上 下
76 / 96
Office17・最後の限定デート

しおりを挟む
 三輪さんと合流して、さっきの不祥事を何度も謝って、横浜までのドライブを楽しんだ。
 緊張しすぎて上手く喋れたかどうか、会話の内容もあまりよく覚えていない。
 勿体ないけど、心拍数が異常だから。落ち着かせようとする方に意識がいっちゃって、三輪さんの話をウンウン頷いて聞いているだけだったような気がする。

 とりあえず身体を動かそうという事になり、ボウリングをやることになった。

 手続きを済ませて、現在大きなモニターに、三輪庄司と久遠寺和歌子の名前が提示されている。
 ここは男の人からやって貰う事に。三輪さんに一番手を譲り、早速投げて貰った。

「緊張するね」

「大丈夫ですっ! 私も下手ですから。頑張ってください」

 綺麗なフォームで三輪さんはボールを投げた。ガコーンとボウリングのピンが倒れる良い音が響いた。結果は勿論、ストライク。


 さっすが三輪さん!! 私が惚れただけのコトはあるっ!!


 
「すごーいっ! 三輪さん素敵です!!」黄色い声援を上げた。

「ははは。ありがとう。若い頃は、ツレと結構夜までボウリングとかバッティングセンターとか行って、身体動かしてたからなぁ」

「今でも十分若いですよ! 桃香さんとは来られないのですか?」

「うん。来た事無いな」

「じゃあ――・・・・」私は極上の笑みを湛えた。「桃香さんとのデートプランに追加ですね」

「そうだね」

 三輪さんは少し寂しそうに笑った。あら。何かいけなかったかしら。
 桃香さんを置いて、日曜日に部下とデートまがいな事してるから、後ろめたいのかもしれないわね。


 でも、ごめんなさい。
 貴方と過ごす最後の日。今日だけ、三輪さんを独占する事を赦してください。
 
「さあ、和歌ちゃんの番だよ。頑張って投げて」

「はいっ! 久遠寺和歌子、行きます!」

 今日の召し物はスカートだし、おしとやかにしようと思っていたけど、あのボウリングのピンの中央に真吾君の顔が見えたので、今朝の恨みを込め、それにめがけて思い切りボールを投げてしまった。

 ガコーン、といい音がして、全部ピンが倒れた。


「やった! 三輪さんっ、全部倒れました!!」

「凄いじゃないか、和歌ちゃん。イエーイ」


 ストライクを取ったので、三輪さんがとっても喜んでくれて、更にハイタッチまで出来ちゃった!
 素敵! すごーく喜んでくれたし、嬉しい!!
 こればかりは、悪魔に感謝ね。


 それにしても、あのクールで素敵な三輪さんが、イエーイって・・・・――!




 ああっ、限定デート最高!!




 
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

ウブな政略妻は、ケダモノ御曹司の執愛に堕とされる

Adria
恋愛
旧題:紳士だと思っていた初恋の人は私への恋心を拗らせた執着系ドSなケダモノでした ある日、父から持ちかけられた政略結婚の相手は、学生時代からずっと好きだった初恋の人だった。 でも彼は来る縁談の全てを断っている。初恋を実らせたい私は副社長である彼の秘書として働くことを決めた。けれど、何の進展もない日々が過ぎていく。だが、ある日会社に忘れ物をして、それを取りに会社に戻ったことから私たちの関係は急速に変わっていった。 彼を知れば知るほどに、彼が私への恋心を拗らせていることを知って戸惑う反面嬉しさもあり、私への執着を隠さない彼のペースに翻弄されていく……。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

社長室の蜜月

ゆる
恋愛
内容紹介: 若き社長・西園寺蓮の秘書に抜擢された相沢結衣は、突然の異動に戸惑いながらも、彼の完璧主義に応えるため懸命に働く日々を送る。冷徹で近寄りがたい蓮のもとで奮闘する中、結衣は彼の意外な一面や、秘められた孤独を知り、次第に特別な絆を築いていく。 一方で、同期の嫉妬や社内の噂、さらには会社を揺るがす陰謀に巻き込まれる結衣。それでも、蓮との信頼関係を深めながら、二人は困難を乗り越えようとする。 仕事のパートナーから始まる二人の関係は、やがて揺るぎない愛情へと発展していく――。オフィスラブならではの緊張感と温かさ、そして心揺さぶるロマンティックな展開が詰まった、大人の純愛ストーリー。

エリート警察官の溺愛は甘く切ない

日下奈緒
恋愛
親が警察官の紗良は、30歳にもなって独身なんてと親に責められる。 両親の勧めで、警察官とお見合いする事になったのだが、それは跡継ぎを産んで欲しいという、政略結婚で⁉

同級生がCEO―クールな彼は夢見るように愛に溺れたい(らしい)【完結済】

光月海愛(コミカライズ配信中★書籍発売中
恋愛
「二度となつみ以外の女を抱けないと思ったら虚しくて」  なつみは、二年前婚約破棄してから派遣社員として働く三十歳。  女として自信を失ったまま、新しい派遣先の職場見学に。  そこで同じ中学だった神城と再会。  CEOである神城は、地味な自分とは正反対。秀才&冷淡な印象であまり昔から話をしたこともなかった。  それなのに、就くはずだった事務ではなく、神城の秘書に抜擢されてしまう。 ✜✜目標ポイントに達成しましたら、ショートストーリーを追加致します。ぜひお気に入り登録&しおりをお願いします✜✜  

二人の甘い夜は終わらない

藤谷藍
恋愛
*この作品の書籍化がアルファポリス社で現在進んでおります。正式に決定しますと6月13日にこの作品をウェブから引き下げとなりますので、よろしくご了承下さい* 年齢=恋人いない歴28年。多忙な花乃は、昔キッパリ振られているのに、初恋の彼がずっと忘れられない。いまだに彼を想い続けているそんな誕生日の夜、彼に面影がそっくりな男性と出会い、夢心地のまま酔った勢いで幸せな一夜を共に––––、なのに、初めての朝チュンでパニックになり、逃げ出してしまった。甘酸っぱい思い出のファーストラブ。幻の夢のようなセカンドラブ。優しい彼には逢うたびに心を持っていかれる。今も昔も、過剰なほど甘やかされるけど、この歳になって相変わらずな子供扱いも! そして極甘で強引な彼のペースに、花乃はみるみる絡め取られて……⁈ ちょっぴり個性派、花乃の初恋胸キュンラブです。

【完結】新皇帝の後宮に献上された姫は、皇帝の寵愛を望まない

ユユ
恋愛
周辺諸国19国を統べるエテルネル帝国の皇帝が崩御し、若い皇子が即位した2年前から従属国が次々と姫や公女、もしくは美女を献上している。 既に帝国の令嬢数人と従属国から18人が後宮で住んでいる。 未だ献上していなかったプロプル王国では、王女である私が仕方なく献上されることになった。 後宮の余った人気のない部屋に押し込まれ、選択を迫られた。 欲の無い王女と、女達の醜い争いに辟易した新皇帝の噛み合わない新生活が始まった。 * 作り話です * そんなに長くしない予定です

処理中です...