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第11話 ~政海ちゃんと卓くん~

Side・斎賀政海/その2

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「ごっ、ゴメン!」

 海里ちゃんの手に押し付けるようにタオルを渡すと、そのままバスルームを出た。
 はー。やばいやばいやばいやばい!
 あのままだと、僕は間違いなく海里ちゃんの同意も取らずに押し倒してしまっただろう。
 わあぁ。妄想が膨らんでいくよーっ。


――ま、政海・・・・何を・・・・?

 潤んだ瞳で僕を見つめる海里ちゃんに、僕は想いを告げる。

――海里、好きだ。ずっと幼い頃から、好きだったんだ。

 薄い紅を引いたような綺麗な海里ちゃんの唇を自分の唇で覆い、嫌だって言えないように口内を舐めつくす。

――はっ、政海、やぁっ・・・・!

 こういう時、男は力づくで女性を散らす事ができるのだ。
 理性をはぎ取られた僕は、裸の海里ちゃんに覆いかぶさり、身動きが取れないように押さえつけ、彼女の身体に無遠慮に触れ、滾(たぎ)る欲望を体内へ――・・・・


 バチャン、というか、ガチャンというか、何とも形容しがたい音を立てながら折戸が開けられたので、想像から現実に引き戻された。
 慌てて首を振って煩悩を振り払うが、中々上手く行かない。というのも、仕切り一枚隔てた向こうに裸の海里ちゃんがいるのだ。ごくり、と生唾を飲み込む音が彼女に聞こえないか心配になる。

 
「だ、大丈夫? た、たち、立ち眩みとか、ない?」

 間抜けにも声が上ずった。

「悪い。ちょっとのぼせた。水、くれないか」

「オーケー。用意しておくね」

 キッチンへ向かい、蒸留水をコップに入れようとして、さっきの海里ちゃんの肌の感触を思い出し、ぼんやりしてしまったせいで派手にスウェットに水を飛ばしてしまった。

「冷たっ」

 僕のドジは相変わらずだ。仕方なくスウェットを脱いで、台所の小さなテーブルに添え付けの椅子に掛けた。
 お風呂上がりで暑かったから、スウェットの下は裸だ。ま、男だし、海里ちゃんは男に興味はなさそうだから、別にこのままでいいか。

 サラシはお風呂上りに巻かないから、海里ちゃんは比較的早く着替えて仕切りから出てきた。あのパジャマの下には、さっき触れたふくよかなバストがお宝のように隠されているんだ。しかもノーブラで・・・・。


 あわわわ。KD、KD(考えちゃ だめっ、考えちゃ だめ)!

 
「海里ちゃん、大丈夫? 顔赤いよ。はい、お水」


 真っ赤になりながら、コップに注いだ水を渡してあげた。あああ・・・・目が潤む。海里ちゃんの・・・・いい匂いに吸い寄せられそうだ。


「なっ・・・・政海お前、なんで裸っ・・・・」

「あ、これ? さっき濡れちゃったから」

「はっ、早く服着ろ、このバカ! また私に襲われたいのかっ!」

 凄い剣幕で怒った海里ちゃんは、お水の入ったコップをひったくり、ふいっと顔を反らした。

 ん? 今なんて? 私に襲われたい・・・・?
 意味がよく解らなかった。
 どちらかと言えば、僕が海里ちゃんを襲いたいけどね。あ、違うか。

「やっぱり・・・・私、お前を傷つけていたんだな。夢じゃなかったんだ・・・・本当にごめん」

「え? なに?」

 何故か海里ちゃんは泣きそうな顔をして俯いている。

「悪かった。もう二度としないから。暫く私に近寄らないでくれ。政海に合わせる顔が無い」

 それだけ言うと、そそくさと海里ちゃんは自分の部屋に消えて行った。


 えーっ。何で?
 僕、何も見ていないし、何も傷ついていないよ?



 意味が解らない。
 DK(どういう 事だよ)――っ!?




 
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