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Office16・ヤキモチ

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「三輪さん達は、今から回られるんですか?」

「ああ、そうだよ。上山達は?」

「奇遇ですね。俺達も今からです。それじゃ・・・・」

「あのっ、今からだったら一緒に回りませんか? 大勢の方が楽しいしっ。ねっ。三輪さん、いいでしょ?」

 それじゃあ、と言ってこの場を去ろうとするもんだから、真吾君の言葉を遮って、思わず一緒に回ろうとかのたまってしまった。

「ああ、うん。構わないよ。じゃあ、そうしようか」

 何か勢いで言ってしまったけど、真吾君たら一体どういうつもりなのかしら!
 わざわざ仲のいい女性を連れてきて『モテるアピール』でもしてるってコト!?



 ムカツクわ!!
 邪魔してやるっ!!




 
「真澄さん、いかがです? 上司達がそのように言っておりますので、一緒に回ってもいいですか?」

「いいわよ。楽しそうじゃない。そうしましょう」

 真澄さんはイヤな顔をするどころか、逆に私の提案を喜んでいる。

「ありがとうございます。真澄さん、貴女はどんくさいから、はぐれないように俺の腕にちゃんと掴まっていてくださいね」

「もぉー、また子ども扱いするぅー」

 プッと可愛く顔を膨らませて、真澄さんが真吾君に向かって抗議している。
 女子力高いわね。可愛いし。オヤジでガサツな私とは大違いだわ。

「大きな子供じゃないですか」

 真吾君が優しそうな顔を向けた。
 楽しそうにイチャイチャしている。


 なんなのっ!
 邪魔してやるつもりで一緒に回ろうとか言ってしまったけど、何だかモヤモヤムカムカするわ!!

 悪魔のクセに、私をこんな不愉快な気分にさせるなんてっ!
 赦せないっ!


 今度とっちめてやるんだからっ!


 
「三輪さん、行きましょ」

 ぐいっと三輪さんの腕を取って、スタスタ歩き出した。
 三輪さんと腕を組んで真吾君に見せつけてやりたいけど、流石にそれは出来ないからなぁ。
 それよりBプランの下見をしっかりやらなきゃいけないのに、自分からお邪魔虫呼んじゃうなんて、何してんのよ私ったら。本末転倒じゃない。

 今からやっぱり一緒に回るのやめまーすって言えないから、後ろからイチャイチャしながらついてくる二人が気になって仕方なかった。


「見てー、真吾君、すっごくカワイイお魚さんよー」

「はいはい。見ていますよ」

「やだー、こっちもカワイイー。写真撮ろう、写真」

 二人のはしゃぐ声が気になって、気になって。


「三輪さん、いかがです? 桃香さんと一緒に回るプランとして盛り込めそうですか?」


 三輪さんとの会話で何とか誤魔化そうとしたけど、真澄さんの声がイチイチ癇に障るのよ。
 腕まで組んでるし、やっぱりどう考えても彼女かキープよねっ。遊びかもしれないわ。
 彼女かキープみたいな女性がいるなら、どうして私にしつこく付きまとった挙句、あんなヤラシーキスまでしちゃうのよ!
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