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スマイル32・王様のヒーローショー
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しおりを挟む「キュウ、あのっ・・・・Xがマサキ施設に来たんだ! みんな怖がってるから、追い返して欲しいっ!!」
「Xが!? よしっ、今から俺がXと戦うから、ライタ君、応援してくれないか?」
「えっ、キュウ、俺の名前知ってるの!?」ライタ君が感動の目を向けた。
「勿論だ。正義の味方は何でも知っているんだぞ」
「カッコイイー!!」
ライタ君が、これ以上ないくらい嬉しそうな顔をして喜んでいるわ。
サプライズ、大成功ね!! 大好きなキュウに会えた上に、ピンチを助けて貰うなんてねっ。
私も、そうよ。
大好きになってしまった王雅に、幾度となく助けられた。
お泊り保育の時、スズメバチに怯えていたら颯爽と現れて撃退してくれたし、サトル君の義理父(おとう)さんに乗り込まれた時も、水面下で動いてくれて即解決したし、特にチイちゃんのお父さんを撃退してくれた時、本当にカッコよかったもの。あのお陰で、また惚れ直しちゃったのよね。
それにしても、ヒーローってずるいわよね。必ずカッコよくできているんですもの。
まあ、私のヒーローは、結構ずっこけだけどね。でも、人間味があってそれも好き。
いやだわ。ベタ惚れじゃない。
もう、止めて欲しいわ。
ちょっ。だ、だだ、誰っ。
心底惚れてますやん、とか、メッセージ入れてくれちゃって!
実際、そ、そうなんだけどっ。面と向かって言わないでよっ。
恥ずかしいじゃない。
それに、心底惚れてもどうにもならないんだから、あまり茶化さないでよねっ。
あ、それよりヒーローショーよ。こっち、大事よ?
私のコトはいいの。もう、放っておいて。
「さあ。キューマ君も、離れていなさい。あのステージで、今からXと戦って追い返すから、俺の応援、頼んだぞ!」
彼は王雅にキューマ君を託してきた。そして赤いマントを翻し、優雅に歩くヒーローぷりを見せてくれた。
「とあっ!」
簡易ステージへ上がる踏み台から大きくジャンプして、キュウが宙返りを見せた。
彼を見ているうちに、子供たちもみんな興奮してきたわ。私も、ワクワクしているの。こんな間近でヒーローショーが見れるなんて、初めてだもの。
正義の味方って、カッコイイわよね。このヒーローは架空のものだと判っていても、感動と興奮が胸を包んだ。
「X! 姿を現せっ!! 子供達に手出しはさせないぞ! 俺が相手だっ!!」
キュウが両手を上げ、円を描いてファイティングポーズを取った。これは、彼の決めポーズよ。
それが合図だったようで、途端にピカピカとフラッシュが光り、遊戯室の入り口にXが現れた。
「現れたな、キュウ! 今日は負けないぞぉー! 返り討ちにしてくれるわぁー」
ドスンドスンと大きな効果音と共に、自慢の大きな尻尾を振り乱しながら、Xがステージめがけてやって来た。
子供たちは固唾をのんでステージを見つめている。
戦いが始まった。
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