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スマイル37・王様のプロポーズ

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 あれから昼食を作って子供たちに食べさせて、お遊戯や午後の遊びなんかは中止にして、早めの昼寝をさせた。
 真秀君がそのまま残ってくれていて、色々手伝ってくれたから助かった。

「美羽ねーちゃん。あの・・・・ちょっと、いい?」

 子供たちを寝かしつけたので残りの片づけをしていると、真秀君が話しかけて来た。「権利書の事、本当にごめんなさい。美羽ねーちゃんが困ることは承知だったのに、俺・・・・真凛を守る為とはいえ、施設のみんなを裏切るような真似してしまって・・・・後悔しています。本当にごめんなさい」

 深く深く頭を下げ、心から真秀君は謝罪してくれた。

「もう、いいわよ。花井をブッ潰す為に、王雅と頑張ってくれたんでしょう?」

「あ・・・・うん。色々ね」

「だから、いいわ。さっき王雅がみんなの前で、仲直りって、今まで通りって言ったじゃないの。もう、終わった事よ」

「理由も聞かないの? そんな簡単に・・・・俺の事、赦してくれるの?」

「簡単じゃないわ。真秀君が、今まで私を守る為に・・・・花井を欺く為に、私が辛く当たっても黙って頑張ってくれていたんでしょう? 罪を憎んで人を憎まず――久信おとうさんがいつも私に教えてくれたわ。貴方がやってしまった事を、何時までも恨んでも仕方ないもの。だから、もう気にしないで? 今まで通り、真凛ちゃんと一緒に施設に遊びに来て欲しい。大人の手があるとね、正直助かるのよ」

 安心してもらおうと思って、笑顔を見せた。

 
「・・・・ごめんなさい。本当に・・・・美羽ねーちゃん・・・・ごめっ・・・・・・・・花井に、真凛の事で脅されてたとはいえ、本当に最低な事をしてしまって・・・・ごめんなさいっ・・・・」

 真秀君は大きな目から涙をポロポロ零しながら、ひたすら頭を下げてくれた。

「大のオトナの男が、メソメソ泣かないの。もう絶対、こんな事しないでしょ? 悪いと思っているなら、また子供たちと一緒に遊んで、私を助けてくれる? 暫くバイト代はナシでね。ふふっ。そうしてくれたら、超助かっちゃうわ! その代わり、御飯はいっぱい出すから」

「ありがとう。本当に・・・・赦してくれて、ありがとう。もう二度とこんな卑怯な事、絶対にしません。誓います」

「よろしい。じゃ、もうこの話は終わり。あ、そういえば真凛ちゃんは? 最近会ってないから。元気?」

 そうなの。真秀君の事で施設に来づらくなっているんだと思う。
 最近、真凛ちゃんには会っていない。

「真凛は元気だよ。俺のせいで施設に来れなくなってしまった事を、本当に残念がっているから、また真凛も来させてもらえると嬉しいよ。アイツも喜ぶと思う」

「うん。伝えてあげてよ」

 何もかも、これで元通りね。よかったわ。正直後味悪くて、嫌だったの。
 真秀君が心から悪事に手を染めたわけじゃ無い。それが解っただけでも、私は嬉しい。
 結局、花井が絡むとロクな事にならないのよ。誰も幸せにならないし、本当に最低な男だわ。
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