75 / 96
Office17・最後の限定デート
1
しおりを挟む
限定デートの最終日、日曜日がやって来た。
お洒落よし、メイクよし、髪型よし、忘れ物ナシ!
今日は横浜までドライブ行くの。
三輪さんが、車で私のマンションの前まで迎えに来てくれるんだぁー。
鏡の前に立って、三輪さんが私にプレゼントしてくれたピアスを撫でた。
ごめんなさい、桃香さん。
今日で終わりにします。本当に、今日が最後。
もうこれで、キッパリ貴女の旦那様の事は忘れます。
ちょっと、いやかなり、引きずると思いますが。
それでも、長い間報われなかった私の恋に、ようやくピリオドが打てるのよ。
これも運命。明日の月曜日からは、また違う新しい恋に向かってスタートできるかと思う。こんな不毛な恋は、誰も幸せにしないもの。
マンションの前で待っていると気を使うからって、現地到着したら連絡を貰える事になっているから、部屋で待機しているの。
そろそろ、三輪さんから連絡が入る時間ね。
ピルルルル ピルルルル
ソワソワしながら待っていると、握りしめていたスマートフォンが音を立てて鳴った。
三輪さんかと思ったけど、違った。
この着信音は――
「何の用っ?」
ウキウキデートの朝から、なんで悪魔と会話せにゃならんのじゃ!
『おはようございます。今日は既婚者とどちらへ行かれますか?』
「ドコでもいいでしょっ。いちいちトゲのある言い方しないでよ」
『相変わらず冷たいですねぇ。ま、そんなトコも好きですけど』
「好き言うな!」
『ふふっ。ドコへ行くかなんて、まあ、大体察しはつきますけどね。良かったらデートの様子、写真撮って俺に送って下さいよ』
「誰が送るもんですか!」
『和歌子さん、くれぐれも三輪さんと間違いだけは起こさないで下さいね? 起こしたらどうなっても知りませんよ?』
「しないわよっ、バカっ!! 三輪さんもう来るから、切るよっ」
プチ、と通話終了ボタンをタップしてやった。
プルルルル プルルルル
切ったすぐ後、再びスマートフォンが鳴った。
しつこいなぁ。文句言ってやる!
「ちょっと、しつこいわよっ! 朝から一体何なのよっ!?」
『・・・・あ・・・・三輪です。和歌ちゃん、ごめんね。迷惑なら、今日は帰るけど・・・・』
何と電話は三輪さんだった。間違えて大きな声出して迷惑がってしまった事に、血の気が引いた。
怒り心頭で、着信音が違う事に気が付かなかった!
「あ――っ! ち、違うんですっ、ごめんなさい!! あ、あの、そう! 親がっ。親がさっきからうるさく電話かけてきて、しつこかったんです! ごめんなさい。今日、楽しみにしてました! 迷惑なんてとんでもないですっ! あ、す、すぐ降りますっ!」
三輪さんの返事を待たずに、これまたスマートフォンの通話終了ボタンをタップした。
朝から、最悪!!
悪魔めっ。覚えてらっしゃい!!
お洒落よし、メイクよし、髪型よし、忘れ物ナシ!
今日は横浜までドライブ行くの。
三輪さんが、車で私のマンションの前まで迎えに来てくれるんだぁー。
鏡の前に立って、三輪さんが私にプレゼントしてくれたピアスを撫でた。
ごめんなさい、桃香さん。
今日で終わりにします。本当に、今日が最後。
もうこれで、キッパリ貴女の旦那様の事は忘れます。
ちょっと、いやかなり、引きずると思いますが。
それでも、長い間報われなかった私の恋に、ようやくピリオドが打てるのよ。
これも運命。明日の月曜日からは、また違う新しい恋に向かってスタートできるかと思う。こんな不毛な恋は、誰も幸せにしないもの。
マンションの前で待っていると気を使うからって、現地到着したら連絡を貰える事になっているから、部屋で待機しているの。
そろそろ、三輪さんから連絡が入る時間ね。
ピルルルル ピルルルル
ソワソワしながら待っていると、握りしめていたスマートフォンが音を立てて鳴った。
三輪さんかと思ったけど、違った。
この着信音は――
「何の用っ?」
ウキウキデートの朝から、なんで悪魔と会話せにゃならんのじゃ!
『おはようございます。今日は既婚者とどちらへ行かれますか?』
「ドコでもいいでしょっ。いちいちトゲのある言い方しないでよ」
『相変わらず冷たいですねぇ。ま、そんなトコも好きですけど』
「好き言うな!」
『ふふっ。ドコへ行くかなんて、まあ、大体察しはつきますけどね。良かったらデートの様子、写真撮って俺に送って下さいよ』
「誰が送るもんですか!」
『和歌子さん、くれぐれも三輪さんと間違いだけは起こさないで下さいね? 起こしたらどうなっても知りませんよ?』
「しないわよっ、バカっ!! 三輪さんもう来るから、切るよっ」
プチ、と通話終了ボタンをタップしてやった。
プルルルル プルルルル
切ったすぐ後、再びスマートフォンが鳴った。
しつこいなぁ。文句言ってやる!
「ちょっと、しつこいわよっ! 朝から一体何なのよっ!?」
『・・・・あ・・・・三輪です。和歌ちゃん、ごめんね。迷惑なら、今日は帰るけど・・・・』
何と電話は三輪さんだった。間違えて大きな声出して迷惑がってしまった事に、血の気が引いた。
怒り心頭で、着信音が違う事に気が付かなかった!
