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Office17・最後の限定デート

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 それからというもの、二ゲームもボウリングを楽しんで、悪魔のお陰でいい感じのスコアでゲームを終える事が出来た。何故かピンの中央に真吾君の顔が浮かび、それめがけて投げたら、まあまあ上手い具合にピンが倒れてくれたの。
 だからボウリング上手な三輪さんとは接戦となり、結局スコアの数は少し負けてしまったけど、普段見る事の出来ない三輪さんを見られて、本当に良かったと思う。

 ボウリングを終えるとお昼時だったから、有名な洋食店でハンバーグランチして、その後バッティングセンターに行って、三輪さんの自慢(?)のスウィングも拝んだ。若い頃からやっているだけあって、とっても上手だった。ストライクを打つ度に、キャー、ステキー、と黄色い声援を送ったりした。


 ウィンドウショッピングしたり、クレープ買い食いしたり、楽しい時間はあっという間に過ぎて行った。

 夕暮れも近づき、三輪さんがデートのシメは観覧車かなって言うから、世界最大の時計型観覧車がウリのコスモクロック21がある、よこはまコスモワールドにやって来た。
 日没から、観覧車を始め様々なアトラクションがLEDライトでライトアップされている。


 三輪さんと二人で、観覧車を見上げた。
 本当に綺麗。まさに、光のアート。

 最近、間接光が照明色をリアルタイムに変えることが可能になったみたいで、大観覧車の支柱郡が色とりどりの光の演出で包まれ、七色に輝いて様々な表情を見せている。美しい演出に、魅入ってしまった。

 本当の恋人だったらここで手を繋いで、幸せの未来を描きながら、観覧車に乗り込んで行くのだろう。

 でも、私は違う。
 これが、最後のデートの時間となる。



 もう、最後。
 
「乗ろうか」

「はい」

 三輪さんと、何時までもこの光景を見ていたかった。
 ずっとこれから先も、変わらず好きでいたかった。


 でも、貴方は決して手に入らない男。他の女性の夫(もの)だから。
 これで諦めます。最後に、こんなに楽しい想い出をありがとうございました。



 さよなら。



 観覧車に乗り込み、狭いゴンドラ内で向かい合って座った。暫く見つめ合っていたんだけど、三輪さんの方から声を掛けてくれた。「和歌ちゃん」

「は、はいっ」

 三輪さんをもうこうやって見ることができなくなるのかと思ったら、チクリと胸が痛んだ。
 でも、今日までの一週間、本当に色々な三輪さんを見ることが出来て、この男性を好きになれてよかったって、心から思った。


 
「一週間もの長い間、僕のわがままに付き合ってくれて、本当にありがとう」

「いいえ。私も楽しかったです」

 いい想い出が出来ました。最後に沢山貴方の素敵な所が見られて、私は満足です。
きっぱり、今からフラれます!
 さあ、何て言おうかな。

「和歌ちゃんに一週間付き合ってもらって、解ったことがあるんだ。聞いてくれるかい?」

 私が話そうと思っていたのに、三輪さんの方から話を振って来たから、頷いた。
 まあ、いいか。私の話はどうせすぐにカタがつく話だ。
 貴方が好きでした、無理な事は解っています、だからきっぱりフッて下さい――って。



「僕は――」三輪さんは少し照れくさそうに、でも、しっかり私を見つめて言った。「君を、諦めることはできないんだ、って事に」




 えっ?





 三輪さん、今なんて――







 
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