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第13話 ~政海ちゃんと琉斗君~
Side・斎賀政海/その8
しおりを挟む「あぁ? 琉斗が梅香を好きぃ?」
帰宅後、商店街で買ってきた総菜にプラス僕が野菜炒めを作り、炊いたご飯と一緒に出した。
海里ちゃんと合掌して食べ始めてすぐ、今日の出来事を海里ちゃんに報告した。
「へえー。これで政海が狙われなくてすむんだな。よかった」
海里ちゃんは心底安心したように、僕を優しい眼差しで見つめてくれた。
おぉう。その優しい海里ちゃんの顔を見て、勘違いしそうになる!
海里ちゃんが心底安心している→ライバルが減った→じっくり僕を攻略できる
みたいな方程式を考えちゃう!
そんなわけない。そんなわけない。
こっちが正解。
海里ちゃんが心底安心している→政海にちょっかいかける男が減って私の気苦労も減る→はー、やれやれ。政海と一緒だと気苦労が絶えん。
ううっ。何時も迷惑かけてばかりの僕。情けない。
「なに暗い顔してんだよ。もしかして政海・・・・琉斗に追いかけまわされなくて残念とか思ってるんじゃ――」
「思っている訳ないよ!!」
海里ちゃんの言葉をブッた切り、怒った顔を見せた。そんな誤解しないで欲しい!!
「あ、そっか。だよなー」
あはは、と海里ちゃんが笑った。そして誤魔化すように話を逸らせた。「あ、この野菜炒め美味い。政海、まーた料理の腕上げた?」
「ホント? 美味しい? 良かったー」
現金な僕は、その言葉に思わず笑顔を見せた。
というのも、GWに一日、近所の施設で開催されたお料理体験教室に行ってきたんだ。前から商店街に貼ってあるチラシが気になっていたので、ちょっと覗いてきた。無料で体験出来て、しかも先生はとても優しい女性だった。確か名前は、櫻井美羽(さくらいみう)先生。
僕は一度、彼女を見かけた事がある。商店街でブリを大量購入していた女性だと、その場ですぐに気が付いた。
美羽先生は料理が本当に上手で、その日、肉じゃがの作り方を教えてくれたんだ。
早速帰って海里ちゃんに披露したら、美味しいって喜んでくれて、全部食べてくれた!
今は色々、練習中。また今度、施設でお料理教室があるから、行ってみようかと思っている。
「私も料理やってみようかな」
「えっ? 海里ちゃんが?」
突然の海里ちゃんの発言に、僕は驚きだ。
「政海にばっかり食事作らせんの、悪いし」
「えー。そんなの気にしなくていいのに。僕、海里ちゃんとこうやって一緒にご飯食べられる事が、嬉しいんだ。まだまだ下手だけど、いっぱい練習して美味しいご飯食べて貰えるように頑張るから!」
「だから、だよ。政海と一緒にやりたいんだ」
「海里ちゃん・・・・」
「自分でもやっていけるようにしておかなきゃな。何時までもこの状況って訳にはいかないだろうし」
「それって・・・・」
DKS(同居 解消 するってコト)?
嫌だよ、そんな・・・・。
海里ちゃーん・・・・。
しょんぼりしていると、海里ちゃんが慌てて言った。
「違うから! 今の生活に不満はない! けど、健全な男女(?)がひとつ屋根の下にずっと暮らすのも、どうかと思うし・・・・。その・・・・私が堪えられるか・・・・」
「えっ?」
「とにかく! 私も料理始めるから! よろしく!」
という訳で、今度のお料理教室に海里ちゃんも付いてくることになった。
ううっ。どうなる事やら!?
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