「あ――っ! ち、違うんですっ、ごめんなさい!! あ、あの、そう! 親がっ。親がさっきからうるさく電話かけてきて、しつこかったんです! ごめんなさい。今日、楽しみにしてました! 迷惑なんてとんでもないですっ! あ、す、すぐ降りますっ!」
三輪さんの返事を待たずに、これまたスマートフォンの通話終了ボタンをタップした。
朝から、最悪!!
悪魔めっ。覚えてらっしゃい!!
0
お気に入りに追加
87
あなたにおすすめの小説
エリート警察官の溺愛は甘く切ない
日下奈緒
恋愛
親が警察官の紗良は、30歳にもなって独身なんてと親に責められる。
両親の勧めで、警察官とお見合いする事になったのだが、それは跡継ぎを産んで欲しいという、政略結婚で⁉
【完結】新皇帝の後宮に献上された姫は、皇帝の寵愛を望まない
ユユ
恋愛
周辺諸国19国を統べるエテルネル帝国の皇帝が崩御し、若い皇子が即位した2年前から従属国が次々と姫や公女、もしくは美女を献上している。
既に帝国の令嬢数人と従属国から18人が後宮で住んでいる。
未だ献上していなかったプロプル王国では、王女である私が仕方なく献上されることになった。
後宮の余った人気のない部屋に押し込まれ、選択を迫られた。
欲の無い王女と、女達の醜い争いに辟易した新皇帝の噛み合わない新生活が始まった。
* 作り話です
* そんなに長くしない予定です
【完結】私が王太子殿下のお茶会に誘われたからって、今更あわてても遅いんだからね
江崎美彩
恋愛
王太子殿下の婚約者候補を探すために開かれていると噂されるお茶会に招待された、伯爵令嬢のミンディ・ハーミング。
幼馴染のブライアンが好きなのに、当のブライアンは「ミンディみたいなじゃじゃ馬がお茶会に出ても恥をかくだけだ」なんて揶揄うばかり。
「私が王太子殿下のお茶会に誘われたからって、今更あわてても遅いんだからね! 王太子殿下に見染められても知らないんだから!」
ミンディはブライアンに告げ、お茶会に向かう……
〜登場人物〜
ミンディ・ハーミング
元気が取り柄の伯爵令嬢。
幼馴染のブライアンに揶揄われてばかりだが、ブライアンが自分にだけ向けるクシャクシャな笑顔が大好き。
ブライアン・ケイリー
ミンディの幼馴染の伯爵家嫡男。
天邪鬼な性格で、ミンディの事を揶揄ってばかりいる。
ベリンダ・ケイリー
ブライアンの年子の妹。
ミンディとブライアンの良き理解者。
王太子殿下
婚約者が決まらない事に対して色々な噂を立てられている。
『小説家になろう』にも投稿しています
【完結】愛くるしい彼女。
たまこ
恋愛
侯爵令嬢のキャロラインは、所謂悪役令嬢のような容姿と性格で、人から敬遠されてばかり。唯一心を許していた幼馴染のロビンとの婚約話が持ち上がり、大喜びしたのも束の間「この話は無かったことに。」とバッサリ断られてしまう。失意の中、第二王子にアプローチを受けるが、何故かいつもロビンが現れて•••。
2023.3.15
HOTランキング35位/24hランキング63位
ありがとうございました!
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
社長室の蜜月
ゆる
恋愛
内容紹介:
若き社長・西園寺蓮の秘書に抜擢された相沢結衣は、突然の異動に戸惑いながらも、彼の完璧主義に応えるため懸命に働く日々を送る。冷徹で近寄りがたい蓮のもとで奮闘する中、結衣は彼の意外な一面や、秘められた孤独を知り、次第に特別な絆を築いていく。
一方で、同期の嫉妬や社内の噂、さらには会社を揺るがす陰謀に巻き込まれる結衣。それでも、蓮との信頼関係を深めながら、二人は困難を乗り越えようとする。
仕事のパートナーから始まる二人の関係は、やがて揺るぎない愛情へと発展していく――。オフィスラブならではの緊張感と温かさ、そして心揺さぶるロマンティックな展開が詰まった、大人の純愛ストーリー。
溺婚
明日葉
恋愛
香月絢佳、37歳、独身。晩婚化が進んでいるとはいえ、さすがにもう、無理かなぁ、と残念には思うが焦る気にもならず。まあ、恋愛体質じゃないし、と。
以前階段落ちから助けてくれたイケメンに、馴染みの店で再会するものの、この状況では向こうの印象がよろしいはずもないしと期待もしなかったのだが。
イケメン、天羽疾矢はどうやら絢佳に惹かれてしまったようで。
「歳も歳だし、とりあえず試してみたら?こわいの?」と、挑発されればつい、売り言葉に買い言葉。
何がどうしてこうなった?
平凡に生きたい、でもま、老後に1人は嫌だなぁ、くらいに構えた恋愛偏差値最底辺の絢佳と、こう見えて仕事人間のイケメン疾矢。振り回しているのは果たしてどっちで、振り回されてるのは、果たしてどっち?
ウブな政略妻は、ケダモノ御曹司の執愛に堕とされる
Adria
恋愛
旧題:紳士だと思っていた初恋の人は私への恋心を拗らせた執着系ドSなケダモノでした
ある日、父から持ちかけられた政略結婚の相手は、学生時代からずっと好きだった初恋の人だった。
でも彼は来る縁談の全てを断っている。初恋を実らせたい私は副社長である彼の秘書として働くことを決めた。けれど、何の進展もない日々が過ぎていく。だが、ある日会社に忘れ物をして、それを取りに会社に戻ったことから私たちの関係は急速に変わっていった。
彼を知れば知るほどに、彼が私への恋心を拗らせていることを知って戸惑う反面嬉しさもあり、私への執着を隠さない彼のペースに翻弄されていく……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる