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第15話 ~政海ちゃんと梅香ちゃん~

Side・斎賀政海/その9

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「美人の梅香ちゃんでも、そんな風に悩むんだね。素直な気持ち、話して来たらいいと思うよ。腹立つ、って。琉斗君と、きっとうまく行くよ」

「やっぱいい子だ、政海」

 更にぎゅっと抱きしめられた。
 友情の抱擁だから、僕が男だって解らなかったら、カウントにならないよね?
 中身が男であることが、ちょっと申し訳なくなった。


「よし。僕が文句言ってくる」


 とりあえず問題解決しよう。梅香ちゃんは、僕の大事な友達だ。その友達を泣かせたり苦しめるヤツは、赦さない!

「えっ、政海、止めてよ。まだ好きかどうかわかんないし、あんなヤツ!」

「もう好きになってるよ。顔がそう言ってる」

 真っ赤な顔している梅香ちゃんは、琉斗君に恋する女の子の顔だ。
 よし。このまま琉斗君と梅香ちゃんがくっつけば、僕も色々やりやすい。僕の計画のためにも、二人はくっつくべきだ。

「や、政海。ダメだって。心の準備が」

「向こうに言わせて、オーケーって言うだけでいいと思うよ。さ、行こう。善は急げ」

 僕は怪力を発揮し、梅香ちゃんをぐいぐい引っ張って、口笛を吹きながら洗いものをしている琉斗君の前に連れて行った。
 
「琉斗君、話があるんだけど」

 僕は琉斗君の肩を叩き、ジロリと睨みつけた。「梅香ちゃんの事、どう思っているの?」

「え。なに、突然。ん? 梅香も一緒?」

「梅香ちゃんに対する気持ちが、気まぐれだったり遊びだったら赦さないからね。どうなの、答えて!」

 僕は琉斗君に詰め寄った。「僕の大事な梅香ちゃんを泣かせたりしたら、絶対に赦さないから!」

「なになに。俺、梅香の事好きになったって前から言ってるじゃん。相手にしてもらえないけどさ、俺、梅香の事は本気だよ。遊びじゃない」

「でも。僕にさっき『俺に惚れるなよ』とか言うし。梅香ちゃんが怒っているんだ」

 僕の勢いが止まらないものだから、肝心の梅香ちゃんは口を挟めず、黙ったまま赤い顔をして俯いている。

「えー。それ、ジョークなんだけど。本気にされても困るなぁー。最初は政海狙いだったけどさ、言ったじゃん。俺、遊園地に行ってから梅香の事いいなーって思ってるって」

「紛らわしい事しないでよ。梅香ちゃんが誤解して、嫌な思いしたんだよ!」

「梅香が何で嫌な思い・・・・え、うそっ。マジで!? なになになになに、政海にちょっかいかけてるって思っちゃった? 勘違いしちゃった!?」

 勘のいい琉斗君は、状況を把握して梅香ちゃんに詰め寄った。
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