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スマイル39・王様の両親に挨拶

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 それに、王雅の隣にいる私の姿は目に入っているハズなのに、まるで何も存在しないかのような振る舞い。


 私が幼い頃、実の両親から受けた暴力――それは酷いものだったけれど、王雅は王雅で無関心なご両親の態度に、ずっと傷ついてきたのだという事が解った。
 無視や無関心も、れっきとしたネグレクトのひとつよ。
 家が立派なだけに、そのほかの愛情も全てお金で買って賄ってきた集大成なんだと思った。


 だから出会った頃の王雅は高慢で、お金さえあれば何でもできると勘違い――実際はそれで全てが回っていたのでしょうけど――して、それでもずっと愛情に飢えていて、淋しそうだったのね。


「俺、この女性と結婚しようと思うんだ。彼女は、真崎美羽さん。施設経営をしてる、一般の女性だけど」


 王雅の言葉を聞いて、お母様が彼のすぐ隣に立つ私を一瞥した。「そう。話はそれだけ?」
 お母様の隣に座っていらっしゃるお父様に至っては、未だに一言も無い。

「いや、話はそれだけって・・・・俺、この人と結婚するけど、いいのかよ?」

 お二人の切り替えしに、王雅の方が焦って尋ねている。
 私も驚きだわ。話はそれだけって・・・・お二人にとって、王雅はどうでもいい存在なの?

 大切な家族じゃないの?

 絶対、もっと反対されると思っていた。どこの馬の骨かもわからないような娘が、櫻井家の敷居を跨がないで頂戴、と水でも掛けられて追い返されるんじゃないかって、覚悟していたのに。


 でも、まだ水を掛けられる方がマシと思えるくらい、お二人の王雅に対する無関心ぶりは 



「貴方が自分で決めたのでしょう。好きになさい。そんなつまらないことで、いちいち呼び出さないで。私達、忙しいの。王雅も、もういい大人なのだから、解るでしょう?」



『つまらないこと』ですってぇ!?



 お母様のあまりの無関心ぶりに、腹が立った。
 お腹を痛めて産んだ、一人息子が結婚するのよ? これ以上に大切な話って無いじゃない! 仕事の話より大切だと思うんだけど!

 ご縁があって、あなたたちと家族にさせていただく図々しい女が挨拶にやって来ているのよ?
 それを・・・・つまらない話扱いにしちゃうなんて!



 でも、これで引き下がったりできないわ!


「お忙しい中、お時間を取って頂きありがとうございます。私、真崎美羽と申します。両親は他界しており、貧乏な上に血筋も誇れるものではありませんが、どうか、王雅さんとの結婚を許して頂きたく、お願いに上がりました。これ、つまらないものですけれど、受け取って頂けないでしょうか」


 ご両親の前に行って、頭を下げた。私にとってはつまらないものじゃないけれど、ソムリエが王雅のご両親の為に作ってくれた、最高級フルーツの詰め合わせセットを差し出した。
 せめて受け取って頂けたら、救われる。ソムリエが激選してくれた、愛情いっぱい受けた最高級の果物だから。絶対食べて欲しい。酷いものだった。
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