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Office12・ミーティング

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 美味しいパスタを食べ、帰社した。
 今、ナイトワンプロジェクトの結果報告を行い、報告書を作成中。
 どんどん形になって来たわね。新しい商品の企画や開発は、本当に楽しいわ。

 そうそう。櫻井さんからお願いされた、別のビジネスプロジェクトのサプリや、医薬品の開発案を出さなきゃいけないんだわ。
 コンセプトを決めたホテルで利用する、ナイトワンみたいな情熱的サプリの開発と、格安で質のいい医薬品を作ってくれって頼まれたの。
 情熱的なサプリは、ラグジュアリーホテルやブティックホテルに置くんだって。そのホテルでは、男女がもっと燃え上がる、普段には無いエクスタシーを感じられるような、ラブサプリを提供するんだとか。

 更に医薬品の方は、十分な医療が受けられない海外の貧困に苦しむ子供達に、無償提供するんだって!
 そういえばワクチンの開発も頼まれたんだった。


 スゴくない?
 カッコよすぎるーっ!

 勿論お任せ下さい、って速攻引き受けた。


 私は企画開発オンリーで医療については専門外だから、別の部署に予算と希望の資料を作って提案するだけになるけどね。

 でも、ホテルに置くというラブサプリは開発に燃えるわねー。
 すんごいの作ろうっと!
 そんなサプリ、できれば三輪さんと二人で使ってみたいっ!

 ああ、乙女のエロ妄想は膨らむわー。

 ウキウキで出来る仕事なんて、最高ねっ!
 妄想だけなら、桃香さん――三輪さんの奥様――に迷惑をかける事にもならないし、別に構わないわよね。

 ちょっと考えてみよーっと。


――和歌ちゃん。


 三輪さんの少し低くて甘い声で私の名前を呼ばれたら、妄想なのにドキドキする。
 想像の二人は距離が近くて、熱い吐息がかかり、更にドキドキしてしまう。


――三輪さん。


――庄司って呼んでくれ。


――しょっ・・・・しょう・・・・じ・・・・さん。


 ダメー!!
 名前呼び捨てなんて、妄想でもハードル高すぎるっっ!!


 落ち着けっ。
 落ち着くのよ、和歌子っ!



 今はまだ仕事中――・・・・!



「わーかこっ」妄想していると、名前を呼ばれて肩を叩かれた。

「ひゃあっ、ダメですっ、しょうじさ・・・・じゃなくて、アヤネじゃない! 何の用よっ」

 目の前に立っていたのは、同僚であり悪友の江藤綾音だった。
 
「んー、ナニを考えてたのかなぁ?」

 思い切り顔を覗き込まれて、ニヤニヤ笑われた。
 うるさいっ。美人の顔を思い切り近づけるな。男だったら欲情しちゃうでしょーが!

「丁度良かったわ」話をすり替えることにした。「アヤネにも頼もうと思っていた事があるの。最近ランチ行けてないから、色々報告出来なかったし、積もる話は山盛りにあるわ。あ、打ち合わせしよ。今、時間大丈夫?」

「こっちも相談があって来たんだ。オーケー。場所移動しよっか」

「うん。じゃ、ミーティングルーム使おう。言伝してくる」

 三輪さんがいないので、実質的にこの部署での責任者が不在となっているので、真吾君にアヤネとミーティングルームに行くことを伝えて、早速二人で移動した。



「で?」



 オフィス内の開放的なガラス張りのミーティングルームに入り、鮮やかなブルーの椅子に腰かけた途端、開口一発アヤネが言った。

「で? とは?」

「とぼけなさんな。三輪さんのデート進展と、真吾君との進展は? 最近真吾君とやたらつるんでるし、付き合っちゃうの?」

「つ・き・あ・い・ませーん!」

 悪魔とお付き合いは出来かねますっっ。
 っていうか、今、仕事中っ。
 
「おーおー、ムキになっちゃって。アヤシーなぁ」

「あやしくないわよ。何も」

「ふうん。顔、赤いけど?」

「なっ・・・・赤くないわよっ。からかわないで!」

「真吾君に聞いたら教えてくれるかなぁ?」

「絶対止めてっっ」


 はーい、すみませーん。ここにも悪魔が一匹いますー。
 イケメン・イケジョは悪魔率高いのかっ。


「私に報告しないつもり?」


 はーい、すみませーん。真吾女版がここにいますー。


「アヤネ、それよりミーティング・・・・」

「そんなの後回しよっ」

 後回しなんですか。そうですか。
 いや、今仕事中ですが?

「だから、何があったのっ。さっさと答える!」

 アヤネの目があまりにも真剣で怖いので、しぶしぶ答えた。「・・・・キス、された」

「えっ、ドッチに!?」

 美人が目の前に迫ってきた。顔近いって。
 ていうか、ドッチって・・・・。

「・・・・真吾君」

「へえーっ、アイツ、なかなかやるわねー!」

 感心するな。
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