82 / 96
Office19・本当のキモチ
1
しおりを挟む
私は三輪さんと別れて、一人で夜景の見える港の横浜を歩いた。
なんとなく海が見たくなって、コスモクロック21を背に、そのまま海側まで来たところだ。
どうしてこうなっちゃったのかなーって、やっぱりさっきのは気の迷いじゃないかなーとか、色々思う。後悔とか、色んな思惑が頭をぐるぐるしている。
っていうか、何で、真吾君なの?
あの悪魔の何がいいのか、ホンキで解らない。
私の心、勝手に持っていきやがって!
折角、三輪さんと両想いだって判ったのに、その手を取ることができないなんて!
残念すぎるっ!
本当に、本当に、どうしてくれんのよっ!!
あんな無理矢理――毎回毎回、口止め料なんか払わせるから、こんな事になっちゃったのよ!
でも、真吾君を思い出すと、身体が熱くなる。
三輪さんにドキドキしている時と、違う。もっと熱くなって、真吾君を求めようと、身体が勝手に昂っていく。
逢いたい――こんな時に、何を勝手な事、思っちゃうんだろう。
ピルルルル ピルルルル
ハンドバックから、スマートフォンが鳴る音が聞こえて来た。
――本当に、エスパーだわ、貴方。
取らなきゃ面倒だから、ヤツからの電話だってすぐ解るように専用の呼び出し音にしてあるから、音で解る。
今までそっけなく扱っていたのに、急に貴方を好きになったなんて、言うのも悔しい。
どうしてやろうかしら。
「何の用?」
ハンドバックから急いでスマホを取り出し、いつも通り電話に出ることにした。
ドキドキしているの、バレないかしら。
『用事は無いんですけど、なんとなく、和歌子さんが俺の声が聞きたいって思っているんじゃないかって、電話しました』
本当に超能力、あるんじゃない?
「そんなワケないでしょ」
そんなワケ、ありますけどね。
ええ、驚いてますよ。貴方のエスパーぶり。
『ま、ぶっちゃけ言いますと、三輪さんとのデート、邪魔してやろうと思って電話かけました。今日で最後ですよね? 限定デートとやら。夕方までって言ってたのに、遅いからお邪魔虫です』
あ、そこは私の心、読めないんだ。完璧なエスパーじゃないのね。うふふ。そうだったんだ。
じゃあ、私のこの本当のキモチは、貴方に言うワケにはいかないわよね。
散々意地悪されたんだもん。私だって、少しくらい意地悪してやるんだから!
「デート、上手く行ったって言ったら、どうする?」
『・・・・可愛い女性は、そんな強がりを言っちゃいけません』
「どうして強がりなんて言うのよ。本当だったらどうするの?」
ちょっとムカっときたから、棘のある声が出た。
『デートが上手く行っていたら、俺と電話なんかしてませんよ。で、今ドコですか? 迎えに行ってあげます。どうせ最後だから、三輪さんの車でデートでもしたんでしょう? 雰囲気の良い横浜あたりにいらっしゃるんじゃないですか? 静かで波の音も聞こえるから、今いるのは、コスモクロック21近くの、海が見える付近でしょう?』
エスパー探偵上山真吾って看板上げて、探偵業始めればいいのに、ってホンキで思う。
なんとなく海が見たくなって、コスモクロック21を背に、そのまま海側まで来たところだ。
どうしてこうなっちゃったのかなーって、やっぱりさっきのは気の迷いじゃないかなーとか、色々思う。後悔とか、色んな思惑が頭をぐるぐるしている。
っていうか、何で、真吾君なの?
あの悪魔の何がいいのか、ホンキで解らない。
私の心、勝手に持っていきやがって!
折角、三輪さんと両想いだって判ったのに、その手を取ることができないなんて!
残念すぎるっ!
本当に、本当に、どうしてくれんのよっ!!
あんな無理矢理――毎回毎回、口止め料なんか払わせるから、こんな事になっちゃったのよ!
でも、真吾君を思い出すと、身体が熱くなる。
三輪さんにドキドキしている時と、違う。もっと熱くなって、真吾君を求めようと、身体が勝手に昂っていく。
逢いたい――こんな時に、何を勝手な事、思っちゃうんだろう。
ピルルルル ピルルルル
ハンドバックから、スマートフォンが鳴る音が聞こえて来た。
――本当に、エスパーだわ、貴方。
取らなきゃ面倒だから、ヤツからの電話だってすぐ解るように専用の呼び出し音にしてあるから、音で解る。
今までそっけなく扱っていたのに、急に貴方を好きになったなんて、言うのも悔しい。
どうしてやろうかしら。
「何の用?」
ハンドバックから急いでスマホを取り出し、いつも通り電話に出ることにした。
ドキドキしているの、バレないかしら。
『用事は無いんですけど、なんとなく、和歌子さんが俺の声が聞きたいって思っているんじゃないかって、電話しました』
本当に超能力、あるんじゃない?
「そんなワケないでしょ」
そんなワケ、ありますけどね。
ええ、驚いてますよ。貴方のエスパーぶり。
『ま、ぶっちゃけ言いますと、三輪さんとのデート、邪魔してやろうと思って電話かけました。今日で最後ですよね? 限定デートとやら。夕方までって言ってたのに、遅いからお邪魔虫です』
あ、そこは私の心、読めないんだ。完璧なエスパーじゃないのね。うふふ。そうだったんだ。
じゃあ、私のこの本当のキモチは、貴方に言うワケにはいかないわよね。
散々意地悪されたんだもん。私だって、少しくらい意地悪してやるんだから!
