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Office14・週末のバー

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 それから、三輪さんが櫻井さんに教えてもらったという秘密のバーに向かった。
 バー『ルタン』。プライベートな密談とか、静かで向いているらしい。

 店内に入る時、もの凄い美男美女とすれ違った。
 女性の方は、漆黒の長い髪を靡かせ、まるで芸能人かモデルみたいに綺麗な女性だった。隣の優しそうな王子様みたいなイケメンに腕を絡ませ、色っぽく甘えていた。


 うわー。スゴイわー。あんな綺麗な女性、間近で見たの初めて。
 私とは大違いだわ。
 櫻井さんが知っていて使っているくらいなら、芸能人とかお金持ちとか、色々その手の人が利用しているのかもしれないわね。


 店内は薄暗い照明で、個々のテーブルがぼんやりと明るく照らされていた。
 成程。密談にはもってこいっていうのが解るわ。雰囲気がなんというか・・・・オトナよね。
 秘密のバーって感じ。

 さっきの美男美女は、カウンターの方にいる。私達は、一番奥のテーブルに座った。
 女性は、後ろ姿も本当に美人。あらぁー、イケメン王子様の方にべったりくっついているわ。私の席から、良く見えるのよね。刺激強いから、あんまり見ないようにしようっと。
 このお店は、三輪さん曰く特にメニューが無い店で、注文したら何でも作ってくれるとのことだったので、早速定番のカクテルを注文した。
 ビール派だけど折角バーに来たんだし、ジントニックで手を打った。カクテルって言っても、カシスオレンジとか甘くて飲めないからね。お酒が甘いとか、私の辞書には無い。

 定番カクテルなら、ソルティードックとかジンライムとかの方がいいんだけど。
 流石に好きな男と肩を並べて、そんなカクテルガブ飲みできないしね。ガブ飲みしない分、量が多いものにした。
 あ、勿論チビチビ飲むからね。当然よ。おしとやかに。おほほ。


 私はどちらかと言えば大衆居酒屋で飲むことが多いし、一人でも飲める焼き鳥屋とかいきつけのお店があるの。
 こんなお洒落なバーには来ないわ。もし来ても、破産するわ。ガブ飲みするから。
スポンサーがいれば別だけど。


 注文したカクテルと、ナッツとチーズの盛り合わせが運ばれてきた。
 三輪さんはブラッディ―・マリーを注文したみたい。ぼんやりと照らされている照明の光が当たって、赤色の液体が妖しく光っている。
 まるで本物の血を飲むかのように。
 
「乾杯しようか」

「はい。それでは」

 ロンググラスをチン、と合わせて乾杯した。カクテルを飲むと、ライムのさっぱりした果汁の味と、炭酸と程よい辛みのあるジンの香りが見事に調和された、飲み口が爽やかな味が口内に広がった。

「美味しい!」

「本当だ。これは美味い。見事なバランスで、ちょっと隠し味もある。ピリッと辛いんだけど、嫌味が無い」

 三輪さんのブラッディ―マリーも美味しいみたい。

「そんなに美味しいんですか?」

「うん。飲んでみる? はい」

 ロンググラスを差し出された。
 ええっ!? それって関節・・・・。
 そんな事しちゃっていいの!?

 断れない雰囲気のような気もしたので、あまり気にしないような素振りで――実際心臓バクバクなんだけど――グラスを受け取り、一口飲んだ。

「美味しい!」

 さっきのジントニックと違って、フレッシュなトマトジュースに、ウォッカのキリッとした辛口の味と、何かのスパイスが混ざっている。辛みのある飲み口なのに、スッキリしていて、美味しい不思議なトマトジュースを飲んでいるような感覚に陥った。
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