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Office04・口止め料
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しおりを挟む「ナニって、三輪さん除けです。火遊びされたら困るし、これで三輪さんに迫られても断れるでしょう。ぜひ、俺に付けられたって言ってやってください」笑顔で言われた。
「信じらんないっ! バカっ!!」
突き飛ばそうと思って腕を伸ばしたら、逆に掴まれた。
「本当に嫌なら、俺をさっさと振り払って行ってください。できますか? 貴女優しいから、俺に悪いと思って、そんなコトできないでしょう? 三輪さんに迫られたりでもしたら、断れなくて貴女が傷つくから、キスマークはただの予防ですよ。俺は、貴女の優しくて可愛いところが、好きなんです。三輪さんに遊ばれるところや、傷つけられて泣いてるところを、黙って見ていられないんです」
再び顔が近づいた。「悪い男の所になんか、行かせない」
切ない表情で、私を見つめる真吾君。眼鏡の奥の瞳が、私を想って揺れている。
ダメよ、和歌子!
こんな子犬みたいな可愛い瞳で訴えられても、この男は傍若無人な悪霊なのよっ。
思い出しなさい。数々の非礼を!
この男は、勝手に私に付きまとってきて、勝手に好きだとぬかしやがって、勝手にキスして、しかもさっき、勝手にキスマークまでつけて・・・・ロクな男じゃないっ!
だけど・・・・
ダメっ。そんな瞳で見つめちゃイヤーっ!
動けない。悪魔のクセに、そんな悲し気な・・・・子犬みたいな瞳・・・・ズルいわよっっ。
絶対計算してる。コイツ、そういう男だもん。
解ってるのに・・・・解ってるのに――っ!!
「和歌子さん、好きです」
頬に手が当てられ、優しい瞳で見つめられ、真吾君との距離が近づいた。
真吾君が近づくと、それに合わせてジョーマローンのエキゾチックな香りが、鼻腔をくすぐる。
目が反らせなくて、動けなくて、ただ、ドキドキした。
吐息がかかる距離まで顔が近づいて、そっと、唇が触れた。
さっきみたいな強引なキスじゃなくて、優しく触れるキス。
私はバカみたいに息をするのも忘れてしまって、固まって動けなくなってしまった。更に苦しくなったから唇を開いたら、そのままするっと柔らかい舌が侵入してきた。
「ん、んんっ・・・・!」
拒むこともできなくて、ただ、呆然と真吾君を受け入れてしまって、何やってるの、私――
「はっ、ん、んうっ・・・・あっ」
柔らかい舌を絡ませられて、ゾクゾクした。
吐息に熱が帯びてきて、頬が紅潮する。
真吾君の肌の匂いと混ざった、ジョーマローンのエキゾチックな香りが、思考を奪っていく。
「和歌子さん・・・・はあっ・・・・行かないで・・・・っ」
「・・・・真、吾くん、もうっ・・・・やめ・・・・はあっ・・・・んっ」
「やめ、ません。はぁっ・・・・んっ、行かないって、言うまで・・・・っ、はっ・・・・」
「――っ」
また、侵入された。
壁に押し付けられ、髪と髪の間に指が差し込まれて、逃げられないように絡め取られて、真吾君が熱いキスを何度も繰り返してくる。
「わかったっ。はあっ・・・・行かない・・・・っ! 行か・・・・ないから、もう止めてっ・・・・」
何も考えられなくて、思わず、行かないって口走っちゃった。
これ以上、こんなキス繰り返されたら、おかしくなっちゃう!
私の言葉を聞いて、真吾君は唇を離した。真っ赤な顔のまま真吾君を見つめると、彼も今の行為で頬が紅潮し、吐きだす息が熱を帯びた甘いものになっていて、鋭い男の目線で私を見つめ返してきた。
ずっとカワイイ後輩だと思っていたのに、コイツ、とんでもない男だったのね――
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