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第二話・壊れた男
Side・松田 亜貴・10
しおりを挟む「どうして君を抱けなかったのか、教えてあげるよ、由布ちゃん。・・・・僕はね、君を抱きたくても、抱けない身体だったんだ。普通のセックスができない。普通の男じゃないんだ。だから、玲子と関係を持った。僕みたいな狂った人間を受け止めてくれる玩具だよ、玲子は。好きでも何でもない。ただの、欲を満たすだけの関係だ。僕は――・・・・」
由布ちゃんの首に手をかけた。「苦しい、と苦痛に顔を歪ませる女性を見ていると、美しいと思って欲情するんだ」
由布ちゃんの首を絞めながら、何故か、涙が溢れた。
僕はさっきの衝撃で、きっとどこかが壊れてしまったんだ。
「自分でも、おかしいと思うよ。狂ってる。僕はね・・・・こんなおぞましい人間なんだ。女性が苦しむ姿を見なきゃ、興奮しない。普通じゃないんだ。異常な性癖がある。でもね、由布ちゃん・・・・それでも僕は、ずっと、君に手をかける事だけはしたくないって、思っていたんだ。もし本当にそんな日が来たら、僕はきっと君を、殺してしまうと思ったから。だから、君を殺したりしないよう、玩具で我慢しただけの事だ。それが玲子だよ。壊したい程に愛しているのは、由布ちゃん、中学の時からただ一人、君だけなんだよ。だから、由布ちゃんにだけは、僕のこんな姿、知られたくなかった――・・・・」
手の力を更に強めると、由布ちゃんの顔がもっと歪んだ。
涙が後から後から溢れ、零れ落ちて、そんな由布ちゃんの頬を濡らした。
愛しい女性の最後がどんな姿なのか、あれだけ見たいと思っていた筈なのに、溢れる涙で霞んでしまって、もう何も見えなくなりそうだ。
その時、何故か壮の事が頭に浮かんだ。
由布ちゃんがこの世から居なくなってしまったら、壮はさぞかし苦痛で堪らなくなるだろう。
もしかしたら、発狂して勝手に野垂れ死にするかもしれないな。
僕はすぐに、由布ちゃんの後を追うからな。
由布ちゃんの居ないこの世に、何の未練も無い。死ぬことも怖くない。
だから、お前の最後をこの目で見届けることができなくて、心から残念に思う。
けれど、お前が由布ちゃんを失って、発狂する姿を想像するだけで、僕は満足だ。
十何年もずっと、ただひたすらに、一途に思って愛し続けた女が、自ら仕掛けた罠に嵌って、永遠に失われるんだ。
壮。もうお前を手にかけなくても、十分すぎる程これからの人生、お前を苦しめてやることができるんだと思うと、嬉しくて仕方ない。
最高の置き土産を、お前に残すことが出来たんだ。残りの長い人生、由布ちゃんを自分のせいで失くした罪を、一生背負っていけ。
さよなら、由布ちゃん、壮。
――僕の、勝ちだ!
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