213 / 287
スマイル35・王様のいない日々
4
しおりを挟む急いで電話に出た。「はい、マサキ施設です」
『ああ、美羽ちゃん? 私だ。横山だよ』
「横山さん! どうされたんですか?」
最近、横山さんは以前の様に施設に遊びに来てくれるようになった。
王雅が取引を始めてくれてからは、手土産にって、お菓子や面白い部品を使って作った自作のオモチャなんかを持ってきてくれる。
横山さんご夫妻も、お子様に縁がなく、子供たちを我が子の様に可愛がってくれるの。
マサキ施設を何時も応援してくれていたのは、久信おとうさんや美幸おかあさんがしてくれたように、そういう背景が横山さんにもあるからかもしれない。
だから、私の事も何時も気にかけて、助けてくれたのだと思うの。娘の様に思ってくれている事、本当に感謝している。
『特に用事は無いけれど、元気かなって思ってね』
「まあ、ありがとうございます! お陰様で元気です」
『それは良かった。また面白いオモチャが出来たから、マサキ施設に持って行くよ』
「本当ですか? ありがとうございます。子供たちも喜ぶので、是非来てください」
『明日にでも行かせてもらうよ。大丈夫かな?』
明日か。確か恭ちゃんが菫さん連れて施設に来るって言ってたわね。
「横山さん。明日は恭ちゃんと奥様がいらっしゃる予定がありますけど、いいですか?」
『じゃあ、次の日にするよ。明後日、行かせてもらう。大丈夫かな?』
「ええ、大丈夫です。お待ちしています。横山さんに会えるの、楽しみにしてます」
『私も、美羽ちゃんや子供たちに会えるのを楽しみにしているよ。それじゃあ』
通話が途切れたので、受話器を元に戻した。
何だか急に慌ただしく来客が続くけど、王雅の差し金かしら。でも、まさかね。
流石に王雅でも、そこまで――特に恭ちゃんは――出来ないか。たまたま偶然にしては、出来過ぎているような・・・・?
まあいいわ。花井の事を考えなくて済むのは、正直有難い。
子供たちを寝かしつけ、私もこの日は早めに眠りに就いた。
王雅、今頃アメリカかしら。
遠く離れてしまったわね。元気かしら。
貴方に、逢いたい――
0
お気に入りに追加
113
あなたにおすすめの小説
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
本日、私の大好きな幼馴染が大切な姉と結婚式を挙げます
結城芙由奈
恋愛
本日、私は大切な人達を2人同時に失います
<子供の頃から大好きだった幼馴染が恋する女性は私の5歳年上の姉でした。>
両親を亡くし、私を養ってくれた大切な姉に幸せになって貰いたい・・・そう願っていたのに姉は結婚を約束していた彼を事故で失ってしまった。悲しみに打ちひしがれる姉に寄り添う私の大好きな幼馴染。彼は決して私に振り向いてくれる事は無い。だから私は彼と姉が結ばれる事を願い、ついに2人は恋人同士になり、本日姉と幼馴染は結婚する。そしてそれは私が大切な2人を同時に失う日でもあった―。
※ 本編完結済。他視点での話、継続中。
※ 「カクヨム」「小説家になろう」にも掲載しています
※ 河口直人偏から少し大人向けの内容になります
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
月の後宮~孤高の皇帝の寵姫~
真木
恋愛
新皇帝セルヴィウスが即位の日に閨に引きずり込んだのは、まだ十三歳の皇妹セシルだった。大好きだった兄皇帝の突然の行為に混乱し、心を閉ざすセシル。それから十年後、セシルの心が見えないまま、セルヴィウスはある決断をすることになるのだが……。
仲の良かったはずの婚約者に一年無視され続け、婚約解消を決意しましたが
ゆらゆらぎ
恋愛
エルヴィラ・ランヴァルドは第二王子アランの幼い頃からの婚約者である。仲睦まじいと評判だったふたりは、今では社交界でも有名な冷えきった仲となっていた。
定例であるはずの茶会もなく、婚約者の義務であるはずのファーストダンスも踊らない
そんな日々が一年と続いたエルヴィラは遂に解消を決意するが──
粗暴で優しい幼馴染彼氏はおっとり系彼女を好きすぎる
春音優月
恋愛
おっとりふわふわ大学生の一色のどかは、中学生の時から付き合っている幼馴染彼氏の黒瀬逸希と同棲中。態度や口は荒っぽい逸希だけど、のどかへの愛は大きすぎるほど。
幸せいっぱいなはずなのに、逸希から一度も「好き」と言われてないことに気がついてしまって……?
幼馴染大学生の糖度高めなショートストーリー。
2024.03.06
イラスト:雪緒さま
わたしは夫のことを、愛していないのかもしれない
鈴宮(すずみや)
恋愛
孤児院出身のアルマは、一年前、幼馴染のヴェルナーと夫婦になった。明るくて優しいヴェルナーは、日々アルマに愛を囁き、彼女のことをとても大事にしている。
しかしアルマは、ある日を境に、ヴェルナーから甘ったるい香りが漂うことに気づく。
その香りは、彼女が勤める診療所の、とある患者と同じもので――――?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる