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スマイル31・王様に惚れた女

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 それから予定通り、施設が無償で借りている畑でお芋を育てているから、お芋堀をしに行こうと提案した。
 きっと初めてやるお芋堀に、王雅も喜んでくれる事でしょう。
 彼が喜ぶ姿を見たくて、子供たちが行きたいというのを我慢させて、今日まで日にちを延ばしたからね。

 施設を出て近所の畑まで全員で歩いて行った。夏とは違い、気候も大分涼しくなったから、少し歩いたくらいじゃ汗をかかなくなった。いい天気で、絶好のお芋堀り日和だ。沢山掘って、広場で焼き芋にしてみんなで食べようと思っている。


 美しい秋晴れの空を見上げ、遠足気分を味わいながら近所の畑にやってきた。
 ここは、マサキ施設から子供の足で十分程度の所にある小さな畑で、セントラル商店街の八百屋さんが、自家栽培の無農薬野菜を栽培している畑なの。
 前にも説明したと思うけど、この畑の一部を無償で借りて、野菜を育てているのよ。

 小さな門を開錠して開けて中に入った。畑の一番奥の一区画に、マサキ施設とプレートを立ててくれている。小さなロープを地面に張ってくれているから、場所も解り易い。
入口に皆を集合させて、持ってきたスコップと軍手を人数分広げた。
 
「さあ、みんな。スコップと軍手をもって、施設で育てているお芋の場所は解るわよね? 違う所を掘っちゃダメよ。王雅お兄さんと、真秀お兄さんと、真凛お姉さんに、場所を教えてあげてね」

「はあーい!」

 子供たちは早速スコップと軍手を手に取って、思い思いに走って行った。さっきまで真凛ちゃんと手を繋いでいたリカちゃんとユウ君が、一緒にやろうと三人で早速奥へ向かった。
 真秀君はキューマ君とマーサ君を連れて、サトル君に場所を案内してもらいながら奥へ向かっている。王雅は、アイリちゃんが嬉しそうに王雅の分のスコップと軍手を持って来て、一緒にやろうと誘っていた。

「ミュー先生、一緒にやろうよ!」

 私には、ミイちゃんが声を掛けてくれた。「俺もやるーのカッパー」

 カッパーが何故か口癖のライタ君も一緒に付いてきた。
 他の子供たちは思い思いに自分が掘りたい場所を決めて、もう既に掘り始めている。

「どっちが大きいお芋掘れるか、競争よ、ライタ」

「望むところだい! ミイには負けねーぞぉ!!」

 二人が同時にスタンバイして、よーいドン、と掛け声を上げて、お芋を掘り出した。
 
「ムチャな掘り方したら、お芋が傷ついちゃうから、優しくね。どっちが早く掘れるかじゃなくて、どれだけちゃんとお利口に出来たかを先生が見て決めるわね」

「はあーい」

 二人はお利口勝負に切り替えて、私も一緒にお芋を掘り当てて、持ち帰りのカゴに入れた。
 他のみんなも見て来るから、お利口勝負は引き続きよ、と言い残して他の子供たちも見て回った。誰か一緒に参加したいとかメッセージくれていたわね。大歓迎よ。何時でも来てね。今からでもオーケーよ!

 真秀君はチビちゃん達の様子を見ながら、一緒になってお芋堀りしていた。まるで童話の大きなカブを連想されるようなやり方で芋づるを引っ張っていて、思わず笑ってしまった。
 真凛ちゃんもユウ君の面倒をみてくれながら、リカちゃんやサトル君と一緒に上手に掘っている。ガックンやリョウ君たちは二人で楽しそうにお喋りしながら、お芋堀りをしている。


 王雅とアイリちゃんの様子を見に行くと、手を取り合って楽しそうに喜んでいる姿が目に付いた。
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