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Office01・片思いはつらいよ

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 それからというもの、残業を入れられたら困るので、目イッパイ仕事、頑張った。
 今日、飲みに行く約束をしていたアヤネには、丁重に謝り、キャンセルさせて貰った。その代わりとして、明日のランチを奢る+本日の結果を包み隠さず必ず報告することを条件に付けられた。

 まあ、この喜びを独り占めするのは勿体無いもんね!

 仕事を終えた私は、午後五時の終了チャイムと共にタイムカードを押し、用事があるので、と急いで駅前の美容院に駆け込んだ。あまり気合入れすぎるのも、と思ったので、セミロングの髪を軽い巻髪にしてもらう程度のゆるカワアレンジにしてもらった。
 バリバリにセットして行ったら、コイツ気合入れすぎってのが、バレちゃうもんね!

 ていうか、既に気合十分だから、バレてるかも?
 その時はその時よね!!
 それより三輪さんの相談ってナニかな?


――相談っていうのは、実は君の事なんだ。


 とかなったりしたら、どうしよう!?

  
 そんな、いけません。三輪さんは奥様がいらっしゃるのに・・・・。


――でも、一生懸命頑張る君の事が前から気になっていたんだ。


 三輪さん、嬉しい・・・・。


――久遠時君。


 三輪さん、こんな時くらい和歌子って呼んでください。


――和歌子・・・・・・




「久遠時さん、セット終わりましたよ!」



 いい気分で妄想の三輪さんと急接近中だった私を、現実世界に引き戻す美容師さんの声で我に返った。
 そうだ。今は美容院で髪の毛をセットしてもらっているトコだった!
 慌ててどうも有難うと笑顔を向け、鏡を見ると、注文どおり綺麗にセットされた髪型をした私が写っていた。
 セミロングの髪をふんわりとした巻き髪にセットが終ったから、後はメイクを直してお茶して待ってれば大丈夫かなっ!?


 それより三輪さんて、どんな服が好みなのかな?


 今日駅前にダッシュして買いに行った服は、ちょっとラメの入った姫系のシックな黒のワンピース。
 更に履いてた靴、このワンピースに合わなくて変だったから、ラインストーンがヒールのトコに入った夏の新作・オシャレサンダルまで買っちゃったから、今月は大分節約しないと。
 そんな風に選んだ服だから、三輪さんの好みだったら嬉しいな。

 ・・・・でも、好きな男にデート誘われたら、女は気合入れちゃうのよねっ。
 きっと、そーゆー生き物なのよ、オンナっていうのは!

 それより相談って何だろう?


 気になるっっ!!


 そして、私は待ち合わせのホテルのバーカウンターで、三輪さんが来るまでずっと、時計と手鏡の両方と睨めっこするのだった。

 
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