っていましたの」
「では私はデザートを頼んでしまおうかしら」
ふふふ、と友人たちは楽しげに笑い合い、スフィーナににっこりと笑みを向けた。
「さあ、スフィーナ。参りましょう?」
「え、ええ」
戸惑うスフィーナの腕を取り、友人たちはミリーにぺこりと礼をして歩き去った。
ミリーが「またお姉さまばかりだわ。お友達まで独り占めするのね」と呟いたのがわかった。
ミリーは何故、これまでロクに話したこともない令嬢たちの中にいきなり入ってきて、楽しく時を過ごせるなどと思ったのだろう。
スフィーナはミリーのことが心底からわからなかった。
スフィーナと友人たちは気が合うから付き合っているのであって、アンリーク伯爵家の令嬢というだけで行動を共にしているわけではない。
だからスフィーナの居場所がミリーにそのまま差し替わるわけではないのに。
ミリーはスフィーナの友人たちを背景としか思っておらず、そこに意志があることなど忘れてしまっているのだろうか。
ミリーの姿が見えないところまで来ると、友人たちはそれぞれにため息を吐き出した。
「まったく、ミリー様にも困ったものね」
「何故私たちがあんな不快の塊でしかない方とお昼を過ごさなければならないの?」
「まるで私達に意志があるなんて思ってもいないんでしょうね。世界のすべてはスフィーナで、スフィーナが手にしているものは全て自分にも権利があると思っているのよ。腹立たしいったらないわ」
「あんな自己愛だけでできている方と貴重な休み時間を過ごすだなんてお断りだわ。いくら姉妹だからって、スフィーナと一緒にいるみたいに楽しい時間が過ごせるわけがないのに」
「いつもミリーが迷惑ばかりかけてごめんなさい」
友人たちのあまりの剣幕に申し訳なくなり、眉を下げたスフィーナに一同は慌てたように強く首を振った。
「スフィーナのせいだなんて考えることはないわ。ミリー様とは別の人間なんだから。もういい年にもなったのだから、ミリー様も自分のことは自分で責任を持つべきなのよ」
友人たちの勢いはすごかったが、言っていることはもっともだと思う。
せっかく食べるところだったのに食堂まで移動することになって申し訳ない気持ちだったが、スフィーナは理解ある友人に囲まれ、自然と笑顔になれた。
その日の夜、邸で顔を合わせたミリーは別人のようになっていた。
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