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スマイル27・王様は無敵
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取りに行った写真を王雅に渡すと、早速スマートフォンで撮影して、何やら操作していた。その後、早いスピードでノートパソコンのキーを叩き、すぐ横に置いたスマートフォンと交互に操作していた。
「難しい事、色々できるのね」
王雅の横に座って、彼の操作しているパソコンの画面をのぞき込んだ。
「俺を誰だと思ってんだ。何でもできるぞ。今、チイの親父がこの施設に入ったら、警報が鳴って知らせるようにしておいたから。それより、親父をここから追い払う必要があるだろ。今すぐ追い払ってやるから、見てろ」
王雅がテーブルの上に置いていたスマートフォンを手に取り、どこかに電話を掛けた。
「あ、もしもし警察ですかっ! 俺、マサキ施設で働いてる、櫻井と言います。突然すみませんっ。さっき施設におかしな男が、小さな子供を誘拐に来たんです! 何とか追い払ったんですけど、まだ諦めてなくて、施設の回りをウロウロしてて・・・・子供達も怖がっています。助けてもらえませんか? はいっ。男の特徴は、年齢三十歳前後。フチの薄い眼鏡をかけてて、白のシャツにグレーのパンツを履いています。ここの住所は――」
マサキ施設の住所や王雅の連絡先を警察に伝え、電話を切った。
「一丁上がり。警察、来てくれるってよ」
「・・・・すごい」
警察なんて、思いつかなかった。
思いついたとしても、こんな所にすぐ来てくれるとはとても思えなかったから。
「な? 俺が傍に居たら、お前は何も心配することねーんだ。だからさ」
ぐいっと引き寄せられ、耳元で囁かれた。「早く俺のモンになれよ」
「やっ、そ、それはダメっっ!!」
考える前に、慌てて否定してしまった。
だってそんなことしたら、捨てられて、この関係は終わっちゃうでしょう?
もう少しだけ、夢みさせてよ。
貴方といると、嬉しいの。幸せなの。
土日が待ち遠しくて、貴方に会えるのが嬉しくて、幸せそうな顔で私が作ったご飯を美味しそうに食べてくれる貴方の姿を、ずっと見つめていたいの。
王雅の腕から逃げ出そうとしたら、ぎゅっと抱きしめられた。
「何でダメなんだよ」不服そうに聞かれた。
「あ、あのっ、だから・・・・それは・・・・っ」
そんな事、言えるワケないでしょーが!!
「まだ、俺の事信用できないか? だったらせめて、期限つけてくれよ。何時までお前の事、待ったらいーんだ? 俺はお前が欲しいんだ、美羽。お前以外、欲しいものなんて何もねーんだ・・・・」
どうしよう。王雅が近づいてきた。
身体が固まって、拒むことが出来ない。
だって本当は、貴方に抱かれたいって思っているんですもの。
貴方が、好きだから。
拒みたくなんてないの。
ちょっ。
ちょっと、ちょっと、ちょっと――っ!!
だ、だだだ、だれっ!?
『もう抱かれちゃえ~』なんて絵文字付きで、おやつでも食べるー? みたいなノリで、軽々しく言うひとはっ!!
だ、だだだ、だめでしょっ!
そ、そんな、そんなことしちゃったら、この物語、もう、終わっちゃうじゃないっ!
落ち着いて、わたしっ。
違うの。
王雅に抱かれたいって、思っているのは認めるわ。認めたくないけどね。
でも、そんなコトしちゃったりしたら、ポイされちゃうでしょー!
だって拒んでおかないと、王雅は遠くへ行ってしまうでしょう?
捨てられてしまうでしょう?
泣いてすがったりしないって心に決めているけど、貴方と過ごす時間が楽しければ楽しい程、決心が揺らいでいるのも事実よ。
だったらもう、今、あなたたちが言うように、このまま貴方の愛を受け入れて、貴方のものになってしまって、苦しいこのキモチを開放してしまってもいいのかな。
今がそのタイミングなの――?
「難しい事、色々できるのね」
王雅の横に座って、彼の操作しているパソコンの画面をのぞき込んだ。
「俺を誰だと思ってんだ。何でもできるぞ。今、チイの親父がこの施設に入ったら、警報が鳴って知らせるようにしておいたから。それより、親父をここから追い払う必要があるだろ。今すぐ追い払ってやるから、見てろ」
王雅がテーブルの上に置いていたスマートフォンを手に取り、どこかに電話を掛けた。
「あ、もしもし警察ですかっ! 俺、マサキ施設で働いてる、櫻井と言います。突然すみませんっ。さっき施設におかしな男が、小さな子供を誘拐に来たんです! 何とか追い払ったんですけど、まだ諦めてなくて、施設の回りをウロウロしてて・・・・子供達も怖がっています。助けてもらえませんか? はいっ。男の特徴は、年齢三十歳前後。フチの薄い眼鏡をかけてて、白のシャツにグレーのパンツを履いています。ここの住所は――」
マサキ施設の住所や王雅の連絡先を警察に伝え、電話を切った。
「一丁上がり。警察、来てくれるってよ」
「・・・・すごい」
警察なんて、思いつかなかった。
思いついたとしても、こんな所にすぐ来てくれるとはとても思えなかったから。
「な? 俺が傍に居たら、お前は何も心配することねーんだ。だからさ」
ぐいっと引き寄せられ、耳元で囁かれた。「早く俺のモンになれよ」
「やっ、そ、それはダメっっ!!」
考える前に、慌てて否定してしまった。
だってそんなことしたら、捨てられて、この関係は終わっちゃうでしょう?
もう少しだけ、夢みさせてよ。
貴方といると、嬉しいの。幸せなの。
土日が待ち遠しくて、貴方に会えるのが嬉しくて、幸せそうな顔で私が作ったご飯を美味しそうに食べてくれる貴方の姿を、ずっと見つめていたいの。
王雅の腕から逃げ出そうとしたら、ぎゅっと抱きしめられた。
「何でダメなんだよ」不服そうに聞かれた。
「あ、あのっ、だから・・・・それは・・・・っ」
そんな事、言えるワケないでしょーが!!
「まだ、俺の事信用できないか? だったらせめて、期限つけてくれよ。何時までお前の事、待ったらいーんだ? 俺はお前が欲しいんだ、美羽。お前以外、欲しいものなんて何もねーんだ・・・・」
どうしよう。王雅が近づいてきた。
身体が固まって、拒むことが出来ない。
だって本当は、貴方に抱かれたいって思っているんですもの。
貴方が、好きだから。
拒みたくなんてないの。
ちょっ。
ちょっと、ちょっと、ちょっと――っ!!
だ、だだだ、だれっ!?
『もう抱かれちゃえ~』なんて絵文字付きで、おやつでも食べるー? みたいなノリで、軽々しく言うひとはっ!!
だ、だだだ、だめでしょっ!
そ、そんな、そんなことしちゃったら、この物語、もう、終わっちゃうじゃないっ!
落ち着いて、わたしっ。
違うの。
王雅に抱かれたいって、思っているのは認めるわ。認めたくないけどね。
でも、そんなコトしちゃったりしたら、ポイされちゃうでしょー!
だって拒んでおかないと、王雅は遠くへ行ってしまうでしょう?
捨てられてしまうでしょう?
泣いてすがったりしないって心に決めているけど、貴方と過ごす時間が楽しければ楽しい程、決心が揺らいでいるのも事実よ。
だったらもう、今、あなたたちが言うように、このまま貴方の愛を受け入れて、貴方のものになってしまって、苦しいこのキモチを開放してしまってもいいのかな。
今がそのタイミングなの――?
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