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第二話・壊れた男
Side・松田 亜貴・4
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家に帰ると由布ちゃんは同窓会からもう既に帰って来ていて、シャワーを浴びていた。
やっぱりそんなに遅くならなかったんだ。僕の思った通りだ。
今日は何故か由布ちゃんにどうしても逢いたくて、僕はリビングのソファーに座って彼女が風呂から上がって来るのを待った。
暫くすると由布ちゃんが風呂から上がってきた。ピンクのパジャマに紅潮した肌がマッチしていて、更にそれが何故か凄くギラついていて、どういう訳か僕の心を刺激した。
彼女の纏っている雰囲気が、何時もと違うからだろうか。
「あっ、亜貴くん・・・・お帰りなさい。亜貴くんも出かけてたの? あっ、私の方もただいま。さっき帰って来たの。遅くなってごめんね。同窓会が楽しくて、つい話し込んじゃった」
嬉しそうに笑う君を見てどこか感じが違うと思ったのは、多分、久々にこの家を出て、羽を伸ばしたからだろうな。何時ものちょっと触れたら崩れてしまうような緊張感が無い。
僕はアレが好きなんだけど、まあ、何時も張りつめてばかりじゃ、すぐ壊れてしまうから。
たまには、いいよ。
僕は好きにしていいって、優しい夫の僕は君の行動には文句の一つもつけずに許可しているから。
せいぜい僕の手中範囲で、羽を伸ばせばいい。
「うん、ちょっと飲みに行ってた。僕も今帰ってきたところ。由布ちゃんに逢いたくて、待っていたんだ。今日、日曜日なのに、デートできなかっただろう? だから、何か少し、二人で一緒に映画でも見ない?」
別に映画を見たいわけじゃない。でも、どうしても由布ちゃんを僕の隣に置いておきたくなった。
縛り付けておかないと、何故かいけないような気がした。
「あ・・・・折角だけど、今日はやめとく。ごめんね、お喋りでちょっと疲れちゃって。もう寝るわ」
由布ちゃんがこんな事言うなんて、珍しいな。
どんなにしんどくても、僕に嫌われちゃいけないって、大抵いつも僕に合わせてくれるのに。
ますます縛り付けておかないといけない気がしたけど、そんな事をしてしまったら、もう二度とこの生活はできないだろう。
仕方がないから、我慢することにした。
「今日ね、みーなとか、同級生の仲良かった友達にいっぱい会って、いっぱいお喋りしたの。今度女子会することになったから、また、出かけてもいい?」
「勿論、いいよ」僕は何時もの優しい夫の笑顔を浮かべて、了承した。
「ありがとう。じゃあ、おやすみなさい」
由布ちゃんはそのまま僕を残してリビングを出て行った。
外の空気を吸って、多くの刺激があって、ちょっとは僕の毒が解けたのか。
まあ、そんなの一時的なものだ。すぐまた僕を想って泣くようになるさ。
ふと視線を壁にやると、白い壁を移動している蜘蛛を見つけた。
立ち上がって傍まで移動して、その蜘蛛を指でつまみ上げた。
捕らえられた小さな蜘蛛は、僕の手の中でもがき、脚を必死に動かしている。
僕は一本ずつ蜘蛛の脚をむしった。
何本目の脚をむしったら、絶命するんだろう?
そんな事を考えながら、一本ずつ丁寧に脚をむしった。
やっぱりそんなに遅くならなかったんだ。僕の思った通りだ。
今日は何故か由布ちゃんにどうしても逢いたくて、僕はリビングのソファーに座って彼女が風呂から上がって来るのを待った。
暫くすると由布ちゃんが風呂から上がってきた。ピンクのパジャマに紅潮した肌がマッチしていて、更にそれが何故か凄くギラついていて、どういう訳か僕の心を刺激した。
彼女の纏っている雰囲気が、何時もと違うからだろうか。
「あっ、亜貴くん・・・・お帰りなさい。亜貴くんも出かけてたの? あっ、私の方もただいま。さっき帰って来たの。遅くなってごめんね。同窓会が楽しくて、つい話し込んじゃった」
嬉しそうに笑う君を見てどこか感じが違うと思ったのは、多分、久々にこの家を出て、羽を伸ばしたからだろうな。何時ものちょっと触れたら崩れてしまうような緊張感が無い。
僕はアレが好きなんだけど、まあ、何時も張りつめてばかりじゃ、すぐ壊れてしまうから。
たまには、いいよ。
僕は好きにしていいって、優しい夫の僕は君の行動には文句の一つもつけずに許可しているから。
せいぜい僕の手中範囲で、羽を伸ばせばいい。
「うん、ちょっと飲みに行ってた。僕も今帰ってきたところ。由布ちゃんに逢いたくて、待っていたんだ。今日、日曜日なのに、デートできなかっただろう? だから、何か少し、二人で一緒に映画でも見ない?」
別に映画を見たいわけじゃない。でも、どうしても由布ちゃんを僕の隣に置いておきたくなった。
縛り付けておかないと、何故かいけないような気がした。
「あ・・・・折角だけど、今日はやめとく。ごめんね、お喋りでちょっと疲れちゃって。もう寝るわ」
由布ちゃんがこんな事言うなんて、珍しいな。
どんなにしんどくても、僕に嫌われちゃいけないって、大抵いつも僕に合わせてくれるのに。
ますます縛り付けておかないといけない気がしたけど、そんな事をしてしまったら、もう二度とこの生活はできないだろう。
仕方がないから、我慢することにした。
「今日ね、みーなとか、同級生の仲良かった友達にいっぱい会って、いっぱいお喋りしたの。今度女子会することになったから、また、出かけてもいい?」
「勿論、いいよ」僕は何時もの優しい夫の笑顔を浮かべて、了承した。
「ありがとう。じゃあ、おやすみなさい」
由布ちゃんはそのまま僕を残してリビングを出て行った。
外の空気を吸って、多くの刺激があって、ちょっとは僕の毒が解けたのか。
まあ、そんなの一時的なものだ。すぐまた僕を想って泣くようになるさ。
ふと視線を壁にやると、白い壁を移動している蜘蛛を見つけた。
立ち上がって傍まで移動して、その蜘蛛を指でつまみ上げた。
捕らえられた小さな蜘蛛は、僕の手の中でもがき、脚を必死に動かしている。
僕は一本ずつ蜘蛛の脚をむしった。
何本目の脚をむしったら、絶命するんだろう?
そんな事を考えながら、一本ずつ丁寧に脚をむしった。
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