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第12話 ~琴里ちゃんと卓くん~
Side・斎賀政海/その9
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移動中、政海が心配しないようにメッセージを入れておいた。
少しだけ卓と話すけど、アイツをけん制させるために話をするだけだ、と伝えたんだ。いきなり卓と二人きりになって話したいとか言うと、政海は多分心配するだろうから。
それに、政海に誤解されたくない。卓なんか、何とも思っちゃいねーし、心配するなよ、ってメッセージを添えておいたんだ。
一緒に乗ろうと案内された先は、ゴーカートだった。隣に座ってもいいかと聞くと、ハイモチロン喜んで、と居酒屋張りの張り切った返事をくれる。
いいヤツだと思う。だから、美乃梨にピッタリだ。
今から引導を渡し、美乃梨へ卓のプッシュをする事に命を懸けよう。
「あの・・・・実は、卓さんに相談があるの」
「ハイなんでしょうか。何でもおっしゃってください!」
「ん・・・・でも・・・・恥ずかしい・・・・」
目一杯可愛い女(こんな感じでいいのかな?)を演じ、頬を赤らめて見せた。
これは、政人の事を考えると自然に出来た。トクトクと心が高鳴り、私の数少ない乙女の部分が浮き彫りになるんだ。
政海でも、政人でも、どっちでもアイツは私をドキドキさせてしまう。悔しい。政海の癖に。
「ほおあああ・・・・琴里さん、それは反則でございまする・・・・」
謎の言動でプルプルと何かに耐えながら、卓が絞り出すように言った。
「ふふ。卓さん面白い」
右手を軽く顎に添え、お嬢様っぽく笑った。お嬢に扮するのは得意中の得意だ。なんせ、幼い頃からお嬢の皮被って生きてきたんだからな。
「琴里さん、本当貴女は理想の女神です」
私のしぐさを見た卓が、頬を染めて歯の浮くような台詞を口にした。
お前、中身が海里だって知っても同じ事を言えんのか?
「ありがとう」
とりあえず微笑んで礼は言っておいた。
「所で、相談というのは何でしょうか」真剣なまなざしを向けられた。「この沢峰卓、全力で琴里さんの為に相談ごとについて向き合いたいと思います、ハイ!!」
「卓さん、本当にありがとう。相談って、あの・・・・実は・・・・政海の事なの」
「ま・・・・さみ?」
卓はきっと、諸々私を縛り付けているという設定の家や婚約者について相談されると思っていたのだろう。ふふ、違うんだな、これが。
政海と聞いて、卓の顔が鳩が豆鉄砲を食ったようになった。
「うん。実は私・・・・政海の事が・・・・好き、なの。幼い頃から、ずっと私の傍にいて仲良くしているから・・・・気が付いたら、好きになっていて。今までは家が近くて傍にいる事が多かったんだけど、最近離れ離れだから、悪い男の人に騙されないか・・・・心配で心配で」
か弱い女を演出すべく、不安げにまつ毛を揺らせておいた。
少しだけ卓と話すけど、アイツをけん制させるために話をするだけだ、と伝えたんだ。いきなり卓と二人きりになって話したいとか言うと、政海は多分心配するだろうから。
それに、政海に誤解されたくない。卓なんか、何とも思っちゃいねーし、心配するなよ、ってメッセージを添えておいたんだ。
一緒に乗ろうと案内された先は、ゴーカートだった。隣に座ってもいいかと聞くと、ハイモチロン喜んで、と居酒屋張りの張り切った返事をくれる。
いいヤツだと思う。だから、美乃梨にピッタリだ。
今から引導を渡し、美乃梨へ卓のプッシュをする事に命を懸けよう。
「あの・・・・実は、卓さんに相談があるの」
「ハイなんでしょうか。何でもおっしゃってください!」
「ん・・・・でも・・・・恥ずかしい・・・・」
目一杯可愛い女(こんな感じでいいのかな?)を演じ、頬を赤らめて見せた。
これは、政人の事を考えると自然に出来た。トクトクと心が高鳴り、私の数少ない乙女の部分が浮き彫りになるんだ。
政海でも、政人でも、どっちでもアイツは私をドキドキさせてしまう。悔しい。政海の癖に。
「ほおあああ・・・・琴里さん、それは反則でございまする・・・・」
謎の言動でプルプルと何かに耐えながら、卓が絞り出すように言った。
「ふふ。卓さん面白い」
右手を軽く顎に添え、お嬢様っぽく笑った。お嬢に扮するのは得意中の得意だ。なんせ、幼い頃からお嬢の皮被って生きてきたんだからな。
「琴里さん、本当貴女は理想の女神です」
私のしぐさを見た卓が、頬を染めて歯の浮くような台詞を口にした。
お前、中身が海里だって知っても同じ事を言えんのか?
「ありがとう」
とりあえず微笑んで礼は言っておいた。
「所で、相談というのは何でしょうか」真剣なまなざしを向けられた。「この沢峰卓、全力で琴里さんの為に相談ごとについて向き合いたいと思います、ハイ!!」
「卓さん、本当にありがとう。相談って、あの・・・・実は・・・・政海の事なの」
「ま・・・・さみ?」
卓はきっと、諸々私を縛り付けているという設定の家や婚約者について相談されると思っていたのだろう。ふふ、違うんだな、これが。
政海と聞いて、卓の顔が鳩が豆鉄砲を食ったようになった。
「うん。実は私・・・・政海の事が・・・・好き、なの。幼い頃から、ずっと私の傍にいて仲良くしているから・・・・気が付いたら、好きになっていて。今までは家が近くて傍にいる事が多かったんだけど、最近離れ離れだから、悪い男の人に騙されないか・・・・心配で心配で」
か弱い女を演出すべく、不安げにまつ毛を揺らせておいた。
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