「デート、上手く行ったって言ったら、どうする?」
『・・・・可愛い女性は、そんな強がりを言っちゃいけません』
「どうして強がりなんて言うのよ。本当だったらどうするの?」
ちょっとムカっときたから、棘のある声が出た。
『デートが上手く行っていたら、俺と電話なんかしてませんよ。で、今ドコですか? 迎えに行ってあげます。どうせ最後だから、三輪さんの車でデートでもしたんでしょう? 雰囲気の良い横浜あたりにいらっしゃるんじゃないですか? 静かで波の音も聞こえるから、今いるのは、コスモクロック21近くの、海が見える付近でしょう?』
エスパー探偵上山真吾って看板上げて、探偵業始めればいいのに、ってホンキで思う。
0
お気に入りに追加
87
あなたにおすすめの小説
エリート警察官の溺愛は甘く切ない
日下奈緒
恋愛
親が警察官の紗良は、30歳にもなって独身なんてと親に責められる。
両親の勧めで、警察官とお見合いする事になったのだが、それは跡継ぎを産んで欲しいという、政略結婚で⁉
【完結】新皇帝の後宮に献上された姫は、皇帝の寵愛を望まない
ユユ
恋愛
周辺諸国19国を統べるエテルネル帝国の皇帝が崩御し、若い皇子が即位した2年前から従属国が次々と姫や公女、もしくは美女を献上している。
既に帝国の令嬢数人と従属国から18人が後宮で住んでいる。
未だ献上していなかったプロプル王国では、王女である私が仕方なく献上されることになった。
後宮の余った人気のない部屋に押し込まれ、選択を迫られた。
欲の無い王女と、女達の醜い争いに辟易した新皇帝の噛み合わない新生活が始まった。
* 作り話です
* そんなに長くしない予定です
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
社長室の蜜月
ゆる
恋愛
内容紹介:
若き社長・西園寺蓮の秘書に抜擢された相沢結衣は、突然の異動に戸惑いながらも、彼の完璧主義に応えるため懸命に働く日々を送る。冷徹で近寄りがたい蓮のもとで奮闘する中、結衣は彼の意外な一面や、秘められた孤独を知り、次第に特別な絆を築いていく。
一方で、同期の嫉妬や社内の噂、さらには会社を揺るがす陰謀に巻き込まれる結衣。それでも、蓮との信頼関係を深めながら、二人は困難を乗り越えようとする。
仕事のパートナーから始まる二人の関係は、やがて揺るぎない愛情へと発展していく――。オフィスラブならではの緊張感と温かさ、そして心揺さぶるロマンティックな展開が詰まった、大人の純愛ストーリー。
【完結】私が王太子殿下のお茶会に誘われたからって、今更あわてても遅いんだからね
江崎美彩
恋愛
王太子殿下の婚約者候補を探すために開かれていると噂されるお茶会に招待された、伯爵令嬢のミンディ・ハーミング。
幼馴染のブライアンが好きなのに、当のブライアンは「ミンディみたいなじゃじゃ馬がお茶会に出ても恥をかくだけだ」なんて揶揄うばかり。
「私が王太子殿下のお茶会に誘われたからって、今更あわてても遅いんだからね! 王太子殿下に見染められても知らないんだから!」
ミンディはブライアンに告げ、お茶会に向かう……
〜登場人物〜
ミンディ・ハーミング
元気が取り柄の伯爵令嬢。
幼馴染のブライアンに揶揄われてばかりだが、ブライアンが自分にだけ向けるクシャクシャな笑顔が大好き。
ブライアン・ケイリー
ミンディの幼馴染の伯爵家嫡男。
天邪鬼な性格で、ミンディの事を揶揄ってばかりいる。
ベリンダ・ケイリー
ブライアンの年子の妹。
ミンディとブライアンの良き理解者。
王太子殿下
婚約者が決まらない事に対して色々な噂を立てられている。
『小説家になろう』にも投稿しています
月城副社長うっかり結婚する 〜仮面夫婦は背中で泣く〜
白亜凛
恋愛
佐藤弥衣 25歳
yayoi
×
月城尊 29歳
takeru
母が亡くなり、失意の中現れた謎の御曹司
彼は、母が持っていた指輪を探しているという。
指輪を巡る秘密を探し、
私、弥衣は、愛のない結婚をしようと思います。
【完結】愛くるしい彼女。
たまこ
恋愛
侯爵令嬢のキャロラインは、所謂悪役令嬢のような容姿と性格で、人から敬遠されてばかり。唯一心を許していた幼馴染のロビンとの婚約話が持ち上がり、大喜びしたのも束の間「この話は無かったことに。」とバッサリ断られてしまう。失意の中、第二王子にアプローチを受けるが、何故かいつもロビンが現れて•••。
2023.3.15
HOTランキング35位/24hランキング63位
ありがとうございました!
ウブな政略妻は、ケダモノ御曹司の執愛に堕とされる
Adria
恋愛
旧題:紳士だと思っていた初恋の人は私への恋心を拗らせた執着系ドSなケダモノでした
ある日、父から持ちかけられた政略結婚の相手は、学生時代からずっと好きだった初恋の人だった。
でも彼は来る縁談の全てを断っている。初恋を実らせたい私は副社長である彼の秘書として働くことを決めた。けれど、何の進展もない日々が過ぎていく。だが、ある日会社に忘れ物をして、それを取りに会社に戻ったことから私たちの関係は急速に変わっていった。
彼を知れば知るほどに、彼が私への恋心を拗らせていることを知って戸惑う反面嬉しさもあり、私への執着を隠さない彼のペースに翻弄されていく……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる