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第9話 ~政人くんと美乃梨ちゃん~
Side・斎賀政海/その9
しおりを挟む「俺、昔はもっとダサくてさ。根暗っぽい男だったから、いじめられっ子だった。お菓子作りが趣味なんかキモいって、散々クラスメートに馬鹿にされてきたんだ。でも、海里だけは、俺を笑ったりしなかった。何時も、優しくしてくれた」
真剣に自分の気持ちを語った。
「だから、ごめんね。美乃梨の気持ちは、本当に嬉しいけど」
「そう・・・・だったんだ。あの、海里が・・・・好きって、その・・・・」
「うん。僕が海里を好きだなんて、おかしいよね」
まあ、一応肉体的な意味で言うと、僕は男で海里ちゃんは女だから、問題はないハズなんだけどね。
それは今言えないし、男の僕が男の海里ちゃんを好きだって、美乃梨ちゃんは思っているだろうから。
「でも、海里だけだったんだ。笑わずに僕を助けてくれたのは。幼い頃から一緒に育ったから気が付かなかったけれど、気が付いたら好きになっていた。この気持ちは勿論、海里に言うつもりはないよ。俺の勝手な片思いだから。それでね、俺が遊び人とか、何か色々噂になっているのは、俺が海里に伝えたデマだよ。こんなだから、女の子と付き合ったことなんか一度も無いし。でも、海里が心配するから、嘘ついた」
「あ・・・・あの」
「俺の事、色々聞きたかったんだろ? 美乃梨は特別な女の子だから、俺も誠実に伝えようと思ってさ。・・・・やっぱひくよね、こんなの」
困ったようにしている美乃梨ちゃんに、僕は笑いかけた。「そういう訳だから、色々ごめんね」
「ごめんなんて、言う事ないよっ! 謝らないで!!」
美乃梨ちゃんの大声プラス剣幕に、僕は目を開いた。
「み、美乃梨。ここ、お店だから」
人差し指を口に当て、静かにのポーズを取った。
「あ、ご、ごめんなさい、つい・・・・興奮しちゃって」
いけない、と苦笑しながら美乃梨ちゃんが頭を掻いた。「頑張っているのだけど、ドジが全然治らなくて。私もドン草ドン子とか、あだ名を付けられていつも虐められていたの」
「美乃梨が? こんなに可愛いのに?」
「うん。私も昔は酷い有様で、全然可愛くない根暗子だったの。でも、虐める奴らを見返してやろうって、何時も励ましてくれた梅香のお陰で強くなれた。私は政人さんみたいに同性を好きになった訳じゃないけれど、梅香のお陰で頑張る事ができたの。だから、傍にいてくれた人を、大切に想う気持ちは解るよ。だから、気持ち悪いなんて思わない」
美乃梨ちゃんは心の底からの笑顔を見せてくれた。
「やっぱり私の目に狂いはなかった! こんなに素敵な男の人、初めてだもん。隠し事もしないで、本音で本気でぶつかってくれる人、政人さんしかいないよ。だから、私も諦めない! 政人さんが海里を好きでもいい。私は私で頑張るから」
ええええ――――っっ。
なんか、余計話をややこしくしてしまったような・・・・気がする。
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