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第14話 ~海里くんと美羽先生~

Side・新庄海里/その5

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 それから暫く。料理教室に折角来てくれたのに、見苦しい所を見せて申し訳ない、と美人の桜井美羽先生に謝られた。何でも彼女は、さっきのおーちゃんのお嫁さんだとか・・・・!
 驚いてしまった。あんな大人げない男がいるもんなんだな。でも、ちゃんと結婚出来るんだ。ほほおー、という感想だった。
 まあでも、恭先生も大人げなかったし、成人した大人はみんな、あんな風になるのかもしれない。私はならないでおこう。気を付けなければ。

 施設の方に案内して貰い、キッチンに入った。広い調理台の上に、既に用意してくれている材料、まな板、包丁が並べられていた。

「今日、予定していた方が急遽来られなくなったため、参加者はお二人、それから施設内の子供達と一緒に調理をして貰おうと思います。私が講師の櫻井美羽です。よろしくお願いします」

 パチパチと拍手をするところから、スタートになった。
 どうやら、参加者の穴埋め的におーちゃんと恭先生も参加するらしい。私達と一緒にエプロンを付けて、生徒になっている。マジか。喧嘩にならないか心配になった。

 
「洗い場がひとつしかないので、材料は既に子供達が手伝ってくれて、野菜は洗ってあります。実際に買い物をして調理する際、野菜はよく洗って泥を落として下さいね」

 丁寧な説明に、私は持参したメモを取った。野菜は洗ってから調理する――と。

「次に、野菜の皮を剥きます。皮を剥く野菜は、ジャガイモと人参です。銀色のザルに入れてある方の野菜です。他の夏野菜である、なすびの皮は剥きません。間違えないように注意して下さい」

 次は、皮を剥く、と。人参とジャガイモだな。皮を剥くときに利用するのは、ピーラーや皮剥き専用の手袋等、皮が剥けるものなら何でも良いらしい。とにかく、下準備は色々と大変だ。
 カレーなんて材料切って、鍋に放り込んで煮込むだけだと思っていた。遠い昔にやった、全く興味が湧かなかった調理実習なんかすっかり忘れているし、全部イチから覚えなきゃならない。イケメンも、料理ができて当たり前の時代になってしまったのだ。

 私はただでさえ身体が女というハンデがあるのだから、そんじょそこらのイケメンに勝つには、まず手に職では無いが、色々出来るようにしておいた方が有利だと思う。
 本気で一人になった時にも、料理ができて困る事はないだろう。

 いや、一人になる時のためではなく、政海に惚れて貰おうという目的があるのだ。
 手際よくカッコイイ所を見せて、政海に『海里ちゃんカッコイイ』って思わせたい!
 できれば『ちゃん』は卒業したいところだが。まあ、まだ無理だろうな。
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