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スマイル24・王様を翻弄する女王
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プリンターにデータを転送して印刷するようにしたけど、紙詰まりを起こしてしまって、取るのに四苦八苦した。これもデジカメと一緒で、使わなくなった人に譲ってもらったものだから、もう寿命なのよね。
修理に出したくても、サポート期間が終わっている機種だとかで、法外な修理費を支払わなければ、修理してもらえないみたい。
今度内職のお給料が入ったら、カメラかプリンターか、どっちか買い替えようかなぁ。
プリンターの掃除をして再び印刷に掛けると、今度は印刷もせず止まってしまった。角をちょっと叩くと動くようになるから、何時もの様に角を叩いて電源を入れ直した。
ガガガがー、と怒ったような大きな音を立てて起動したプリンターが頑張って動いてくれて、一枚の写真を印刷してくれた。
この写真一枚印刷するだけで、どれだけ時間かかるのかしら。もう。
とりあえず出来上がった写真を持って、応接室に戻った。王雅はアルバムを最後まで見終えていたようで、丁度貼りたい写真の続きの一番最後のページが開かれていた。
「プリンターの調子が悪いのよ。もう、随分使っているから、時間かかっちゃった。ごめんね」
遅くなったことを詫びて、さっき印刷できたばかりの写真を手渡した。「いい写真、撮れたわよ。ホラ」
私から写真を受け取った王雅は、嬉しそうにその写真を見つめていた。
「王雅、貼ってよ。そこに」
アルバムを指してお願いした。
「えっ、いいのか?」
「モチロンよ。透明のフィルムめくって、のりがくっついている面に、写真を優しく置いて、もう一回透明のフィルムを元に戻すのよ。空気が入らないように、気を付けてね」
「何か、難しそうだな。俺がやったら上手くできなくて、汚くなると思う。やっぱ、美羽がやってくれよ」
「じゃあ、一緒にやりましょ」
王雅が座っているソファーの隣に、わざと彼にくっつくようにして座ってやった。
ふふ。王雅のヤツ、今、もの凄く焦っているわ。オーラが伝わってくるのよね。
手を出したい、イヤ駄目だ、ああでも、みたいな?
貴方に捨てられたら、今度は私が苦しい思いをしなきゃいけないのよ。
だから今はその時の分として、貴方に苦しんでもらうわ。
いいわよね、王雅は。
その気になれば、どんな女とだって寝れるし、結婚だってできちゃうわ。
飽きたら大金包んで捨てればいいもの。
アンタの事、絶対に好きになったりしないって言っていたこの私の心でさえ、掴んでしまうんですもの。参っちゃうわ。
だから貴方も私でいっぱいになって、ドキドキして、夜も眠れないくらいになればいいのよ。
捨てられた時にそれを思い出せば、少しは惨めさも薄れるでしょう。
こんな貧乏女が王様を振り回してやったんだって、貴方の滑稽なその姿を思い出したら、少しは気分も晴れるでしょ。
あら。王雅を見ると、砂漠でオアシスを見つけた旅人の様な目で私を見つめているわ。
あっ。こっちに向かって手を伸ばしてきた!
我慢出来ずに触ってやろうって魂胆ね。でも、まだダメよ。おあずけ。
「ほら、こっちの手、貸して」
逆に手を取って、透明のフィルムに手を当てて、ここからめくるのよ、と教えてあげた。
好きな男の手を取るなんて、ドキドキするわね。
でも、貴方だってきっと、私にドキドキしているわよね。
考えたら、とても嬉しくなった。
「開いているところに写真を置くの。それを軽く押さえて・・・・」
王雅に添えていた手が熱くなる。
好きな男に触れているだけで、こんなにももどかしく、ドキドキしてしまうなんて。
私をこんなにドキドキさせるなんて、王様のクセに百年早いわよ。
見てらっしゃい。
「あっ、そうそう、イイ感じ! 上手よ、王雅。うん、そう・・・・優しく・・・・」
耳元で色っぽく囁いてやった。
修理に出したくても、サポート期間が終わっている機種だとかで、法外な修理費を支払わなければ、修理してもらえないみたい。
今度内職のお給料が入ったら、カメラかプリンターか、どっちか買い替えようかなぁ。
プリンターの掃除をして再び印刷に掛けると、今度は印刷もせず止まってしまった。角をちょっと叩くと動くようになるから、何時もの様に角を叩いて電源を入れ直した。
ガガガがー、と怒ったような大きな音を立てて起動したプリンターが頑張って動いてくれて、一枚の写真を印刷してくれた。
この写真一枚印刷するだけで、どれだけ時間かかるのかしら。もう。
とりあえず出来上がった写真を持って、応接室に戻った。王雅はアルバムを最後まで見終えていたようで、丁度貼りたい写真の続きの一番最後のページが開かれていた。
「プリンターの調子が悪いのよ。もう、随分使っているから、時間かかっちゃった。ごめんね」
遅くなったことを詫びて、さっき印刷できたばかりの写真を手渡した。「いい写真、撮れたわよ。ホラ」
私から写真を受け取った王雅は、嬉しそうにその写真を見つめていた。
「王雅、貼ってよ。そこに」
アルバムを指してお願いした。
「えっ、いいのか?」
「モチロンよ。透明のフィルムめくって、のりがくっついている面に、写真を優しく置いて、もう一回透明のフィルムを元に戻すのよ。空気が入らないように、気を付けてね」
「何か、難しそうだな。俺がやったら上手くできなくて、汚くなると思う。やっぱ、美羽がやってくれよ」
「じゃあ、一緒にやりましょ」
王雅が座っているソファーの隣に、わざと彼にくっつくようにして座ってやった。
ふふ。王雅のヤツ、今、もの凄く焦っているわ。オーラが伝わってくるのよね。
手を出したい、イヤ駄目だ、ああでも、みたいな?
貴方に捨てられたら、今度は私が苦しい思いをしなきゃいけないのよ。
だから今はその時の分として、貴方に苦しんでもらうわ。
いいわよね、王雅は。
その気になれば、どんな女とだって寝れるし、結婚だってできちゃうわ。
飽きたら大金包んで捨てればいいもの。
アンタの事、絶対に好きになったりしないって言っていたこの私の心でさえ、掴んでしまうんですもの。参っちゃうわ。
だから貴方も私でいっぱいになって、ドキドキして、夜も眠れないくらいになればいいのよ。
捨てられた時にそれを思い出せば、少しは惨めさも薄れるでしょう。
こんな貧乏女が王様を振り回してやったんだって、貴方の滑稽なその姿を思い出したら、少しは気分も晴れるでしょ。
あら。王雅を見ると、砂漠でオアシスを見つけた旅人の様な目で私を見つめているわ。
あっ。こっちに向かって手を伸ばしてきた!
我慢出来ずに触ってやろうって魂胆ね。でも、まだダメよ。おあずけ。
「ほら、こっちの手、貸して」
逆に手を取って、透明のフィルムに手を当てて、ここからめくるのよ、と教えてあげた。
好きな男の手を取るなんて、ドキドキするわね。
でも、貴方だってきっと、私にドキドキしているわよね。
考えたら、とても嬉しくなった。
「開いているところに写真を置くの。それを軽く押さえて・・・・」
王雅に添えていた手が熱くなる。
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私をこんなにドキドキさせるなんて、王様のクセに百年早いわよ。
見てらっしゃい。
「あっ、そうそう、イイ感じ! 上手よ、王雅。うん、そう・・・・優しく・・・・」
耳元で色っぽく囁いてやった。
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