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第三話・罠になった女

side・秋山 玲子・10

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「んっ・・・・んんっ・・・・はっ、あっ、そうたっ・・・・んうっ・・・・っぁ」

 激しく唇を求められ、深く口づけされた。壮太の舌が口内に入って来て、私の舌を絡め取る。
 これだけで、もの凄く感じてしまう。
 気持ちよくて、トロトロに溶けてしまいそうだ。

 乱れたワンピースを脱がされ、露になった肌に口づけられた。熱い唇が押しあてられた瞬間、びくん、と敏感に身体が反応する。まるで、初めて好きな男に抱かれる、少女のような反応だ。


 ああ。そうなんだ。私の心は今、初めて好きな男に抱かれる、十四歳の時の、ただの少女に戻っているのね。


 だから、あの時の事、想い出したのね。


 貴方に、恋に堕ちた瞬間の事。

 忘れられない、大切な、あの時の事。


 手を汚してまでも欲しいと思った男が、初めて私を愛撫して、愛してくれようとしているなんて――。


 考えるだけで嬉しくて、幸せで、涙が溢れて、止まらなかった。

 こんなに泣けてしまう位、幸せだと思うセックスは、生まれて初めてだった。

 好きな男に抱かれるって、こんなに嬉しくて、切なくて、幸せなんだ。



 初めて、知った。



 
「・・・・また泣いてる」壮太に苦笑された。

「壮太・・・・ありがとう・・・・」

「何で礼なんて言うんだ。礼を言うのはこっちの方だろ。それより、もう黙れって言っただろ? いつまで喋ってんだ。早くお前を抱きたいんだけど?」

「うん・・・・」

 愛撫が開始された。わざと音を立てながら、あちこちに口づけして、唾液をたっぷり含ませた柔らかな舌を這わせて、少し意地悪な顔で、壮太が私の反応を見てくる。
 全身が性感帯のようになっていて、少しの刺激でも、私の身体には快感が走って行く。

「っあ、そうたぁっ・・・・あん、はっ、んっあぁっ・・・・」

 壮太の細くて長い指が、私の肌を滑っていく。
 少しの刺激だけで、甘い声が漏れた。
 貴方に触れられて、私にとって、これ以上に幸せな事って、無い。
 心が震えて、貴方が愛しくて、愛しくて堪らない。


 だから、貴方が私を触ってくれているという事実が本当に嬉しくて、嬉しくて、どうしても涙が止まらないの。


「はあっ、あっ、壮太っ。んんっ・・・・あ、ぁんっっ」

「玲子」

 耳元で囁かれて、ゾクゾクした。
 愛撫だけで、こんなにも感じてしまうなんて。本当にこんなの初めてだった。
 

「もっと乱れて、俺に見せてくれよ。キレイなお前の全て」


 耳たぶを甘噛みされた。全身を撫で回されて、更に耳の中まで舐められた。
 優しいと思ったら、激しく愛撫され、でもまた優しく、波のような熱い愛撫で、私を翻弄する壮太にしがみついた。
 更に、熱く弾けそうな秘所を優しく擦られると、一際ゾクゾクと快感が押し寄せて来る。


「壮太っ・・・・あんっ、気持ちいいっ、あぁっ、もっと・・・・もっと触ってっっ、あっ、はぁっ、んっ・・・・っあ、ああぁ――っ!!」




 もっともっと乱れて、貴方に溺れたい。


 そのまま溺れて、果ててしまいたい。

 
 壮太。私の愛しい男。


「玲子」


 もっと、名前を呼んで。


「壮太っ、ああっ、そうたぁっ、もっと・・・・奥まで、っ、はぁっ、ちょうだいっ――・・・・」


 愛しているわ、壮太。


「玲子・・・・」


 最後に貴方にこんなにも愛されて、私は幸せよ。


 暗い闇に飲み込まれて、壊れそうだった私を救ってくれて、本当にありがとう。


 夢のようなひと時を、私に与えてくれてありがとう。


 黒い手に汚された私を、キレイだって、こんなに愛して、抱いてくれて、本当に、本当にありがとう。


 また、涙が零れ落ちた。


 壮太、壮太。


 愛しているわ。



 ようやく手に入れた由布子と、幸せになってね。



 ありがとう、壮太。




――さようなら




 
 
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