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第16話 ~海里くんと卓くん~
Side・新庄海里/その7
しおりを挟む「話だったら今聞くけど?」
「いや。ここじゃちょっと。裏に来てくれ」
出た!
裏呼び出し!!
ぎったぎたのめっためたか? 返り討ちにしてくれるわ!
丁度良かった。私もお前を呼び出そうと目論んでいた所だ。手間が省けた!
てなわけで、ホールの外へ出て裏手に回る。月明りしかないが、とても明るい。静かで風も心地よい。
「俺はまどろっこしいのが嫌いだから、単刀直入に聞く。海里、政海の事をどう思っているんだ?」
「は!?」
「政海の保護者気取りだけど、実のところどうなんだ?」
「何故・・・・お前に答える必要がある?」
「聞きたいから」
・・・・やはり琴里から政海に鞍替えたのは、間違いない。
卓は本気で、政海を狙いにかかって来た!
政海は中身男だとも知らないで!
バラしてやろうか、あぁ?
卓の超絶自信満々な態度が、私の怒りを刺激した。
よーし。そっちがその気なら、こっちだって考えがあるぞ!
返り討ちにしてやる!!
「わかった。いいだろう。裏に行こう。私も卓と話がしたかったんだ」
「そうこなくっちゃ!」
卓は鼻歌でも歌い出しそうな陽気な雰囲気で、私は戦闘能力マックスに高まった状態で建物の裏へ行った。相変わらず月明かりしかない。柔らかな月の光が建物に当たっていて、裏はその陰になっている。
「私に話ってなんだ」
いっちょ、やるか!
「おー。話が早いな。海里お前、政海の事どう思っているんだ? 率直に聞かせてくれ」
「何故卓にそんなことを答える必要がある?」
「さっきも言ったけど、聞きたいんだ。それによってこっちの出方が変わるからさ」
「何が変わるんだ?」
「こっちのは・な・し。海里には関係ないって」
むっかー!
なんか、余裕綽々なのが腹立つ!!
「関係ないなら聞かないでくれるか。用事はそれだけか? それなら聞くが、卓こそ政海の事どう思っているんだ? 答えてくれ」
「ん? なに? 気になっちゃうワケ?」
「そ、そりゃあ・・・・気になる、けど」
「んんー? なんで気になっちゃうワケ?」
卓の挑発的というか、おちょくり態度が私の怒りを誘発する。
「政海が大切だから気になる。それではいけないか?」
「んんんー。大切、ねえ。ふうーん。どのくらい?」
「何故そこまで卓に答えなきゃならないのだ」
「気になるんだよ。俺も政海を大事に思っているから、さ」
なっ・・・・。宣戦布告のつもりか!
「私だって卓に負けない。いや、誰にも負けないくらい政海を大切に思っている!」
「へえええー。そう」
何故かニヤニヤされた。キモい奴だな!
一体どういうつもりなんだ、コラ。
思わず卓を睨みつけた。
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